前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

中山康樹 『エレクトリック・マイルス 1972-1975』

2010-10-21 09:18:09 | 
中山康樹さんの著書
『エレクトリック・マイルス 1972-1975』
(ワニブックス新書)
を読みました。


中山康樹さんのマイルス関係の著作では、

 「マイルス・デイヴィス 青の時代」(集英社新書)
 「マイルスの夏、1969」(扶桑社新書)

をすでに読んでいます。


「青の時代」は『Kind Of Blue』誕生まで、
「マイルスの夏」は『Bitches Brew』誕生までの軌跡を
丹念に追っています。

本作品は、その後の
『On The Corner』、『Get Up With It』、
そして『Agharta』、『Pangaea』という
1975年に日本でライブ・レコーディングされた
アルバム誕生のまでの経緯が書かれています。


新たな(画期的な)作品が生まれるまでに、
マイルスがどんな音楽に興味を持ち、誰と出会い、
どのようなセッションを繰り返したか、という部分が、
様々な資料や関係者へのインタビューを交えて
ある意味淡々と(ルポルタージュのように)描かれます。

しかしながら、関係者の経年による記憶違いや
(虚栄心からの?)矛盾を一つひとつ丹念に検証していき、
マイルスの真意を探っていく様子は
ミステリー小説のようにスリリングでもあります。


どのようなジャンルの音楽でもより深く理解しようとするなら、
曲を聴くだけでなく、それなりの「勉強」が必要だと思います。

その点、ジャズは音楽理論などがある程度わからないと
その「真の面白さ、凄さ」に気付くのは難しいです。


私のとってはクラシック音楽よりも遥かに手強いです。