北大路機関

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海底戦争!イギリス-深海6000m海底警戒監視能力整備へ,ノルドストリーム2攻撃事案により認識される新戦場

2022-12-15 07:00:17 | 防衛・安全保障
■狙われる海底通信ケーブル
 auの今年夏の大規模通信障害は当日富士学校祭ということで東京の友人と合流しようとした際に大変なこととなりました、現代は何もかも通信によりなりたっている。

 深海は新しい防衛の最前線となりつつある、現在政府は宇宙領域を新たな戦場と認識し航空自衛隊を航空宇宙自衛隊へ改称する準備を進めています。しかし、宇宙と共に深海が次の戦場として強く認識される可能性があります、何故なら太平洋や大西洋にインド洋、深海には各国を結ぶ光ファイバー通信網が整備され、情報通信の可否を左右するためです。

 海底通信ケーブル、海中の任務であれば海上自衛隊のP-1哨戒機や護衛艦あさひ型の対潜戦闘能力の高さで対応できる、こう思われるかもしれませんが深海となりますと対潜魚雷の射程外とともに、恐らくソナーも数千mの深海を探索する能力は想定していません。そして深海調査は自衛隊の任務ではなく、想定されていない戦域、というべきでしょう。

 フンガトンガフアパイ火山、2021年にトンガにおいて発生した大規模火山噴火は、噴火丘はもちろん火山島そのものを吹飛ばし、強烈なブラストは遠く日本へも衝撃波による気圧変化という過去にない条件により津波を発生させ、到達するところとなりました。しかしそれ以上に、巨大噴火はトンガ海底通信ケーブルを遮断、二週間に渡り通信不能となった。

 世界は2021年の火山噴火と云う自然災害によるものとはいえ、海底通信ケーブルの遮断が国家単位での通信不能の要因となり、一方先進国であっても衛星通信が発達した今日に在ってなお大容量通信の海底通信ケーブルへの依存度の高さを認識した一方、ノルドストリーム2欧州ガスパイプライン破壊工作事件、こうした事案は2022年9月に発生しました。

 イギリス国防省、ロシアが深海調査艇による海底通信ケーブル攻撃の懸念を、ロシア軍ウクライナ侵攻とともに日欧米などが一致し経済制裁を実施した際の激しい反発を受け、海底通信ケーブルへのロシアが攻撃能力を有する点へ警鐘をならしていましたが、今回そのイギリスが2400万ポンドを投じて海底警戒監視能力の構築に着手したという出来事が。

 空母クイーンエリザベス随伴艦となる補給艦一隻の建造を中止し、2億5000万ポンドの建造計画を変更、二隻の海洋観測艦を中古船舶の改装により取得する検討が為されており、これたの海洋観測艦により、大洋底の、6000m程度の深海までを無人深海調査艇により警戒監視し、海底ケーブル付近での不審な深海調査艇などの有無を警戒するとのことです。

 防衛予算の際限なき拡大に連日反論する論点で掲載している北大路機関ではありますが、仮に日本と各国を結ぶ海底通信ケーブルなどへ脅威が及んだ場合には、対応するのは海上保安庁か海上自衛隊か。相手が軍艦であれば海上自衛隊の任務となるのですが、軍事作戦ではなく特殊作戦、非対称型の戦いとして行われるのが海底施設への攻撃、所管は何処か。

 非対称型の戦いとなりますと、これはノルドストリーム2破壊工作などを見ても分かる通り、防衛出動命令か海上警備行動命令がなければ行動できない海上自衛隊の所掌ではないのかもしれません、しかし所管がどこであれ、海底通信ケーブルは例えば夏のau携帯電話大規模通信障害よりも遥かに深刻な状況となります、この戦場を認識する事が、必要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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(細かなことで本当にすみません) (ドナルド)
2022-12-15 16:43:03
おっしゃる通り、英海軍のMROSS艦は、もともと1隻建造が予定されていたものが、既存船調達1隻+新規建造1隻の合計2隻になりました。

ここで代わりになくなったのが、ボリス首相肝いりの
National Flagship (外交船)です。2億ポンドが転用されました。王室ヨットっぽい船なのですが、王室はいらないと言って「外交船」とになった船です。なぜか海軍予算で作ることになっていたのですが、ボリス首相の退陣と共に消えました。(笑)

補給艦は16億ポンドの予算で3隻の建造が予定されています。最近、スペインNavantiaとイギリスBMT(設計)、ハーランドウルフを中心とする「チーム・レゾリュート」が選定され、これから契約のようです。
補給艦ではなかったのか (はるな)
2022-12-15 22:44:15
ドナルド 様 ありがとうございます

補給艦ではなかったのですね、、、

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