『グレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造』
(ZENPH RE-PERFORMANCE)
というCDを聴きました。

『ゴルトベルク変奏曲』との出会いは、グールドの1981年新録音盤です。
それもLP盤で発売されてすぐ、というものではなく、
かなり後にCDになってから聴きました。
その後、遡って55年録音のデビュー盤も聴きましたが、
自分にとっての愛聴盤、いつも手に取るのは新録音盤でした。
前にも書きましたが、一番多く聴いているクラシックCDだと思います。
グールドは、音楽の録音・再生技術の進化に伴い、
「聴き手が自分の解釈や好みで音楽を編集し音楽を作り上げる」
という新しい「聴取法」を考えていたようです。
ところで、バッハ大先生の鍵盤曲
「インヴェンションとシンフォニア」の演奏順(録音順)は、
①インヴェンション(15曲)を演奏し、次にシンフォニア(15曲)を演奏
②インヴェンションの1番を演奏し、次にシンフォニアの1番を演奏
のいずれかが普通ですが、
グールドの録音は、②でありながら、1番、2番、5番、14番・・・
と続いていきます。
曲の性格?や調性など、考え抜いた曲順のようです。
そんなグールドの「インヴェンションとシンフォニア」を
かつてウォークマンに録音する際、あえて、1番、2番、3番・・・と
本来の曲順に直して取込んで、聴いていました。
それを知ったグールド・マニアの友人に、
「グールドが喜びそうなことをやってるなあ」と言われて、
先ほどのグールドの"思想"を知りました。
今回のCD、「ZENPH RE-PERFORMANCE」とは、すごく大雑把にいうと、
録音を解析して、音楽的属性(音程、音符の長さ、打鍵や離鍵の速度)を抽出し、
デジタル処理をしてコンピュータ制御のピアノに演奏させ、
それを改めて録音したもの、のようです。
つまり、1955年にモノラル録音されたグールドの演奏を、
最新のピアノで「生演奏」し、最新技術でステレオ録音したものです。
(バイノーラル録音版も併録されています)
このCDが発売されたのは2007年のようなので、
恥ずかしながら10年以上もの間、こんな凄いことが起きているのを
知らずにいました。
この録音(「再演」)に対しては、賛否両論あるようです。
それも、音楽的な側面だけでなく、倫理的!な側面に対しても。
私としては、断然「支持派・肯定派」です。
そもそも一聴して「誰の演奏か」がわかるほどの耳もないですし、
持っている再生装置も、大層なもではありませんし。
何曲か、従来のモノラル盤と比較しながら聴きましたが、
「クリアなステレオサウンドでグールドを聴いている」感は十分あります。
なにより、グールド自身が喜びそうじゃないですか。
(グールド研究で有名な音楽評論家、宮澤淳一氏が
詳しく考察されているので興味がある方はご参照を)
テクノロジーが驚異的に進化し続ける昨今、
クラシック音楽について、以前より空想(というより夢想?)
していたことがありました。
それは、
「ある演奏家の過去の録音全てをデータ化してAIに取込み、
その人の演奏の特徴やクセを学習させて、
生前に録音を残していなかった作品を演奏させる」
というものです。
この空想で是非聴きたいと思っている曲があります。それは
①グールドが演奏する「フランク:前奏曲、コラールとフーガ」
②ボレットが演奏する「バッハ:ゴルトベルク変奏曲」
③グールド、ボレットが演奏する「ムソルグスキー:展覧会の絵」
の3曲です。
ホルヘ・ボレットは最も好きなピアニストなのですが、
正規に録音されたものはあまり多くなく、
また、作曲家・作品にもかなり偏りがあります。
グールドも、残された録音は多いですが、
やはり作品選びには偏りが強い方ではないでしょうか。
前出のグールド・マニアの友人と、ボレットとグールドが
共に録音している曲を聴き比べよう、と探してみたのですが、
確かメンデルスゾーンの無言歌の1曲だけだったと記憶しています。
その当時、リリースされていた正規CDを比較しただけで、
データ上(PC等)で照合したわけではなく、
またその後、新たに見つかった録音もありますので、
絶対というわけではありませんが、先ほどの①~③はないはずです。
ボレットが演奏するフランクの「前奏曲、コラールとフーガ」は
自分にとっては、あらゆるクラシックCDの中の究極の1枚なのですが、
もしグールドが演奏していたら、それに匹敵していたかもしれません。
またボレットが「ゴルトベルク変奏曲」を録音していたら、
グールド盤と共に、愛聴盤になっていた可能性もあります。
そして二人の「展覧会の絵」、聴いてみたくないですか?
