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【京都幕間旅情】東本願寺,専修念仏ー日本宗教哲学転換点の親鸞さん懐かしむ信徒寄る辺は京都駅前に広がる

2022-12-28 20:00:04 | 写真
■あの御影堂を見上げて
 祈る事だけで救いがあると説いた専修念仏は価値観の多様性という日本の宗教的という以前に哲学的な転換点だと思う。

 京都、歴史都市である以前に千年間日本の首都を務めた最先端都市である、こうお話ししますが、新幹線で京都駅に到着しますと視界には直ぐ東寺の壮大五重塔が飛び込んできますので、やはりここは歴史都市なのだと思う、今の価値観や哲学に影響を及ぼしている。

 東海道本線、寝台急行銀河を思い浮かべてもらえれば良いと思うのですが、新幹線が開通する前の時代ならば、先ず京都と云えば京都駅からこの東本願寺が一望できたことでしょう、ここは下京区烏丸通七条上ル常葉町、阿弥陀如来を奉じる真宗大谷派の本山です。

 大谷本願寺として浄土真宗寺院が造営されたのは元亨元年こと西暦1321年です、鎌倉時代に浄土真宗を拓いた親鸞さん、当時の京都では専修念仏という祈る事こそ救いとの考えは異端であり迫害を受けつつ、しかし逃げ回りながら教えを説いたというのがなにか爽快だ。

 親鸞さんは結局みずからは自分の寺を造営する事無くこの世を去りましたが、一カ所に留まる事を良しとせずに、延暦寺から京都の街中へ、近江へ、そして北陸へと行脚を続けた事で本願寺教団という、社会保障という概念さえ無い時代に互助的な集団を醸成しました。

 本願寺、この巨大寺院は日本史にもたびたびその影響力を示しますが、なにしろ今の日本でも信徒は東西併せ3000万に上るというから壮大なものです、そのはじまりなのですが、もともとは寺一つ創らず全国へ布教に行脚した、親鸞さんのお墓、というものなのですね。

 御影堂、御影堂門をくぐりましてその先に見えます寺院は、御影堂そのものでして、ここは親鸞さんの御影、木造を安置する為の伽藍です。大きい、いや見慣れている故に思うのは、駅前にお西とお東に見慣れているだけで、全国を旅するとこの規模の伽藍は中々ない。

 専修念仏、祈る事こそ、この考えに至りますのは法然さんの浄土宗が始まりですが、親鸞さんは法然さんの専修念仏に民衆の救いの在り方を見い出したからこそ比叡山を降りたという歴史がありまして、いまの知恩院あたり、吉水庵にて法然さんの説法を聴いています。

 東本願寺造営は慶長7年こと西暦1602年、江戸時代の事となります。本願寺教団は、親鸞さんの時代から地域ごとの教団を造営することとなったのですが、親鸞さんの教えにあって独特であるのは地域の長をそのまま教団の長とせず、信徒は平等という戒めでした。

 御同朋、という考え方が親鸞さんの教えにあるのですが、一度は追放され、流罪にもなった親鸞さんは60歳の頃に京都に戻りまして、90歳で没するまでここ京都において文筆活動に勤しみ、没後にその遺骨は大谷、いまの大谷本廟を造営した、ここが本願寺の始まり。

 しかし、統治機構を考える場合に本願寺教団は異質な存在であることから、いまの大坂城、ここに造営した石山本願寺は織田信長と激戦を繰り広げた事は良く知られています。ただ、本願寺教団との関係を重視した事で石山本願寺の移転先に、豊臣秀吉は京都を示しました。

 後陽成天皇の勅許、豊臣秀吉は本願寺教団へ堀川六条の地域を当てたのですが、ここに徳川家康が後陽成天皇の勅許とともに造営したのが西本願寺と東本願寺です。もっとも、本願寺教団の対立を背景に、二つに二分した江戸幕府の意向、というようなものもあったが。

 京都駅前にここまで壮大な寺院がある、京都タワーさえ蝋燭にしかみえないような壮大さが有ります、拝観に際しては門限以外なにもなく拝観料さえ収めず、つまり毎日でも何度でも迎え入れてくれる、実に420年間受け継がれている祈りの場が、ここにあるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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