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あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

カレー

2013-05-04 | 
最近、家の仕事に精が出るが今回は料理の話。
僕にとっては料理をすることは苦痛ではなく楽しみである。
今回カレーを作りながら思ったのだが、自分は料理を楽しんでいるなあと。
自分にとって料理とは、ストレスを発散するものであり、瞑想の場であり、小宇宙である。
気に入った音楽をかけながら、ジャガイモを剥いたり肉を切ったり、そういった作業が好きなのである。
先ずはスープから。
今回は犬のえさ用に買った豚の骨。茹でて灰汁をすくい、月桂樹の葉っぱを入れる。
月桂樹は植えて3年ぐらいか。剪定した葉っぱを日に干したら香りがとても良い。
料理が好きな人にプレゼントしたら喜ばれるだろう。
セロリは、そのまま食べるには小さすぎるが、香味野菜として使う分ぐらいは取れる。
庭に出て収穫。刻んで入れる。
その他、キャベツの芯、卵の殻、ブロッコリーの芯、ネギの葉っぱ、パセリの茎も入れてスープを取る。
必要な物を必要な時に必要なだけ採れる、というより自然からいただくという感覚か。

BGMはボブデュランのTimes they are changing。
スープを取った野菜はコンポスト、骨はココにあげて、次は具である。
肉はポーク。
僕は日本風のカレーはポークカレーが一番旨いと思う。
隠し味に使うリンゴとも相性が良い。
しょうがをたっぷり摩り下ろしスープの中へ。
ニンニクは自家製。これもたっぷり刻んでスープへ。
人参もその場で収穫。大きいものもあれば小さい物もある。
葉っぱはその場でちぎり、庭の片隅の穴へ放り込む。
それはやがて土になる。
人参の泥を洗い皮を剥き適当な大きさに切る。
ジャガイモと玉ねぎは生産が追いつかないので買ってきた物を使う。
そしてズッキーニ。
今年は3株植えたのだが、どれも立派に育ち消費が追いつかない。
深雪が好きでないのがその理由である。
これを2本フードプロセッサーで細かく切って入れる。
こうすれば娘も食べる。
隠し味にウスターソース、そしてベースにガラムマサラ。
食品庫を覗いて見ると飲みかけの赤ワインあったのでこれも入れてしまう。
カレーの良いところは残っている食材、傷みかけている食材で出来ること。
食べ物を無駄にすることが大嫌いな僕にはピッタリである。
我が家では食べ物に無駄がほとんどない。
傷んだ食材は犬とニワトリの餌になるし、それ以外は堆肥となり土に還る。
食べる物を捨てるという事を日本人ならば潜在的に嫌うのではないだろうか。
そしてそこが日本人の芯でもあり、これからの人類が向かう姿であると思う。
同時に膨大な量の食べ物が捨てられている今の日本の社会は狂っているとも思う。
それは社会のシステムがおかしいのであり、ゆがんだ社会の一環だとも言えるだろう。
自分は食べ物を捨てる事はもったいないというDNAを持っているので、我が家の循環サイクルを大層気に入っている。

このあたりでBGMをチェンジ。ボサノバなど聞きながら料理を続ける。
具が柔らかくなったら、カレーのルーを入れる。
今は市販のものを使っているが昔はこんなものはなかった。
僕が初めてニュージーランドに来たのは25年も前になるが、当時は醤油さえ手に入れるのが大変だった。
ましてや日本のカレーのルーで作ったカレーなんてご馳走だった。
カレー粉は売っていたので日本のカレーの味に近づける為、ソースを入れたりコンソメを使ったりベジマイトを入れたり試行錯誤をしたものだった。
それが今やSBのゴールデンカレーはあるし、秀樹感激ハウスのバーモンドカレーだって、こくまろだってジャワカレーだってある。
ただし日本より値段は高いが、日本から持ってくるのだから当然だ。
そこに物がある状態しか知らなければあることが当たり前だが、無い状態を知っていればあることに感謝が生まれる。
カレーのルーにもありがたやである。
本当はゴールデンカレーが旨いのだが、そこはそれ、ちょっと高いので我が家では業務用のジャワカレーを使う。
昔はカルダモンやクミン、ターメリック、フェンネル、チリ、クローブ、シナモン、ナツメグ、コリアンダー、そういったようなスパイスを使う本格インドカレーを作ろうか、とスパイスを買い込んだこともあったが、そうなるときりがない。
それに家の近所には旨いインドカレーのお店がある。
餅は餅屋、本格インドカレーはインド人にお任せあれ。
話は飛ぶが先日ショッピングモールのフードコートでインドカレーを食べた。
これが不味かった。
バターチキンは甘ったるいばっかりで味がなく、ラムのカレーは風味もなにもあったもんじゃない。
日本人がやってる日本食で不味い店があるのと同様、インド人がやってるから美味いカレー屋というわけではないようだ。
まあこの店は二度と行かないし近所のカレー屋の偉大さを再確認できたのでよしとしよう。
カレーはインドから始まりそれがイギリスへ行き日本へ入って日本風になった料理だ。
根源は同じでもインドのカレーと日本のカレーは違う。
どっちがいいとか、邪道とか本道とかいうものでない。ただ違うのだ。
どちらかを正しいと言うことは、一方が間違っているということにつながりやすい。
それが社会を歪めている。
違いを認めることこそが、これからの世界を照らす道である。
違いを見つけたら否定をしない。
自分に合わなければ放っておく。
魂が進んだ人達でも合う合わないはある。
合わない物や人を否定しないで『自分は自分、相手は相手』と距離をおくのである。
不味いカレー屋に行かないで、近所の美味いカレー屋に行けば良いだけの話だ。

さて我が家のカレーはいよいよ佳境に入る。
BGMはクラプトンのクリーム時代のアルバム。
ルーを入れ弱火で煮込み、味をみながら最終調整に入る。
あまり辛くすると娘が食べられなくなるので注意しながら、辛さと酸味と甘みと塩気のバランス取り。
ヨーグルトやチャツネ、トマトペーストやソースなどで味を整える。
味が決まったら、鍋ごと保温できる容器に入れ味をしみこませる。
これで完成。
こうやってできたカレーは、そりゃ美味いさ。
カレーライスにしてもよし。
また次の日のカレーが美味い。
娘のお気に入りはカレートースティー。
トーストサンドイッチの具をカレー、中にチーズをちょっと入れる。
パンはこんがり焼け、中のカレーからとろけるチーズがとろーり。
たまりませんな。
たかがカレー、されどカレー。
カレーの世界も奥が深いぜよ。



コメント
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