それはタイのブログから始った。
http://blog.livedoor.jp/coasterlife/archives/51910076.html
今年の夏、氷河に出来た大きなクレバス。長さ150m、深さ30m、ブルーミストと名づけられたものである。
記事を読み写真を見て思った。
「うおおおおお!こんな所を歩きてええええ!」
こうなればいいな、と思ったことは実現する。
風の強い日にクィーンズタウンで車を走らせていて、ミニスカートのお姉ちゃんの横を通るとき、突風が吹きスカートがめくれ上がり赤と白のストライプのパンティーがばっちり見えてしまった。
こうなればいいな、と思ったことは実現するのだ。
忙しい1月が終わり2月になると急にポッカリ時間ができた。チャンス到来である。
こういうチャンスは逃してはダメだ。思いついた時は行動する時である。
ぼくは車にどっさりと荷物を積み込み西へ向った。
まずはクィーンズタウンから峠を越えてワナカへ。天気は良好。
ワナカへ着く手前ではマウント・アスパイアリングが見えた。
NHKの撮影の仕事で、あそこの麓をうろうろしていたのは去年の今頃のことだ。
その年一番の猛暑の中、フラフラになって食材を運び、山小屋でカレーを作った。重い撮影機材をかつぎ、急な山道をよじ登った。もう随分昔のことのように感じる。
ワナカの街で給油と買出し。
今日行く西海岸はニュージーランドで一番の僻地だ。
フランツジョセフも小さな町だ。そこへの物資の輸送費だってバカにならない。故に全ての物が高い。これは仕方のないことだ。
ワナカのスーパーでビール、ワイン、特売のコーン、ソーセージなどを仕入れる。
この他にも車にはサーモン一匹、出来立て納豆、セントラルオタゴ産のネクタリンやアプリコットもどっさりある。
ワナカからハウェアを抜けてハーストパスへ。
この道を初めて通ったのはいつのころだったか。
あれはもう20年も前になるか。
当時つきあっていたキウィのガールフレンドと軽自動車で旅をした。
国道は全部舗装されておらず、時々砂利道がまざっていた。
大雨の中、ハーストパスを通り、道に直接落ちる滝の真下を通り、車が水圧で揺れるのを無邪気に喜んだ。凄いところだな、と感嘆した覚えがある。
ハーストでは一軒だけの宿に泊まり、その晩は停電となりローソクの明かりでロマンチックな夜を過ごしたものだった。
初めての西海岸のロードトリップの想い出が次から次へと心に浮かぶ。
歳をとったからか、全てが懐かしい。
ボクは感傷に浸りながら車を走らせた。
ハーストパスを抜け長い下りを下ると道は平坦になる。この辺りからは川の流れも緩やかになり川幅も広がる。
今までブナ一色だった森も、ちらほらとリムやカヒカテアなどのポトカーフという種類の針葉樹が出てくる。
一応英語では松という名前がついているこれらの木だが、僕らが普段見る松とは完全に物が違う。
松という定義には当てはまらない。リムはリム。カヒカテアはカヒカテアなのだ。
中でもリムはボクが一番好きな木である。
国道沿いに立っているリムに話しかけながら僕は車を走らせる。
「やあ、リム達よ。また君たちに会いにやってきたよ」
リムはボクを歓迎するように風に枝を揺らす。幸せである。
ワナカからハーストまでノンストップで走りぬけ、ハースト・リバーを渡る長い橋を越え、その先のシップクリークで一休み。ランチストップだな。ここはボクのお気に入りの場所だ。
ボケーっとタスマン海を見ながら昼飯を食べ、散歩に行く。ここには20分ぐらいのブッシュウォークがある。
西海岸特有の紅茶色の川を横目に森に入る。コケやシダが生い茂る中、のんびりと歩いていくとカヒカテアの大木に出会う。
