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【京都発幕間旅情】飛騨国分寺,雪舞う白銀の高山に飛騨三十三観音霊場第一札所醫王山を探訪

2018-02-21 20:10:36 | 旅行記
■飛騨国分寺,小京都の境界線
 豪雪報道林立する最中に敢えて雪と親しむ岐阜県は飛騨高山、高山市の飛騨国分寺拝観の様子をお伝えしましょう。

 飛騨国分寺、弘法大師空海が拓いた高野山真言宗の寺院です。岐阜県飛騨高山、昨今は一つ奥の飛騨古川が映画作品舞台となり世界的観光地として飛躍を遂げていますが、一つ奥とはいえ、やはり飛騨古川は遠い。もっと高山は氷菓されるべき、いや評価されるべき。

 聖武天皇の治世下にある天平13年、西暦では741年に全国へ仏法による救済を願う国分寺建立の詔が発せられ、日本全土へ国分寺の建立が進められました。飛騨国分寺もその流れの中で建立、醫王山、医王山飛騨国分寺として757年に創建、永らくこの位置に鎮座しています。

 三重塔が迎える伽藍の情景は、京都の荘厳雄大な寺院とは比較にならないものの、しかし山国の中の信仰を集める為の拠り所としての役割を経て、崇敬を集め続けた、つまり文字通り大事にされてきました点が現在の美しい木造建築の威容からも感じ取る事が出来る。

 飛騨三十三観音霊場第一札所にも数えられる飛騨国分寺は、神山市の玄関口である神山駅、ではなく高山市の玄関口である高山駅からも市の中心部に向かう道中、歩みを進めて数分と指呼の距離にあり、豪雪地として名高い飛騨山脈の盆地でもアーケード沿いに行ける。

 高山駅前の近代的な街並み、小京都とも称される高山では、観光地開発と共に駅ビルも新しく建て替えられ、駅前の中層建築のホテル群を見上げ、成程小京都、京都駅前の京都タワーや新阪急ホテルと同じ様相だ、と感じた数分後に小京都の境界線、出会う国分寺が歴史情緒のはじまり。

 小京都の境界線、国分寺建立の詔と共に全国へ創建の一連の国分寺にあって、757年建立の飛騨国分寺は、創建当初には七重塔を中央に拝する大きな寺領を誇ったようです。しかし819年の弘仁年間には火災により呆気なく焼失、寄進も限られ855年の斉衡年間に漸く再建を果たしました。

 木造薬師如来坐像と木造聖観音菩薩立像を本尊とする本堂は、斉衡年間の再建においても完全に再建されておらず、正確に何時頃再建されたかについては諸説ある状況、当時の飛騨国の産業や経済状況から、記録も多く残っていないようで、まだまだ日本史は奥が深い。

 応永年間の1410年頃には全て再建されていたらしいのですが、この根拠が応永年間に再度全て火災により焼失したから、という記録があるからだそうで、全ても得たからには全てあったのだろう、と。本堂や三重塔の風情と規模が、その流れを物語っているようですね。

 安土桃山時代には1585年、金森長近による姉小路頼綱の松倉城攻めの戦火が延焼し、翌年の1586年天正地震によりまたしてもすべて焼失、震災復興と全く再建が出来ない最中で飛騨国は江戸時代を迎え、元和元年即ち1615年に現在の国分寺のほぼ全てが再建されました。

 行基によって建立された飛騨国分寺は、ここまで度重なる火災と戦禍に脅かされたのですが、御本尊の木造薬師如来坐像と木造聖観音菩薩立像は平安年間の国指定重要文化財であり、数多の災厄に直面しつつも、御本尊だけは平安朝の頃より護り続けたのは信仰の証だ。

飛騨国分寺の大銀杏は推定樹齢1250年であり、国指定天然記念物、実はこの銀杏こそが飛騨国分寺が創建以来この地に鎮座し続けている象徴との事です。1695年に飛騨国は幕府天領となり、天災にて三重塔が倒壊しつつ1820年に再建、その後は戦災等を免れ今に至る。

天領となった後に飛騨国分寺は、鐘楼門や屋根瓦等を廃城となった高山城より継承し、山国の小京都と呼ばれる街づくりの中心に崇敬を集めてきました。高山駅から朝市で名高い宮川へ向かう道中に佇む古寺は雪の日にも多くの拝観者を集め、小京都の境界線は常に賑わいを見せています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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