活動の日々

自閉症スペクトラム関連を中心とした、対外的な活動を綴っていきます。

ABAを行うということは、すなわち(指導者向けですが・・・)

2014-05-25 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

1つの事柄は、様々な側面があります。それは、私の臨床でも同様です。子どもの視点から。親の視点から。指導者の視点から。社会的な観点から・・・などなど。
その中で、今まではABAを用いて療育を行うことでの子どもから大人にわたっての成果、すなわち子どもの、特に私の教え子の視点から、ABAについて記載してきました。

そこで、今回は、ABAを用いて指導する、その「楽しさ」についてをメインに記載していこうと思います。というのも、中々指導者の「楽しさ」が綴られている書籍や記事がなかなかなくて・・・。

子どもが伸びるから、子どもが成長するというのは、特にABAでは当たり前であり、前提です。
子どもが伸びなければ楽しくないですし、一人ひとり成長の物差しが異なる中で、それでも子どもの成長を見逃さないためにシェイピング(目標までの道筋を細かくし、到達させやすい階段をつくるというもの)があるのです。
だから、それはある意味当たり前なのです。
ですから、今回はまた違った切り口で話していこうと思います。

私が子どもへ臨床を行うことの最大の楽しさの一つ。また、ABAを用いる理由。それは、「子どもと心を通わすことができる」ことであり、ABAはそのためのツールです。

「知らない・わからない」ということが、私が臨床を行ってからいまだかつて経験していません。「子どもがなぜ特定の行動を起こすのか」を知る、言い換えれば「子どもの学習の仕方を知る」ことができるのがABAなのです。それがわからなければ子どもに適したプログラムや環境設定ができないでしょう。

それがわかるとき、それは当然子どもの行動が変容されていきます。そして、そこに子どもが笑顔になったり、充実している表情があります。言い換えれば、子どもが元気になる兆しが見えるということです。それが、「心を通わせる」瞬間なのです。

「心を通わせる」それはすなわち「コミュニケーション」でしょう。「子どもの行動を受容すればコミュニケーションが取れる」と考えられている方もいますが、それは違います。なぜなら、コミュニケーションとは「ルール」があり、こちらの働きかけ(受動)と、子ども自身からの働きかけ(能動)によって成り立っています。「子どもの行動を  【すべて】受容」するのは本当の意味でのコミュニケーションではありません。それは、子どもが要求を成就するための道具でしかありません。

例えば、「子どもの唾吐きがすごいのよ。でも、仕方がないから受容します。それは子どもの個性ですから。」これはコミュニケーションではないですよね?しかも、それをそのままにしておけば、当然問題は深刻化し、結果子どもの選択肢は失われていきます。

ABAでの指導は「子どもの唾吐きに代わった行動を強化し、皆に認められる機会を増やそう。そして、笑顔で毎日を過ごせるように」と考えます。そして、指導を開始し、「子どもがそれを理解し、かつ問題行動とは異なった行動を起こした瞬間!そして、その行動を強化し、子どもが良い反応(笑顔や充実感、または再びその行動をとろうとした際)を示したとき!!!」ここがセラピストとしての喜びなのです。

こういったことを一人の教え子と繰り返していくことがこの分野の魅力でしょう。

だもの、幼児の専門家にはなれないですわ(笑)。そもそも、心理学とは、言い換えれば人間学ですから。年齢を超越して、指導には常にロマンがあるというものです。

しかし、ブログではなかなか伝わらないでしょうな~(苦)。基本的なことが本当に理解出るときは、色々な臨床を体験し、様々なケースを経験し、様々な臨床家の話を聴いてこそというものです。

これに共感できるセラピストがいるのなら是非お会いしたい。臨床技術の情報交換も是非ぜひというものです。
そして、そういった技術者を増やしたいがためにも、私はすくすくで顧問をやっているのです。なんて、エゴかな?(笑)


しかし、この気持ちで、今週日曜日にある、すくすくでのオリエンテーションに挑んできます。
その内容は、次の記事に。


それでは、また来週に。

ふとしたことで昔を・・・(元Jリーガーとの活動)+α(講座延期)

2014-05-18 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、表題通り、ふとしたことで、昔の私の活動を思い出すことがありました。
それは、私はたまに、私が代表の「ひまわりの会」や、私が顧問の「すくすく」のWEBを検索することがあるのですが、そこにかなり昔の活動のページを発見したのでした。

それは、他の機関と共同で行ったマニュアルの紹介のページです。

独立行政法人の補助のもと、元Jリーガーの、名古屋グランパスに所属していた清野氏(通称オッティ)が設立したFCUスポーツクラブとの共同事業で、この分野でのサッカー指導のマニュアルを作成するというものでした。

ひまわりの会は、今年設立9年目ですが、6年前はちょうどひまわりの会が法人化した年で(それまでは任意団体としての活動で、NPO法人ではありませんでした)、その当時FCUから依頼をいただいて、自閉症の特性を踏まえたうえで、どのようにサッカーを指導していけば良いのか、その基礎についてのマニュアルの作成に携わったのでした。

