前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
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(一服ざる)

クリスティアン・リンドベルイ 『モーターバイク協奏曲』

2014-10-05 16:53:37 | クラシック音楽
トロンボーン奏者、クリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg)が演奏する
『モーターバイク協奏曲』(作曲ヤン・サンドストレム/Jan Sandstrom)のDVDを買いました。




先日の「題名のない音楽会 ~なんてったってトロンボーン~」の中で紹介されていて、
面白そうだなあと思ったので。

実は高校時代にちょっとだけトロンボーンを演奏した(正確にはポジションを体で覚えて音を出した)ことがあり、
その音色や演奏する姿など、今でも最も好きな楽器です。


番組では、トロンボーンの魅力や有名な演奏者の紹介がされており、
『モーターバイク協奏曲』は、バイクの走る様子(エンジン音)をトロンボーンで模していました。

楽器で動物の鳴き声や乗り物の音などを"物真似"することはよくありますが、
この曲は単なるギミックではなく、技術的にもかなり高度なようでしたので、
全曲聴いてみたくなりました。



衝撃でした。
トロンボーンでこんな演奏ができるなんて!

トロンボーンの超絶技巧?で「熊蜂の飛行」を吹くのは知っていますが(これでも凄いんでしょう)、
さらに次元が違う。

圧巻は曲終盤のカデンツァ?です。
超高音でスライドを動かしながらのタンギングと倍音への自在な移行。
そこからの(恐らくは)5オクターブ以上?の半音階下降!!
(うまく説明できないし、そもそもこの表現で正しいのか・・・)

どんなに早い高音のパッセージをも、正確無比に、そして楽々と吹きこなす
その技術と体力。




クリスティアン・リンドベルイは1958年、スウェーデン生まれで、物知りウィキさんによると、
「世界でただ1人、フルタイムのソロ・トロンボーン奏者として成功している人物で、
 これまでに70曲以上の協奏曲を含む200曲以上もの作品を初演」
だそうです。


本来、凡人が超一流、天才の技巧をあれこれいうことはできないのですが・・・。

例えば、160kmの速球を、落差の大きいホークボールを投げられるからといって、
その投手が超一流だとは限りません。

巧みな配球や打者との駆け引き、投球のテンポ、フィールディング、
シーズンを通して活躍できる体力や、大事な場面でも動じない精神力。
それらを兼ね備えて勝ち続ける投手が、超一流なのでしょう。


オーケストラで活躍する奏者であれば、単に技巧だけでなく、
指揮者の要求に瞬時に応える表現力や音楽性、指揮の意図を先読みする力、
パートをまとめるアンサンブル能力などがないと、超一流とはいえないのでしょう。


ですから、ソロ奏者とオーケストラの演奏者を単純に比較はできなでしょうけど、
(非難覚悟でいわせてもらえば)
クリスティアン・リンドベルイという人、現代最高の、いや史上最高のトロンボーン奏者
ではないのでしょうか。

それほどの説得力をもった、圧倒的な演奏です。


「神の楽器」と呼ばれるトロンボーンを自在に操る、「トロンボーンの神」の名がクリスティアン
なんて、ちょっとできすぎでしょうか。


CDも膨大にありますし、作曲もしているそうなので(当然自作自演)、
この衝撃はまだまだ続きそうです。
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