「ZENPH RE-PERFORMANCE」は、自分にとっては、
そんな妄想の実現を予感させてくれるような"第一歩"でした。
※その後、「ZENPH RE-PERFORMANCE」シリーズは数枚しか出ていないので
あまり受け入れられなかったのかもしれません。
(ZENPH RE-PERFORMANCE)
というCDを聴きました。

『ゴルトベルク変奏曲』との出会いは、グールドの1981年新録音盤です。
それもLP盤で発売されてすぐ、というものではなく、
かなり後にCDになってから聴きました。
その後、遡って55年録音のデビュー盤も聴きましたが、
自分にとっての愛聴盤、いつも手に取るのは新録音盤でした。
前にも書きましたが、一番多く聴いているクラシックCDだと思います。
グールドは、音楽の録音・再生技術の進化に伴い、
「聴き手が自分の解釈や好みで音楽を編集し音楽を作り上げる」
という新しい「聴取法」を考えていたようです。
ところで、バッハ大先生の鍵盤曲
「インヴェンションとシンフォニア」の演奏順(録音順)は、
①インヴェンション(15曲)を演奏し、次にシンフォニア(15曲)を演奏
②インヴェンションの1番を演奏し、次にシンフォニアの1番を演奏
のいずれかが普通ですが、
グールドの録音は、②でありながら、1番、2番、5番、14番・・・
と続いていきます。
曲の性格?や調性など、考え抜いた曲順のようです。
そんなグールドの「インヴェンションとシンフォニア」を
かつてウォークマンに録音する際、あえて、1番、2番、3番・・・と
本来の曲順に直して取込んで、聴いていました。
それを知ったグールド・マニアの友人に、
「グールドが喜びそうなことをやってるなあ」と言われて、
先ほどのグールドの"思想"を知りました。
今回のCD、「ZENPH RE-PERFORMANCE」とは、すごく大雑把にいうと、
録音を解析して、音楽的属性(音程、音符の長さ、打鍵や離鍵の速度)を抽出し、
デジタル処理をしてコンピュータ制御のピアノに演奏させ、
それを改めて録音したもの、のようです。
つまり、1955年にモノラル録音されたグールドの演奏を、
最新のピアノで「生演奏」し、最新技術でステレオ録音したものです。
(バイノーラル録音版も併録されています)
このCDが発売されたのは2007年のようなので、
恥ずかしながら10年以上もの間、こんな凄いことが起きているのを
知らずにいました。
この録音(「再演」)に対しては、賛否両論あるようです。
それも、音楽的な側面だけでなく、倫理的!な側面に対しても。
私としては、断然「支持派・肯定派」です。
そもそも一聴して「誰の演奏か」がわかるほどの耳もないですし、
持っている再生装置も、大層なもではありませんし。
何曲か、従来のモノラル盤と比較しながら聴きましたが、
「クリアなステレオサウンドでグールドを聴いている」感は十分あります。
なにより、グールド自身が喜びそうじゃないですか。
(グールド研究で有名な音楽評論家、宮澤淳一氏が
詳しく考察されているので興味がある方はご参照を)
テクノロジーが驚異的に進化し続ける昨今、
クラシック音楽について、以前より空想(というより夢想?)
していたことがありました。
それは、
「ある演奏家の過去の録音全てをデータ化してAIに取込み、
その人の演奏の特徴やクセを学習させて、
生前に録音を残していなかった作品を演奏させる」
というものです。
この空想で是非聴きたいと思っている曲があります。それは
①グールドが演奏する「フランク:前奏曲、コラールとフーガ」
②ボレットが演奏する「バッハ:ゴルトベルク変奏曲」
③グールド、ボレットが演奏する「ムソルグスキー:展覧会の絵」
の3曲です。
ホルヘ・ボレットは最も好きなピアニストなのですが、
正規に録音されたものはあまり多くなく、
また、作曲家・作品にもかなり偏りがあります。
グールドも、残された録音は多いですが、
やはり作品選びには偏りが強い方ではないでしょうか。
前出のグールド・マニアの友人と、ボレットとグールドが
共に録音している曲を聴き比べよう、と探してみたのですが、
確かメンデルスゾーンの無言歌の1曲だけだったと記憶しています。
その当時、リリースされていた正規CDを比較しただけで、
データ上(PC等)で照合したわけではなく、
またその後、新たに見つかった録音もありますので、
絶対というわけではありませんが、先ほどの①~③はないはずです。
ボレットが演奏するフランクの「前奏曲、コラールとフーガ」は
自分にとっては、あらゆるクラシックCDの中の究極の1枚なのですが、
もしグールドが演奏していたら、それに匹敵していたかもしれません。
またボレットが「ゴルトベルク変奏曲」を録音していたら、
グールド盤と共に、愛聴盤になっていた可能性もあります。
そして二人の「展覧会の絵」、聴いてみたくないですか?
「ZENPH RE-PERFORMANCE」は、自分にとっては、
そんな妄想の実現を予感させてくれるような"第一歩"でした。
※その後、「ZENPH RE-PERFORMANCE」シリーズは数枚しか出ていないので
あまり受け入れられなかったのかもしれません。