これまでに、教育委員会や学校、学童や施設と連携してきたことはありましたが、そういえばそういったある種特殊機関と連携したのはそれが初めて。なんせ元Jリーガーですからね。
お互い畑違いで、お互いの活動が全く理解できていない状況で、対話に対話を繰り返し、ようやく作ったプログラム。できたときはかなり嬉しかったな~。
しかし、日々やることに追われ、全く忘れていました・・・。そんなとき、自分をWEBで検索していたら、上位でそのページを発見!すごく懐かしい気持ちになりました。

比較的簡単に検索できますが、ここではそのページのリンクは貼りません!だって恥ずかしいから(笑)。昔の自分のプログラムを見ると、いつも何と青二才だったと思います(笑)。それは、事業レベルだけではなく、個人対の療育のプログラムもそう。
まあ当然ですよね。昔の自分のプログラムを見て完璧だと思うのならば、全く成長していない証拠。そう言う意味で、臨床とは常に研究的側面があり、常にこれまでの経験を持って、新たな事例の仮説をつくり、実証を行う。そこでは必ず達成と反省があります。

反省は必ずあります。もっと早く効果が出る方法はあったのか。他の子どもでもアレンジ可能なのか、別の(ABAの)法則で説明できるのだろうか・・・などなど。それを糧に自分のステップアップがあり、それが今担当している教え子や、まだ見ぬ子どもに活かしていくことができるのです。

話が少しそれましたが、まあどうしても興味があれば私の名前で検索してみてください。でも、できればやめてください(笑)。


ということで、「ふとしたことで昔を」の記事は終了です。


次は、+αの話です。

何と、5月に行う予定だったすくすくでの講座、見事延期しました(泣)。延期したのははじめて・・・。
その理由は、今回の参加者人数があまりにも少なかったこと・・・。
近隣の学校がPTAの集まりがあったりして、常連さんが全く参加できなかったことが大きな理由でした。

しかし、中止をすくすくで決定されてから、つまり講座を行う予定の1週間前から申し込みが来るようになり、中止にする意味があったのかしら・・・と思う結果に。
後、今回は保護者のみを対象としていたのですが、地域療育センターの心理士や所長などからも参加の問い合わせも来たりしていたらしいです。

と言うことで、今回の講座は、中止ではなく延期と言うことで。また同じ内容でやる予定でいます。その時には、保護者向けにするのか、条件を付けないのかは、また話し合いになるでしょうが、とにかく同じ内容で講座をやります。
私が子どもを指導している様子のビデオなども活用することもあり、是非興味ある方には見て欲しいと思っていますので。

ということで、+αの話でした。


それでは、また来週に。

ケース会議×2(汗)

2014-05-11 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、2回前に滝乃川の児童部入所施設にてケース会議の座長を担当すると記載しましたが、その後進展があったので、記事にしました。

その進展とは、当初は、ケース会議を1つの寮で約2時間程度行う形と把握していたのですが、児童部の寮は2つ存在しており、そこでもケース会議をやりたいとご希望を受け、2つの寮で座長を担当させていただくことになっていました。

何でも、寮は比較的低年齢のお子さんが集まっているのと、中、高校生が集まっているのと2つになっており、前回打ち合わせをした場所、職員ともに低年齢向けの寮のほうだったので、うっかり1つの寮だと思っていたのですが、2つの寮で、時間を分けてケース会議を行うということに正式に決定しました。

恐らく合計で4時間程度になるでしょうか。ケース会議は午前から開始して、夕方にはひまわりの会での訪問があるので、スケジュールはギリギリになりそうです(汗)。
それでも、自分の都合に合わせてくださり、何とか都合をつけることができ、一段落ついたところです。

職員の方々も日々の勤務に追われる中で、日時も調整してくださり、「それでもケース会議を」、と考えてくださっていることに感謝しています。なればこそ、全力で応えなければ。

しかし、何よりもひまわりの会を利用されている方々へ、何よりも感謝しています。
以前にも記事にしましたが、ひまわりの会は、はじめは利用者数はホンの数人から始まっていて、ABAがまだ全く浸透していなかった日本で、私を信頼してずっとついてきてくださった方々がいて、今の私がいるからです。

本当に感謝しています。例えば、この分野は、というか、私はですが、時間通りに終わらないことが多いです。その理由は2つあります。
1つは、子どもの様子によっては、課題がスムーズに進む日もあれば、進まないこともあり、しかし、特にひまわりの会は決して多くない指導回数なので、設定した課題はできるだけ達成させたいので、時間を延長してしまうこともあります。
2つ目は、保護者の方の相談に的確に回答しようとするあまり、細かくその内容の問診を行し、結果時間が延長されてしまうこともあります。
ちなみに、ひまわりの会は延長料は取らず、1回のセッションでの料金と言う考え方なので、それがよりそうさせるのですが・・・(笑)。

話を本題に戻しますが、時間が延長すれば当然次の利用者に影響が出ます。訪問では遅れての訪問となりますし、相談室でのセッションでは待合室が無いので、次の方には外でお待ちいただくことになってしまいます。
それでも嫌な顔一つせずにお待ちいただいているのです。本当は嫌でしょうに、皆、「お互い様ですから(笑)」と言ってくださり、私のやり方をご理解いただいています。