この辺りのカヒカテアは60mの高さにもなる。ビルで言えば20階建てぐらいの高さだ。ただし周りに人工構造物がないので高さは分かりづらい。
カヒカテアは枝の付け根に多様な植物を載せそびえ立つ。
共生。植物たちは大木と共に生きる。
周りは沼地だがうまくボードウォークがあり足をぬらさずに森の散歩を楽しむことができる。こういうトラックを作る人のセンスが良いのだ。
今年も西海岸に来たな。感慨深くボクは木々たちに話しかけ、ゆっくりと森を歩く。
シップクリークからはタスマン海を左手に見ながら北上だ。
天気は良好。絶好のドライブ日和である。森の中を道路は行く。窓を全開にして森の気を感じながらのドライブは気持ちが良い。BGMは蝉の声だ。
そして午後も早い時間にフォックス・グレーシアに着いた。
この街はフォックス氷河というのがそのまま街の名前にもなった。
ここまで来たら今回の目的地、フランツジョセフまでは30分ぐらいの距離だ。もうあわてることはない。まずはDOCのオフィスに寄るか。
オフィスでは中庭でスタッフがアフタヌーンティーを取っていた。
背中を向けている黒髪の女の子がいる。キミだ。
カウンターの上にあるベルをチンチンと鳴らすと皆が一斉にこちらを見た。
キミがボクに気付き、他のスタッフを制してニコニコと出迎えてくれた。
彼女とは去年の冬に初めて会ったのだが、もう何年も前からの友達のように感じる。
キミは今では立派な西海岸の住人だが、以前は何年もクィーンズタウンのホテルで働いていた。ボクは何回もそのホテルでお客さんをピックアップした。
日本人の女の子が働いている、という記憶はあるのだからたぶん会ってはいるのだろう。向こうもボクが働く会社を知っているしボクのことも覚えているというのだが、クィーンズタウンで僕らは話をしたことがない。たぶんそういう時ではなかったのだろう。
キミは先シーズンからスキーを始めたのだが、みるみるうちに上手くなり、スキー3日目でブロークンリバーのメイントーに乗って山頂に立った。
子供ならともかく、いい年をした大人がこれほどまでに上達するとは・・・。人間とはすごいなあ、と思わせるような人である。
やればできる、こうなればいいなと思うことは実現する、ということを実地できる非常に強い光を持った人で、性格は明るく前向き。もちろん内側からにじみ出る美人で、タイにお似合いの彼女、というより「アンタぐらいでないとタイの彼女は務まらないよ」そんな人だ。
「やあ、キミ。やっと着いたよ。やっぱ西海岸は良いねえ」
「ひっぢさ~ん、お久しぶりです。今、着かれたんですか?」
「うん、途中でシップクリークに寄ってね。」
「あそこはきれいですからね。私も大好きです。サンドフライが多い場所は人を寄せ付けないから美しいんだって、うちのスタッフも言ってますよ。」
確かにシップクリークはサンドフライが多い。さっき止まった時もパケハ(白人)のツーリストが浴びるようにサンドフライよけを塗っていた。
「なるほどねえ、一理あるかもな。で、キミは今日何時に仕事が終る?」
「5時ぐらいに終るので、その後で一緒に帰りましょう。」
「じゃあ、それまでどこか散歩でもしてようかな。どこかいいブッシュウォークはないかな?マセソンみたいな観光地じゃない所がいいな。」
「ブッシュウォークですか・・・・・・」
会話をさえぎるように一人のスタッフがカウンターの向こうから声をかけた。
「よう、ヘッジ、こんな所で何をしている?」
誰だっけかなあ、この人。どこかで見たことはあるよなあ。どこで会ったんだっけ。
「うん、2~3日タイの所へ遊びにきたんだよ・・・」
「オマエ、俺とどこで会ったか思い出そうとしてるだろ。ブロークンリバーで何回も会ってるぞ」
「そうか、ブロークンリバーか。すまんすまん。物覚えが悪くてなあ。」
