活動の日々

自閉症スペクトラム関連を中心とした、対外的な活動を綴っていきます。

令和最初の滝乃川学園ケース会議~ケース会議とは~

2019-07-01 | 滝乃川学園
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。


今回の記事は、学問的な内容が多分に含まれていますので、読まれる際にはそれをご了承いただいてご覧くださいね。


早速ですが、3週、4週と、2週連続で、滝乃川学園児童入所施設部でのケース会議を行ってきました。

令和に年号が切り替わって初のケース会でしたね。年号が変わっても、やることは同じですがね。


毎年やることは


1・寮全体の目標設定・確認
2・プランナーとしての目標設定・確認
3・子ども一人一人の目標設定・確認(ニーズ)
4・子ども一人一人のビデオ(主に指導の様子)の確認(私も職員皆様も)
5・職員皆様への確認(ビデオ以外での様子や、細かい指導のやり方等)
6・課題設定(課題の手引きの作成)
7・質疑応答


1:ケース会は、特定のお子さんをピックアップして、そのお子さん一人一人の目標と指導を明確化して、指導が効果的に進んでいるかを確認していくというものです。
しかし、「特定のお子さん」だけでなく、また、ケース会の場だけでなく、その知見が広く職員一人一人の子どもとのかかわりのエッセンスになっていかなければなりません。
すなわち、ケース会の意味は上に挙げたとおりですが、なぜそれを施設・寮で取り組むのかを明確化する必要があります。
それにより、長期的にみると職員一人一人の自覚が変わりますからね。


2:プランナーというのは、子どもへの指導のプログラムを作成する人間ということになります。私もそうですが、別名セラピストですかね。
2、3人に絞ってプランナー育成をしていきます。
「今年は何を学んでいければ良いな」とか、そういうのを決めるということです。
余談ですが、目標が細かくなっていけばいくほど実は自分の力が分かっているということ。自分の力が分かっているということは、本当の目指すべき場所や目標が見えているということ。これはすごいことなんです。
いうなれば、そういったスキルを向上させていく一環としても、やはり自身の目標設定は大切です。


3:「できるだけ色々なことができるようになってほしい」それは当然ですが、まず何をやっていく必要があるのか、それを決めるためには、職員の方が、何ができるようになって欲しいか、意見を出し合っていくということが大切です。
そして、「それはまだ早い」とか、「そのためには〇〇からできるように」とか、そういう形で私が口をはさみ、最終的に目標の詳細が決まっていきます。
私が目標を決めるのではありません。いや、「最終的な目標」や、「子どもが「重い」も「軽い」も関係なしに、どうなるべきか」も、もちろんわかっています。
しかし、その過程でも「できるようになってほしい」と思うことはたくさんありますよね。今年何をできるようになってほしいとか、そういう細かなところは「ニーズ」です。私が決めるのは簡単ですが、実際に指導する職員の方が意見を出し合って、目標を共有していくことは大切なのです。
指導者が全てを決めてしまうのはおこがましいということ。


4:ビデオは主に指導のビデオです。一人一人の学習プログラムを作成し、マンツーマンでの指導を行います(すごいでしょ?入所施設なのに。職員一人一人がすごいということ)。
その様子を皆で見て、「私の時はうまくできていないな」とか「指導の細かい方法が違うな」とか、「なるほどこうやるとうまくいきやすいのか」とか、指導の細かいところを確認しあいます。
私は指導手続きが間違っていないか、とか、課題の達成率を確認したりとか、ビデオとスコア表を確認しながら、次の課題のステップのたたき台を作成したりします。

5:ビデオの様子は本当に普段の様子なのか、また、ビデオを見て皆様はどういう感想を持たれたのか、とか、細かい話を聞いていきます。
それにより、より子どもの様子がイメージ化されます。
そして、課題を完成させます。

6:完成した課題を、皆様へお伝えします。お伝えする内容は1つ1つの課題の手順表として、後にプランナーが作成し、後日それを私に送っていただきます。それを確認して、必要に応じて修正したりします。

7:課題の事での質問や、その他日常生活援助の中での質問・疑問にお答えします。

「7」が終わると、また別のお子さんのことをやるので、「3」に戻ります。


上が年度の初めにやることです。2回目以降は「3」から始まって、年度の目標へ到達してきているか、順調に指導が進んでいるのか、修正する必要があるところがあるのか、等をチェックしていきます。

また、年度の最後に「1」と「2」と「3」の目標達成度がどうであったかを確認しあう、という作業が入ります。

これがケース会です。


この分野だけでなく、指導や支援が関係する分野でのケース会というものは、おおむねこういう内容になるのだと思います。




中々疲れますよね(笑)。何より施設の職員の方が。しかし、その苦労は子どもの成長を通して報われます。そうじゃないとだめでしょ。




ということで、今週はこの辺で。


それでは、また来週に。




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