山の頂から

やさしい風

桜色のハンカチ

2008-01-24 22:40:23 | Weblog
 山の上のお店やさんに桜色のハンカチが売っていました。
ここのお山はたくさんの桜が咲いてきれいです。
桜が咲くと花見のお客さんが大勢来ます。

 ある風の強い春の日、お店のハンカチ一枚が空に巻き上げられました。
あれよあれよという間に上昇気流に乗って高く空の彼方に消えました。
桜色のハンカチは、ずっと空の旅を続けます。
やがて遠い街に舞い降りました。
ひらりと舞い降りた場所は小さな村のお寺の庭でした。
お坊さんが独り庭の落ち葉を掃いていました。
「おや?きれいなハンカチじゃ~」と言って拾い上げたお坊さん。
誰もいないことを確かめると袋から取り出して被ってみました。
すると、アラ不思議!!女の子に変身するではないですか。
桜色のワンピースを着た可愛らしい女の子です。靴も桜色。
お坊さんは驚いたけれど嬉しくなりました。
早速、歌を唄ってみました。
声まで女の子。そうです、すっかり女の子なのです。
ウキウキとスキップをしながら外に出かけてみました。
 
 畑の道を歩いているとおばあさんに出会いました。
「可愛い娘さんや、何処からお出でじゃね?」と声をかけられたお坊さん。
咄嗟に「桜町からきたのよ」と答えました。
「きれいな頭巾ね。私も被ってみたいなぁ」と言われ
ハンカチの頭巾を貸してあげた途端にお坊さんの姿に戻ってしまいました。
「やや、しまったぁ~~」とお坊さんは叫びました。

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