日々乃家日誌 まにまに・てい子の日々の発見

母まにまにが娘てい子と始めた、日々の発見を綴るブログです。

GRACE 役割を引き受ける

2017年07月07日 | GRACE 死にゆく人とともにあること
楽しく飲んで食べた帰り道に子どもの話になって、うちの子たちは不登校後のリハビリ中って言ったら相手のモードが切り替わって、人それぞれだし学校は行かなくてもと親切なアドバイスをもらった。
一緒に帰った人は精神科医だから、オフの時間にもいろいろ意見を求める人がいつも沢山いるのだろう。子どもが不登校でと言った相手がアドバイスも求めていない確率は、果てしなくゼロに近いに違いない。
だけどほら、家で子どもを育てることに関しては、実は私は全国的にも最先端の情報にアクセスし、なおかつ実践してるから。
一般的なアドバイスをくれなくても、むしろ聞いてもらっても。

そういえば今日みんなで勉強したのも同じことだった。
人が自ら引き受ける役割について。

それは病棟で看護師に暴言や威嚇を繰り返す入院患者のケースだった。
重い口を少しずつ開き始めた病棟のスタッフは、どんなに酷い態度か
どんなにつらいことか訴える。
それは、完全に「被害者であること」を「引き受けている」状態だった。

ああ、それじゃあ何をしても解決はしない。
対立したその形になっている時点で詰んでいる。

スクリーンの中央に座るのはジョアン・ハリファックス博士。

大変ですねとみんなの気持ちを受け取った後、
まず今の体の状態を感じて下さいと言う。
あなたの体は今どんな感じですか。
どんな感覚がありますか。
固い柔らかい暑い冷たい?

胸がドキドキしています。
ギュッと硬くつまった感じ。
顔がほてっています。
などとみんなが答える。

では、とジョアンは言う。

どうでしょう、この患者さんが全く無力な生後3ヶ月の赤ん坊のような存在だと思ってみたら。
ちょっと目を閉じて想像してみてください。

みんな目を閉じる。

空気が変化する。

再び聞きます、今のあなたの体の感じはどうですか。
さっきとちがうかしら。

違います。

では次は。
彼、は何を感じているのかしら。
目を閉じて感じてみて。
どうかしら。

そうすると、もう被害者はいない。
加害者もいない。
そして加害者と思われていた苦しむ人とつながる道が出現する。

ここが違うと指摘するのではなく、自分で感じることで気づくように手伝う。

私がいいなと思うのは、もちろん酷い態度も暴言も許されることではなく、あなたたちが感じることは正当な反応です、ということも忘れず伝えていること。

こうあるべき、なんてなんの助けにもならない。
そんなの誰だってわかってる。
でも向こうも苦しい、こちらも苦しい、どうしたらいい。
そういうギリギリのところでそれでも誰かの力になろうと戦ってる人が世の中には沢山いる。
ほんとに沢山いる。
ジョアン・ハリファックスがいいのは、じゃあどうしたらいいって具体的に、できることに落とし込むことに注力してるところ。

だいぶずれました。

別のことも思い出した。また別の偉い人、人生の達人と話す機会があったんだけど、何故か後でさみしい気持ちが残った。多分これも同じ理由だ。
私はただ単に一人の人としてその人に会ってみたかった。
おそらくその人は私を「助けようと」したんだ。
だけど私は助けられようとしていなかった。
その時そう伝えるほどには自覚的でなかったけれど。

もちろん私は受け身でいる必要はなく、自分から関わり方を提案することもできた。

そうすると。

自分が何をしようとしているか、どんなつもりでいるか、どんな役割を選んでいるか、どういう予測の色眼鏡をかけているかで出会い方は変わる。
私たちは出会うものを変えてしまう。

だとすると。

この雑文の最初に戻り、私が「私は全国的にも最先端の情報にアクセスしてるからむしろ聞いてもらっても」と感じることは、私が親切な友人から学び、私のためにそこに置かれた贈り物を受けとる邪魔をすることでもあるだろう。

限りなく自分を、足元を見て
常に完全にそこに存在すること。
自らの先入観を意識し、できうる限りオープンにお互いの存在を喜びながら出会いに立ち合うこと。

まだまだできることは沢山ある。

一つ息を吸って吐いて。

よく見る、もっとよく見る。

すると世界は私と共に生き生きと輝く

かもしれない。





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月命日

2017年07月07日 | 死について
そこを過ぎると確かにだんだん景色が変わってきた

衝撃は私を真っ二つにしていた

空っぽな明るい空間
奇妙な爽快さ
悲嘆と後悔は見当たらないが
私はすっかり変わっている

亡くなったひとはそっくりそのまま
何一つ損なわれていない
失われていない

「ほら、見て」

と悲しむ人に見せてあげたい

変わったのは
私の日常の形
一翼を担っていたものの巨大な空白

(着床した)
(完成した)

私は真っ二つで大きく開かれている

死がもたらしたものを
大切に拝領する


気がつくと
私は周囲と違う歩き方をしている
みんな足跡を残すのに
私は足跡をたどり消していく

川を見れば
川になり
世界と同じ夢を見る

存在する遊びにふけり
自分はうすくうすくうすくうすく

私みたいなのは
あんまりいないみたい

このままいくと
消えていくかな
少し怖いような

かまわない

飛びこんで
溶けて
世界になる
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