前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

フランク 『ヴァイオリン・ソナタ (ピアノ独奏版)』

2012-08-05 11:04:12 | セザール君の作品
名ピアニスト、アルフレッド・コルトーがピアノ独奏用に編曲した
フランクのヴァイオリン・ソナタを聴きました。

併録は同じくフランクの

  前奏曲、アリアと終曲
  前奏曲、フーガと変奏曲(原曲はオルガン曲です) 

ピアノ独奏は永井幸枝さんです。

存在自体は知っていて名編曲だとの噂でしたが、ようやくCDを入手することができました。


フランクのヴァイオリン・ソナタは「ヴァイオリニストに愛されている名曲」ですが、
と同時にピアノも同等に活躍する、ピアニストにとっても名曲です。

コルトーが「ピアノだけで弾きたい」と考えたのもそういう理由からでしょうか。


第一楽章はピアノの短い序奏のあと、
いつもならヴァイオリンで奏でられる漂うような旋律が、
(当たり前ですが)同じピアノで出てくるので、
分かっていても、最初はちょっとびっくりというか軽い違和感を覚えます。
(ただ二回目に聴いたときはもう普通に耳に馴染んでますが)

第二、第三楽章は元々ピアノが活躍する楽章ですので、全く不自然さを感じない、
というか最初からこういう曲だったと錯覚する程です。

終楽章はカノンですので、さすがにこれは違う楽器(音色)で
「追っかけっこ」した方が聴きやすい部分はありますが、
でも全体を通して、原曲の良さを損なわない素晴らしい編曲です。


「古今のヴァイオリン・ソナタの最高峰」と評される名曲ですが、
ピアノ独奏に編曲して、これだけ聴きごたえのあるヴァイオリン・ソナタは
他にないでしょう。

編曲物としては、ヴァイオリンをチェロやフルートに置き換えた版もありますが、
このピアノ独奏版も、もっと演奏されてよいと感じます。


ところでフランクがこのヴァイオリン・ソナタを作曲したとき(1886年)、
コルトーもすでに生まれてるんですよね(1877年生まれ、コルトー9才!)。
この事実にもちょっと驚きです。