今月の集まりに向かう時、珍しく開始時間ちょうどくらいの電車に乗れた。
目的地の山門に近いのは先頭車両だ。
呼ばれて下を見たら仲間が座っていて、次の駅で空いたので隣に座った。
向かいのドアの横には別の仲間が立っている。
気がつかないね、と私たちが話していても、ドア横の彼女は空になったコーヒーのカップを手に本を読む横顔を見せている。
時折視線を外に向けて、一心にという感じでもなかったけれど、きっとその世界にひたっていたんだろう。
駅を降りる時に言葉を交わしたけれど、まだ少しどこか別のところにいるようだった。
後で彼女の投稿を見かけて、その哲学者の本を読み新しい学を立ち上げる決意を強くしたとあった。
もしかしたら誰にも気がつかれず電車に揺れながら未来が固まるその瞬間を、私は外から見ていたのかもしれない。
著者との対談が決まったとのこと。
きっと沢山の人を救うことになるその道のりに、困難より大きな祝福と多くの追い風がありますよう。