市内に住むSさんは或る事業をされている傍ら、
趣味で骨董品を収集している。が、販売もしているようだ。
ほとんどがマニア向けとか。
しかし、どなたもが溜息をつくような物ばかりらしい。
今や中高年のアイドル、時の寵児とまで云われる≪綾小路きみまろ≫
そのきつい漫談は抱腹絶倒だが、主に劇場での公演。テレビでは余り見かけない。
この入れ替わりの激しい芸能界で生き残る術であろう。
旅行会社での彼の観劇ツアーは、アッという間に予約が埋まるようだ。
その彼が、まだブレイクする前からSさん宅を訪れていたという。
骨董が好きらしく、マニアを通して知り合いになったとか。
幾つか購入もしていると聞いた。勿論、「売れっこ」になってからのことのようだが。
ここ一年ばかりは忙しい所為か来ないとSさんは言っておられた。
素晴らしい盆栽の前でのツウショット写真を見せて貰ったが、
あのテレビで見かける顔付とは違って見えた。
潜伏期間30年とテレビ番組で称していたが、
チャンスと運、躍り出るタイミングは骨董と同様な気がする。
「死中有活(死中に活あり)」:死を背にした中に活路を見出す
「苦中有楽(苦中に楽あり)」:苦難迷妄の只中に楽を発見する
「忙中有閑(忙中に閑あり)」:忙しい中に心の余裕を見つける
「壷中有天(壺中に天あり)」:厳しい現実の中に別天地を見出す
「意中有人(意中に人あり)」:心から尊敬できる人生の師を持つ
「腹中有書(腹中に書あり)」:自己中に確固たる哲学信念を持つ
安岡正篤・「六中観」より
どんなに多忙な現実、煩雑な状況にあっても、
心の中に揺るぎない「閑けさ」が保たれていることが「忙中有閑」とか。
自分の中の「閑けさ」を発見し、咀嚼、鍛錬し腹のすわった人になれと、
禅は説いているようだ。