イカットの島 / バリ島に暮す / 風に吹かれながら

バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

シドゥメンへ 再び / ソンケット織りの村ムンチャン~タンコップ~サンカウ・グヌンを訪ねる

2015年06月12日 | 織りの旅/海外
翌日、ムンチャン村へイダ・バグースさんを訪ねました。
ソンケットの織り職人さんの家を案内してくれました。まずはムンチャン村からです。
1.ムンチャン村 Desa Muncan Banjar Gede
Ni Kadek Apriani さん
Ni Wayan Wargiani さん

2人工房で主にカディさんから聞きました。20年のベテランです。バトゥアン村で見た同じモチーフを並べたソンケット織りでした。列のモチーフは後で切り離します。男の人の正装サロンの上に巻くサプッ Saput の下の縁模様に使われます。緯糸、色糸が10本取りで太く、1.5mを3日で織ります。1枚、RP.300000で取り引きされるそうです。

2.タンコップ村 Desa Tangkup
Ni Ketut Metariasih さん

次はムンチャン村からクルンクンに向かう道を下り、10キロ離れたタンコップ村 です。110家族、450人あまりの小さな村です。約50人の織り職人がいるそうで、女性は織りをすることが伝承されています。Ni Ketut Metariasih さんも10歳ぐらいから母親の織りを見よう見まねで覚えたそうです。以前はデンパサールで働いていましたが、仕事が無くなり、村に帰り織りを仕事にしました。こちらのソンケットは正装時のスレンダンやセレモニー用のデコレーションに使われるそうです。同じモチーフを5列で織り、後で切り離します。
サロンの織りと違い、緯糸、色糸は5本取りで太く、織り上がりまで2~3日と早く、効率が良いそうです。幅約45センチ、長さ1.5メートルで1枚RP.105000で取り引きされますが、糸代、デザイン、モチーフの糸ソウコウでRP.50000がかかります。差額のRP.55000が工賃です。現金収入の仕事が無いので、織りの仕事は安くてもタンコップ村では残っているのでしょう。建築材料を運ぶ女性たちの一日給がRP.50000ぐらいですので、かなり安い労働です。昔の内職のようなものです。

日本の大島紬の織り職人の賃金は1反が市場価格で200万円でも時間給換算すると100円と驚く数字です。後継者が育たないのではなく、生活できない賃金ではなり手はいません。他の仕事を選択してしまう、バリ島とあまり変わらない状況です。
(2010.1現在 大島紬の職人さんのブログから)
でも、バリ州の最低生活費はRP.1612818 (約16100円) で
最低賃金がRP.1621172 (約16200円) なので日本の方がひどい環境です。


加工され、市場に出回る時には高額になる過程も同じです。適性価格の取り引きが成り立つよう、織り職人が自らその技術を売るために中間業者を入れずに技術者組合を創り、販売するのはどうかな、などと考えます。

タンコップ村の中心





Ni Ketut さんの家の前



5列のモチーフ



5本取りに緯糸を準備しています。



どこでも子供たちが大勢います。赤ちゃんを上のお兄ちゃんが良く面倒をみてました。



3.サンカウ・グヌン村 
Desa Sangkau Gunung Banjar Ipah
Ni Ketut Marni さん



ムンチャンに近い村です。
シドゥメンと同じ2枚を接ぐソンケット織りです。
50センチ幅で2.20m織ります。2枚織るに2週間かかりRP.600000で取り引きされます。



製品の販売と糸やデザインの仕入れ先は全員がシドゥメン村でした。シドゥメン村が織りの中心のようです。