今回のケース会議も、利用者との雑談の中で話したりもしていますが、「先生なら大丈夫です。たくさんのお子さんを元気にしてください」などと励ましの言葉もいただきます。そのたびに、何よりもひまわりの会の利用者に感謝するのです。

偉そうですか?偉いですから(爆)。嘘です。言うなれば、偉そうにできるのは、利用者あってこそ。
臨床家は、この分野では教え子がいなければお終いです。利用者に活かされているのです。そう思えば、時間通りにいかなくても1回1回が全力投球です。
そう思うから、依頼された1年間のケース会議を成功させるのは、当然施設側、そのお子さんのためでありますが、私についてきてくれる利用者の方々の想いを乗せている感覚があります。だから絶対に目標達成させたいと思っています。


ちょっと真面目過ぎますかね?(笑)でも大真面目ですわ(笑)。

今回はこの辺で。


それでは、また来週に。

職員の養成~個別から般化へ~

2014-05-04 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

この記事は、実際は4月3週にあった、私が顧問を務めているNPO法人すくすくの、職員の養成講座についての話です。講座の話や外部機関でのケース会議の座長の話もあり、後は、ひまわりの会のことをどうしても書きたかったこともあり、この記事が先送りされてしまったのでした。

そして、今回の記事についてです。今回は、上記でも記載したように、すくすくの職員への養成講座の出来事をメインとして、療育の話に触れていきます。

NPO法人すくすくには、私がひまわりの会で私が担当している教え子が利用しています。しかし、教え子の自宅まで訪問しての指導(ひまわりの会では訪問での療育を行っています)となりますので、実際に私が指導しているところを、すくすくの職員が見る機会がなかったのです。

しかし、教え子の指導を保護者にビデオに撮ってもらい(このビデオは職員養成のため、および次回の講座でも使用します)、そのビデオを用いて職員の養成を行ったのが4月3週だったのです。

うちの職員、非常に感動してくれていたのが伝わってきました。ウルウルしている職員まで(笑)。予想通りの反応です。いやいや、予想以上ですよ本当に。私もすごく嬉しかったです。

なぜ感動していたか、それが、療育の話になります。
この分野は、「個別→般化」というのが重要なキーワードでもあります。
まず、「個別」での指導は、集団よりも新しいスキルを獲得させていくに最も優れた設定だと言えます。そして、そこで獲得されたスキルを様々な場所で活かしていくことが「般化」と呼ばれています。
私が様々な学校と連携するのはこういった意味があります。環境を、子どもがスキルを活かしやすい工夫をしてもらうためです。
個別での指導は「手段」です。「目的」は個別で獲得されたスキルを活かすためです。だってそうでしょう?「個別ではできるんですけどね。」ではいけないでしょう。特定の場所でしかできないというのは、結局目標を達成していません。目標は、教えたことを子ども自身が活かしていくためなのです。

だからこそ、「個別→般化」が大切。つまり、マンツーマンでの指導も大切で、子どもが生活で活かすこと、すなわち集団の中でも活かせること、つまり「般化」も大切なのです。
個別が大切だからひまわりで臨床、集団が大切だからすくすくの顧問をさせてもらっているわけです。

4月の養成は、それを職員の方々へ体感してもらうという目的があり、そのためのビデオを用いての講座をおこなったのです。

講座の後「驚いた!○○君がこんなにできるなんて思っていなかった!わからなかった自分が情けないです」と涙目で語っていた職員がいたとのこと。この職員は今後有望株に決定(笑)。いや、全員有望ですよ当たり前ですが(爆)。そして、その教え子も、すくすくの職員に支えられ、さらに成長していくことでしょう。
恥じることは決してないですよ。私が断言します。日々の子どもの生活の様子で、子どもの能力が理解できるのであれば、発達検査なんていらんでしょう?個別で入念に指導しなければ、子どもが持っている能力なんてわからないものです。そして、それを理解してもらうために、個別での指導を専門としている私が顧問をしているのです。

と、こんな話も5月15日すくすくでの講座でも話します。

連携、それはこの分野で最も困難な道であるともいえるでしょう。しかし、稀に子どもの「出来」に「ショック」を覚えてくれる先生がいるのです。保育園や学校での連携の中でも、数十人に一人いるかいないかの程度ですが・・・。
そういった方々は直ぐに分かります。実際の指導の様子を見て頭を抱えたり、「私は何をやれば良いのですか!?」と即座に聴いてくれたりしますから。

今回の目的は達成されました。しかし、それだけでは無くて、本音を言うと、こういった方々と出会うために私は臨床活動をしているのです。
自分の臨床が、つまり教え子の成長を周囲が認めてくれることに喜びがあるのです。それ以外に何があるというのでしょうか?


話は変わりますが、今はゴールデンウィークです。しかし、わずかな休みも、緊急で実家に帰省しなければならない事態があり、疲労が半端ない・・・。コンディションを戻さねば(泣)。


それでは、また来週に。