ボクは白状するが、人の顔と名前を覚えるのが苦手である。苦手な上に忘れるのが早い。
ところがボクの顔と名前はよっぽど印象に残るのか、向こうは覚えているということがとてもよくある。不公平だ。
特にこちらではMate(仲間)という便利な言葉があり、相手の名前を忘れても全てMateで通ってしまう。
『あの、どちらさまでしょうか』と聞くタイミングを逃し、そのまま話し続けるということもある。
20年もこの国でこんな事をやってると知らず知らずに有名になっていて、初対面でもお話は聞いてますと言われることもよくある。恐ろしい話だ。
キミが横から口をはさんだ。
「ねえ、この辺りで良いブッシュウォークはあるかしら?ヘッジが行きたいんだって」
「ブッシュウォークねえ、それならモレーンウォークがいいぞ。人も少ないし、でっかいラタの木もあるぞ。じゃあな」
そう言い残しヤツは去っていった。
近辺の地図があるところでキミが場所を教えてくれた。
ついでにボクはさっきのヤツの名前を聞いた。トリッシュというそうな。
トリッシュ、トリッシュ、トリッシュ。ボクは何回かつぶやいた。
次に会うときまで覚えていられるだろうか。
オフィスを出て車で5分ぐらい走り脇道へ入る。
看板から入っていくとそこはコケとシダ、カマヒやラタの森だ。
道は整備されすぎず、落ち葉を踏む感触が心地よい。
キミが言ったとおり人は全然入ってこない。自分一人で森を楽しめる。
地元の人の言うことは素直に聞くべきだ。
小川のそばでコケの上に座りボーっと森を眺める。
傘のようなコケ、アンブレラ・モスの群生だ。美しい。
今、この瞬間、ボクは森に包まれ生きている。
幸せな時とは常にそこにあるものなのだ。
ふと時計を見ると思ったよりも時は過ぎている、キミとの待ち合わせの時間に遅れそうだ。
こんな所にいると時が経つのも忘れてしまう。危ない危ない。
ボクは再び車を走らせフランツジョセフに向った。
続
http://blog.livedoor.jp/coasterlife/archives/51910076.html
今年の夏、氷河に出来た大きなクレバス。長さ150m、深さ30m、ブルーミストと名づけられたものである。
記事を読み写真を見て思った。
「うおおおおお!こんな所を歩きてええええ!」
こうなればいいな、と思ったことは実現する。
風の強い日にクィーンズタウンで車を走らせていて、ミニスカートのお姉ちゃんの横を通るとき、突風が吹きスカートがめくれ上がり赤と白のストライプのパンティーがばっちり見えてしまった。
こうなればいいな、と思ったことは実現するのだ。
忙しい1月が終わり2月になると急にポッカリ時間ができた。チャンス到来である。
こういうチャンスは逃してはダメだ。思いついた時は行動する時である。
ぼくは車にどっさりと荷物を積み込み西へ向った。
まずはクィーンズタウンから峠を越えてワナカへ。天気は良好。
ワナカへ着く手前ではマウント・アスパイアリングが見えた。
NHKの撮影の仕事で、あそこの麓をうろうろしていたのは去年の今頃のことだ。
その年一番の猛暑の中、フラフラになって食材を運び、山小屋でカレーを作った。重い撮影機材をかつぎ、急な山道をよじ登った。もう随分昔のことのように感じる。
ワナカの街で給油と買出し。
今日行く西海岸はニュージーランドで一番の僻地だ。
フランツジョセフも小さな町だ。そこへの物資の輸送費だってバカにならない。故に全ての物が高い。これは仕方のないことだ。
ワナカのスーパーでビール、ワイン、特売のコーン、ソーセージなどを仕入れる。
この他にも車にはサーモン一匹、出来立て納豆、セントラルオタゴ産のネクタリンやアプリコットもどっさりある。
ワナカからハウェアを抜けてハーストパスへ。
この道を初めて通ったのはいつのころだったか。
