活動の日々

自閉症スペクトラム関連を中心とした、対外的な活動を綴っていきます。

ペアレントトレーニングが受けられるところを探している保護者の方へ

2019-10-15 | 療育
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。


早速ですが、今回はコラム的に記載します。内容は表題通り「ペアレントトレーニングが受けられるところを探している保護者の方へ」です。


まず、結論を先に記載しておきます。ペアレントトレーニングを受けたいなら

講習は「ペアレントトレーニングと言うものを知る事」のため

に行ってください。


そのうえで、受けたいと思ったら

「継続的なペアレントトレーニングや教育相談」を実践している事業所

に問い合わせてください。


そして、ペアレントトレーニングを行う場所選びは


・個別指導計画の作成方法が科学的である事
・ペアレントトレーニングの担当者が原則的に変わらないこと
・ゴール(目標)を作成し、「そのためにどういうことをやっていかなければならないか」を伝えられるところ

をお勧めしまして


・ABAを「取り入れている」ところ
・相談のシステムや契約が不明確
・ペアレントトレーニング=講習になっているところ

は控えたほうが良いと考えられます。




1・講習は足掛かり、継続的に行うほうが良い理由

よく巷では、「ペアレントトレーニング」というタイトルや、それを大きく強調した内容の講座を耳にします。しかし、それは本当は間違いです。

いや、「間違い」と断定はしてはいけないかもしれません。しかし、そのペアレントトレーニングの講習を受け、それを日常で活かし続けることは、私の経験上まず無理です。

子どもは変化していきます。成長もしています。すなわち、その時期によって必要なことも変わりますし、「小さいころに良しとしたことが大きくなったら望ましくない」こともあります。


また、家庭内でADLやQOLを教えていくでしょうが、ペアトレにおいては、その方法が、より子どもにあったものにしていかなければいけませんが、それは法則こそあっても、個々によりアレンジすることが求められます。

それをふまえたうえで、子どもの変化に応じて適切な対応方法を、自分自身で考え、分かるようになるためには、専門家レベルでないと不可能でしょう。でないと、そもそもこの仕事の意味が無いですし。

事業所の中には、講習のペアレントトレーニングが本当のペアレントトレーニングのように言う、またはそういった講習を行うことで専門的事業所を名乗る場所もあるそうです。
ペアレントトレーニングの講習のパッケージは、複数の大学教授が既に作成しており、そのパッケージが手に入ります。そもそも、それで個々へのペアレントトレーニングは成立しません。

あくまでも、保護者の方は、ペアレントトレーニングが、どのようなものなのかを簡単に知るために、足を運んでみるということにしてほしいです。

そのうえで、「実際に自分の子に取り入れたいな」と思ったら、継続型のペアレントトレーニングや教育相談を実施していることろに相談してみましょう。




2・ペアレントトレーニング探しで押さえたいこと

指導は必ずゴールがあります。ゴールは個人によって異なる領域と、全員が到達するべきゴールがあり、それは抽象概念ではなく具体的なものです。
ただ「何かができるようにする」とか、「今困っていることを将来に軸を当てないで介入する」は、私たちの視点からはリスクがあります。

ゴールがあってこその短期目標です。そこをしっかりとおさえたうえで

目標に従って、どのようにすれば結果が出るかを伝えることができ、それを家族の状態を考慮したうえで、個々に応じた形で設定する、すなわち科学的な方法を伝えることができる

事が大切です。

でないと、保護者のニーズと指導者のサービスに乖離が生じて、良好な関係を築くことができず、それはもうすでにペアトレが終了している状況でしょう。

やるからには目標をしっかりと納得でき、そのための具体的な方法を科学レベルで説明できる場所を見つけることが良いでしょう。


あと、担当者が変わる…これは、もともとの契約がそうであった場合(術者養成の一貫、研究の一貫)なら別です(大学院等研究室ではままあります)。
しかし、そういったケースを除いたり、術者の引退等により、できなくなる場合は別にして、数年間の中で何度も担当者が変わるのは、かなりリスキーです。術者によって、微妙にやり方や考え方が違いますから、何度も変化していくうちに、やっていたことが大きく変わってしまうかもしれません。


こういったことを直接事業所に聞くのはなかなかシンドイかもですが、何ならダイレクトに指導者に聞いていても良いかもしれません。




3・注意点

・ABAを取り入れている
これは、ペアレントトレーニングとしては論外です。なぜなら、「ペアレントトレーニング=ABAそのもの」だからです。
しっかりABAの臨床を行っている術者や機関に相談ください。

・相談のシステムや契約が不明確
時間がどれくらいで料金がいくら、流れがどうなっていて、回数が何回で、ペアレントトレーニングで何をやるか、何ができないか、こういった「契約」的なことがしっかりしないといけません。
そういった事が不明確であるほど、相談者と指導者が強く結びつくことは無くなってしまいます。
床屋とか飲食店とか、契約がはっきりしているでしょ?食べたらお金を払い契約終了。床屋もですよね。
ペアレントトレーニングとかは、ただでさえ不明確なものです。時間も短期的ではなく、中長期的が一般的です。だからこそ、契約はしっかりしておくことが望ましいのです。

・ペアレントトレーニング=講習
ペアレントトレーニングを知ってもらうための講習であり、「講習=ペアレントトレーニングは間違い」です。
何かを中長期的に行うためには、データの整理とソーシャルサポート(簡単に言えば励まし)が大切です。

「〇年やってきて、ここまで成長したじゃないですかお母さん。」「目標にここまで近づきましたね」「〇年前はこれが難しかったですね」「お母さん、〇〇の対応がしっかり出来てきたんじゃないですか?」

こういう会話が大切なのです。しかし、ホストではありません。嘘や誇張は詐欺です。断じてだめです。

このように考えると、やはり、できるだけ担当者は変えてはいけないですよね。




4・ペアレントトレーニングとは(まとめ)

(1)本来は中長期的なものであり、講習ではないということ
(2)目標をしっかりと作り、そのための懸け橋(短期目標)を作っていくということ、結果を出していくということ、想いではなく科学的根拠の説明を聞けること
(3)しっかりと契約等、見通しが分かる事
(4)子どもの過去の振り返りとソーシャルサポートができること。担当者はあまり変わらないこと



これが素晴らしいですね。


すなわち「子どものできたを作っていくということ」


良ければ参考にしてください。




今週はこの辺で。


それでは、また来週に。




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