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【京都幕間旅情】仁和寺,紅葉は鮮やかさ増す太陽と巡る-数多時代劇に描かれた情景と共に想う江戸東京との縁

2022-12-14 20:22:11 | 写真
■金堂は照らす陽光に輝く
 金堂や経蔵の紅葉がここまで鮮やかな瞬間というのは驚きでした。

 阿弥陀如来を本尊として奉じます寺院、12月初旬までの紅葉の季節は落葉の季節という木々の冬支度を終えてしまったのですが、素晴らしい情景と情感を示します。風景と伽藍に心打つ、その打ち方も、言葉にする事が難しいとされる仏教の受け止め方といえます。

 仁和寺の風景は多くの方になにか懐かしさを感じるところなのかもしれません、日本の原風景が此処にあるとも言いませんし、懐かしさというにはこうした巨大寺院は全国にある訳でもない、するとこれは既視感、というものなのでしょうか、いや既視感だとおもう。

 金堂と五重塔は、思い返しますと剣客商売や暴れん坊将軍など多くの時代劇に江戸の一幕として登場しています。遠山の近さんや必殺シリーズにも何度も出ている風景ですので、昨今は伝七捕り物帳はじめBSデジタル放送は朝昼に晩にと時代劇再放送の大盤振る舞い。

 忠臣蔵、今年の十二月は松平健さんが大石内蔵助を演じるテレビ朝日二〇〇四年版の忠臣蔵が本日先程まで一挙放送されていましたが、この撮影にも仁和寺、こうなんといいますか時代劇を、お祖父さんお祖母さんと小さいころ一緒に見ている際、親しんだ光景の一つ。

 江戸じゃないわ京都よ騙されては駄目、みんな目を覚まして、と思われるかもしれません。しかし、江戸といいますかこの寺院は不思議と徳川将軍家と関わりのある寺院といえるのです。御室御所と云う通り、この寺院は皇族が出家した際に入内する寺院、格が高いのだ。

 明治維新までは門主の住職にあたる門跡はみな皇族でした、いや例外はありまして、鎌倉時代の実力者九条道家の子法助、そして自ら日本国王を名乗った足利義満の子法尊は門跡を務めているのです、逆に言えばそれほどに敷居が高い寺院、中央からは重視されている。

 応仁の乱、しかし毎度と云いますか京都の歴史の御決りのはなしなのかもしれませんが、これがはじまると早々に東軍の攻撃を受け焼かれ伽藍は全焼しています。中央というのは幕府と朝廷を示すものですが、逆に言えば統治機構が不安定な時代には厳しかったという。

 徳川家光に、漸くと云いますか仁和寺の再興の機会に恵まれます。幸いなのは応仁の乱により焼ける前、御本尊だけは避難に成功しています。応仁の乱は殺戮が目的なのは緒戦のみ、近所で動員された足軽たちの戦争ですので放火掠奪が主体、ここが変に幸いしました。

 豊臣秀吉の時代から寺領安堵という財政支援はあったのですが、もともとは巨大な寺院ですので100石や500石では再建できないのです、この為に丁度京都上洛の最中でした将軍徳川家光に、仁和寺第二一世覚深法親王が直接仁和寺の再興を願い受け入れられた歴史だ。

 寛永年間の御所建て替、徳川家光はこの御所の建て替えに際して旧御所の建物を仁和寺に移築するよう命じまして、御所の紫宸殿と清涼殿、そして常御殿など仁和寺に下賜されることとなりました。移築に際し仏教建築の意匠に出来るだけ変えたともいわれるのですが。

 時代劇にて江戸の風景として示される事のある仁和寺、江戸じゃないわ京都よ騙されては駄目、と思われる方もいるのかもしれませんが、結局この仁和寺を再建したのは徳川家光の支援、この歴史的背景を視れば、江戸の勧善懲悪ものの時代劇に協力する背景が、とも。

 仁和寺は宿坊の方の、なんといいますか過剰勤務訴訟という話題もあります民法上の不法行為の関係もあります寺院ですので撮影に際してはいろいろと話があるのでしょうけれども、時代劇に描かれるには、徳川家光の頃から東京、いや江戸との繋がりが、あるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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