後で私の魂の一部になるものが、ある夜、庭で小さな声をあげていた。
ぴー、ぴー、ぴー、と。
恐る恐る子どもと様子を見に行くと見知らぬ猫がいて、少し離れたところに生まれたての何かが落ちていた。
生きるかどうかわからない生き物を箱に入れ、翌朝まだ息があったので獣医に持ち込んだ。
初めは確か15グラムだった赤んぼうに、三時間おきにミルクをやった。なかなか進まない離乳食に、獣医は甘えんぼうさんねと言った。
目が開いて、やがてまっすぐなしっぽがフワッと広がってリスになった。
預かった命をどうすればいいのか誰でも悩むけれど、その時その時にできることをみんなしていくんだと思う。
リスにはいろんな鳴き方があったけれど、その子は毎朝階下でげっげっげっと鳴いて私を呼んだ。
その頃私の家庭は嵐の中にあって何日も続けて家を空けることもあった。
私の心はずっとリスの子といたかったけれど、その時にはそれはできないことだった。
何年か一緒に暮らして、それよりもっと生きることもできたかもしれないリスは、気づいた時には虫の息だった。
少し無理をして車を獣医の前につけた。
前の車のドライバーに非難の目を向けられ、ああ、外からわからない事情というものを人は抱えているものだと思ったのを覚えている。
死んでもリスの子はかけらも私を責めたりしないので、その子を死なせた罪も喪失もどちらの側も全て平和に私のうちにある。
自分でも存在すると知らなかった、私の中にあるとても個人的な場所に。
ぴー、ぴー、ぴー、と。
恐る恐る子どもと様子を見に行くと見知らぬ猫がいて、少し離れたところに生まれたての何かが落ちていた。
生きるかどうかわからない生き物を箱に入れ、翌朝まだ息があったので獣医に持ち込んだ。
初めは確か15グラムだった赤んぼうに、三時間おきにミルクをやった。なかなか進まない離乳食に、獣医は甘えんぼうさんねと言った。
目が開いて、やがてまっすぐなしっぽがフワッと広がってリスになった。
預かった命をどうすればいいのか誰でも悩むけれど、その時その時にできることをみんなしていくんだと思う。
リスにはいろんな鳴き方があったけれど、その子は毎朝階下でげっげっげっと鳴いて私を呼んだ。
その頃私の家庭は嵐の中にあって何日も続けて家を空けることもあった。
私の心はずっとリスの子といたかったけれど、その時にはそれはできないことだった。
何年か一緒に暮らして、それよりもっと生きることもできたかもしれないリスは、気づいた時には虫の息だった。
少し無理をして車を獣医の前につけた。
前の車のドライバーに非難の目を向けられ、ああ、外からわからない事情というものを人は抱えているものだと思ったのを覚えている。
死んでもリスの子はかけらも私を責めたりしないので、その子を死なせた罪も喪失もどちらの側も全て平和に私のうちにある。
自分でも存在すると知らなかった、私の中にあるとても個人的な場所に。