感動としあわせの家づくり物語

岡山県倉敷市の工務店「林建設」の大工職人「林俊文」が仕事で感じた「感動としあわせの家づくり物語」を綴っていきます。

ひとりの大工職人として想いを貫く事で繋がる未来を・・・

2013-06-27 21:26:01 | 林俊文の想い
4人の大工さんたちは岡山市中区の新築現場で造作工事の最後の追い込み作業に取り組む一日。

来月からは内装屋さんによって室内の壁紙などが貼られていく予定の現場なだけに皆が懸命に取り組んでくれ来月、早々に棟上げが予定されている某ゼネコンさんからの依頼での玉野市にて「蔵」の工事予定もあるだけに予定通りに現場に一区切りつけたい所。

そんな中、私は倉敷市中庄での屋根の葺替え工事現場へ向かいます。

お客さんの都合と先日までの雨の影響で二週間ほど空いた現場ですが今日から外装の改修工事の再スタート。

岡山の大工さん二人と先ずは屋根のカラーベストと呼ばれる葺上げ材を撤去するのですが、これが中々手ごわい・・・

カラーベスト自体を大きな釘で固定されているだけに釘を抜く作業も一苦労、更に何重にも重ねられた下葺き材のルーフィングも熱で溶けてしまい剥がすのにひと手間以上と思うほど作業が捗らないのは致し方ない所。

隅棟の部分は4~5重に重ね張りされていたルーフイング、ここまでする必要があるのか?と思う程の防水対策ではありますが・・・

成る程、それも其のはず表面の隅棟部分の板金が余りにもお粗末。

当初、新築したメーカーさんは雨が漏る事を想定してのルーフィングの施工だったのだと気が付くのですが・・・

北側の屋根に関しては、ここまでの防水対策をしているにも関わらず雨水の浸水もあったせいか屋根板はボロボロ・・・完全に腐った屋根板をそのままに作業を進める訳にもいく筈もなく、午後からは「しんちゃん」、「小野くん」に応援をしてもらい傷んだ屋根板は新しいモノに交換させていただきました。

こちらの物件の最初の計画を聞いた頃に、こちらの新築を手がけた某大手ハウスメーカーとの相見積もりだったのですが、確かに屋根の工事価格に当社と大きな開きがあった事を思い出します。

成る程、某ハウスメーカーは下地の補強は無視して既存の屋根の上にもう一枚新しい屋根材を被せる所謂、カバー工法を提案。

当社は既存の屋根材を撤去して下地の状態を確認した上での葺替え工法だったので当然、当社の方が高くなって当然ですが、私が当初の現地調査の時に目視で確認しただけでも屋根下地の損傷は想定できた事。

それをその家を最もよく知る新築を手がけた某メーカーさんが解らない筈もなく、その上で屋根のカバー工法を選択した事の意味とは・・・

真に暮らす人を思えば提案しなくては成らない筈の葺替え工法を提案しなかった理由とは?

考えられる範囲ではコストを押さえる事での受注、すなわち「売らないと成らない」為か?若しくは全くの無知な担当が現場を調査したか?しかし吹けば飛ぶような下地の上に、幾ら新しい高性能な屋根材を被せた所で暮らす人の幸せには繋がらないと言い切っても過言ではないのです。

「売らんが為の家づくり」の提案だとすれば・・・同じ建築でお客さんに喜んでもらう建築業界のひとりとしては寂しい所。

反対に考えれば、こうしたメーカーさんがあるからこそ、当社の様な小さな工務店でも真面目に「家づくり」をする事で多くのお客さんから支持してもらえるのかも・・・

そうして考えれば、自分の力では「売らんが為の家づくり」が横行する建築業界を変えれない現実に自分の力のなさを思い知りるのです。

しかし、当社を頼ってくれたお客さんには「営業下手」、「金儲け下手」と言われても真面目にコツコツと自分たちにできる最良の家づくりをお届けしていく事で自分たちの幸せを掴みたいと・・・

甘い理想だと笑われるでしょう、幸せも掴めないかもしれません。

それでも人生の最後までこの想いを貫く事で次の世代に「林建設の家づくりの思想」を伝えていければ、私が大工として生きた大工人生に意味が生まれる筈と、明日も小さな一歩を進む為にただ真面目に家づくりに取り組むだけです。

一本の木から始まる感動としあわせの家づくり物語 林建設 林俊文

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