あれはもう20年も前になるか。
当時つきあっていたキウィのガールフレンドと軽自動車で旅をした。
国道は全部舗装されておらず、時々砂利道がまざっていた。
大雨の中、ハーストパスを通り、道に直接落ちる滝の真下を通り、車が水圧で揺れるのを無邪気に喜んだ。凄いところだな、と感嘆した覚えがある。
ハーストでは一軒だけの宿に泊まり、その晩は停電となりローソクの明かりでロマンチックな夜を過ごしたものだった。
初めての西海岸のロードトリップの想い出が次から次へと心に浮かぶ。
歳をとったからか、全てが懐かしい。
ボクは感傷に浸りながら車を走らせた。
ハーストパスを抜け長い下りを下ると道は平坦になる。この辺りからは川の流れも緩やかになり川幅も広がる。
今までブナ一色だった森も、ちらほらとリムやカヒカテアなどのポトカーフという種類の針葉樹が出てくる。
一応英語では松という名前がついているこれらの木だが、僕らが普段見る松とは完全に物が違う。
松という定義には当てはまらない。リムはリム。カヒカテアはカヒカテアなのだ。
中でもリムはボクが一番好きな木である。
国道沿いに立っているリムに話しかけながら僕は車を走らせる。
「やあ、リム達よ。また君たちに会いにやってきたよ」
リムはボクを歓迎するように風に枝を揺らす。幸せである。
ワナカからハーストまでノンストップで走りぬけ、ハースト・リバーを渡る長い橋を越え、その先のシップクリークで一休み。ランチストップだな。ここはボクのお気に入りの場所だ。
ボケーっとタスマン海を見ながら昼飯を食べ、散歩に行く。ここには20分ぐらいのブッシュウォークがある。
西海岸特有の紅茶色の川を横目に森に入る。コケやシダが生い茂る中、のんびりと歩いていくとカヒカテアの大木に出会う。
この辺りのカヒカテアは60mの高さにもなる。ビルで言えば20階建てぐらいの高さだ。ただし周りに人工構造物がないので高さは分かりづらい。
カヒカテアは枝の付け根に多様な植物を載せそびえ立つ。
共生。植物たちは大木と共に生きる。
周りは沼地だがうまくボードウォークがあり足をぬらさずに森の散歩を楽しむことができる。こういうトラックを作る人のセンスが良いのだ。
今年も西海岸に来たな。感慨深くボクは木々たちに話しかけ、ゆっくりと森を歩く。
シップクリークからはタスマン海を左手に見ながら北上だ。
天気は良好。絶好のドライブ日和である。森の中を道路は行く。窓を全開にして森の気を感じながらのドライブは気持ちが良い。BGMは蝉の声だ。
そして午後も早い時間にフォックス・グレーシアに着いた。
この街はフォックス氷河というのがそのまま街の名前にもなった。
ここまで来たら今回の目的地、フランツジョセフまでは30分ぐらいの距離だ。もうあわてることはない。まずはDOCのオフィスに寄るか。
オフィスでは中庭でスタッフがアフタヌーンティーを取っていた。
背中を向けている黒髪の女の子がいる。キミだ。
カウンターの上にあるベルをチンチンと鳴らすと皆が一斉にこちらを見た。
キミがボクに気付き、他のスタッフを制してニコニコと出迎えてくれた。
彼女とは去年の冬に初めて会ったのだが、もう何年も前からの友達のように感じる。
キミは今では立派な西海岸の住人だが、以前は何年もクィーンズタウンのホテルで働いていた。ボクは何回もそのホテルでお客さんをピックアップした。
日本人の女の子が働いている、という記憶はあるのだからたぶん会ってはいるのだろう。向こうもボクが働く会社を知っているしボクのことも覚えているというのだが、クィーンズタウンで僕らは話をしたことがない。たぶんそういう時ではなかったのだろう。
キミは先シーズンからスキーを始めたのだが、みるみるうちに上手くなり、スキー3日目でブロークンリバーのメイントーに乗って山頂に立った。
子供ならともかく、いい年をした大人がこれほどまでに上達するとは・・・。人間とはすごいなあ、と思わせるような人である。
やればできる、こうなればいいなと思うことは実現する、ということを実地できる非常に強い光を持った人で、性格は明るく前向き。もちろん内側からにじみ出る美人で、タイにお似合いの彼女、というより「アンタぐらいでないとタイの彼女は務まらないよ」そんな人だ。
「やあ、キミ。やっと着いたよ。やっぱ西海岸は良いねえ」
「ひっぢさ~ん、お久しぶりです。今、着かれたんですか?」
「うん、途中でシップクリークに寄ってね。」
「あそこはきれいですからね。私も大好きです。サンドフライが多い場所は人を寄せ付けないから美しいんだって、うちのスタッフも言ってますよ。」
確かにシップクリークはサンドフライが多い。さっき止まった時もパケハ(白人)のツーリストが浴びるようにサンドフライよけを塗っていた。
「なるほどねえ、一理あるかもな。で、キミは今日何時に仕事が終る?」
「5時ぐらいに終るので、その後で一緒に帰りましょう。」
「じゃあ、それまでどこか散歩でもしてようかな。どこかいいブッシュウォークはないかな?マセソンみたいな観光地じゃない所がいいな。」
「ブッシュウォークですか・・・・・・」
会話をさえぎるように一人のスタッフがカウンターの向こうから声をかけた。
「よう、ヘッジ、こんな所で何をしている?」
誰だっけかなあ、この人。どこかで見たことはあるよなあ。どこで会ったんだっけ。
「うん、2~3日タイの所へ遊びにきたんだよ・・・」
「オマエ、俺とどこで会ったか思い出そうとしてるだろ。ブロークンリバーで何回も会ってるぞ」
「そうか、ブロークンリバーか。すまんすまん。物覚えが悪くてなあ。」
ボクは白状するが、人の顔と名前を覚えるのが苦手である。苦手な上に忘れるのが早い。
ところがボクの顔と名前はよっぽど印象に残るのか、向こうは覚えているということがとてもよくある。不公平だ。
特にこちらではMate(仲間)という便利な言葉があり、相手の名前を忘れても全てMateで通ってしまう。
『あの、どちらさまでしょうか』と聞くタイミングを逃し、そのまま話し続けるということもある。
20年もこの国でこんな事をやってると知らず知らずに有名になっていて、初対面でもお話は聞いてますと言われることもよくある。恐ろしい話だ。
キミが横から口をはさんだ。
「ねえ、この辺りで良いブッシュウォークはあるかしら?ヘッジが行きたいんだって」
「ブッシュウォークねえ、それならモレーンウォークがいいぞ。人も少ないし、でっかいラタの木もあるぞ。じゃあな」
そう言い残しヤツは去っていった。
近辺の地図があるところでキミが場所を教えてくれた。
ついでにボクはさっきのヤツの名前を聞いた。トリッシュというそうな。
トリッシュ、トリッシュ、トリッシュ。ボクは何回かつぶやいた。
次に会うときまで覚えていられるだろうか。
オフィスを出て車で5分ぐらい走り脇道へ入る。
看板から入っていくとそこはコケとシダ、カマヒやラタの森だ。
道は整備されすぎず、落ち葉を踏む感触が心地よい。
キミが言ったとおり人は全然入ってこない。自分一人で森を楽しめる。
地元の人の言うことは素直に聞くべきだ。
小川のそばでコケの上に座りボーっと森を眺める。
傘のようなコケ、アンブレラ・モスの群生だ。美しい。
今、この瞬間、ボクは森に包まれ生きている。
幸せな時とは常にそこにあるものなのだ。
ふと時計を見ると思ったよりも時は過ぎている、キミとの待ち合わせの時間に遅れそうだ。
こんな所にいると時が経つのも忘れてしまう。危ない危ない。
ボクは再び車を走らせフランツジョセフに向った。
続