◆P-3CからF-2へ
本記事は今週初頭に掲載する予定でしたが、諸般の事情から掲載を遅らせました。
オランダ空軍はISIS対策にF-16を派遣しているのだが、日本政府は強い要請があった場合F-2支援戦闘機をISIS攻撃に参加させる可能性は全くないのか?、昨年那覇基地を撮影中にオランダ人マニア集団との雑談でこうした話題が飛び出し、ISISかISILか一瞬考えたのですが、丁度その瞬間に中国機の接近に伴う対領空侵犯措置緊急発進へ向かうF-15が離陸した直後でしたので面食らったことがありました。
海上自衛隊はジブチへソマリア沖海賊対処任務としてP-3C哨戒機を派遣し、ジブチ航空拠点を建設、基地業務の一部を担うことで恒久的に海賊哨戒情報を海賊対処多国間有志連合へ提供しています、P-3Cで海賊情報を供しているのですが、位置情報を共有すれば我が国P-3Cに捕捉された海賊船の行く末は明らかで、海賊対処にP-3Cを派遣するならばISIS対策にF-2を派遣出来ないか、ということです。
Self-defence in international lawとRight of collective self-defenseの問題を含めているお話しで、我が国では集団的自衛権の論争が盛んですが、軍事における情報の重要性を踏まえれば海外からの視点としては、事実上行使されているものを後付で国内法の実態に合わせようとしているように見えるのでしょうか。
日本に生まれ、日本国憲法がある種共有知として国際政治や安全保障を思考する際の大前提となっているところではありますが、流石は欧州から日本へ足を運ぶ筋金入りマニア、Article 9 of the Japanese Constitutionなど、一種の教養として知っているようで、当方は学部生時代へ遡れば比較憲法学の講義でドイツやフランスは知識としてあるもののオランダ憲法は専門外、勉強不足を痛感した次第で、当面の可能性は低い旨伝えまして、仮に国連決議などを経て有志連合が組まれるならば、logistics supportとしてcombat service supportに直結しない分野ならば有り得るかも、と後方支援を示した次第なのですが。
その後考えてみますと、そもそもF-2は支援戦闘機ながら主任務は対艦攻撃が大きく、三個飛行隊のみのF-2はF-2としてそれこそ沖縄近海を中心に大きな任務があり、対地攻撃任務で派遣できるのはF-4くらいかな、と思っていたのですが、トルコ空軍がF-4をISIS攻撃へ派遣、F-4でも2014年時点で実戦に耐えるのかと驚きつつ、可能性は考える必要はあるのか、と。
日本が既に海賊対処任務にてP-3C哨戒機を派遣しています、P-3C哨戒機は海上自衛隊が100機を導入したため軽く見られがちですが、4000t級の護衛艦はつゆき型が建造費150億円の時代に100億円を投じ導入された航空機、電子機器の塊という高性能機で、潜水艦索敵と洋上監視能力が非常に高く、なるほど海外の視点からはP-3Cを派遣出来て何故F-2を派遣できないのか、という視点もあり得るのだ、と考えさせられました。これを考えますと、空輸支援や空中給油支援等を、P-3Cを既に派遣している日本へ戦闘機支援任務を各国が強く要請する可能性はあり得る、のかもしれません。
流石に戦闘機を派遣、ということは考えにくいところです。欧州各国が攻撃機を主体としたのに対し航空自衛隊は戦闘機を主体、冷戦時代に数万のソ連軍戦車部隊を正面に見据え航空阻止と近接航空支援を主眼とした多目的戦闘機の重要性が認識され攻撃機は専用の可変翼機から練習機転用まで用意され、戦闘機脅威は可能な限り戦闘機に期待すると共に攻撃機で敵飛行場を破壊すればそちらの方が確実、とおもわれていた欧州に対し、日本は脅威対象との間に海があり、航空優勢確保が大前提であると共に専守防衛を国是としていたため大陸の基地攻撃を考えていなかった関係もありますが、対地攻撃を行うことが可能な機体が少ない。
将来的に海賊対処任務が継続されたならば、P-3C哨戒機に代えてP-1哨戒機が派遣されることも出てくるでしょう、軍事における情報の優位は軍事への知識が大きければ大きいほど意味が分かるのですが、海外からの視点ではP-3Cが派遣できるのならば戦闘機を派遣してほしい、との声は高まる可能性は否定できません。この場合、派遣の可否を国内で論じる事は重要ですし、国際社会の自衛隊に対する期待の大きさも理解する必要はあるのですが、同時に仮に派遣できないとの立場を示すならば、何故P-3Cを派遣し情報収集と情報共有が可能であり、反面戦闘機から対地攻撃を行うことが日本の国内法上難しいのか、この視点を説明できる体制を構築する必要があると考えます。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
本記事は今週初頭に掲載する予定でしたが、諸般の事情から掲載を遅らせました。
オランダ空軍はISIS対策にF-16を派遣しているのだが、日本政府は強い要請があった場合F-2支援戦闘機をISIS攻撃に参加させる可能性は全くないのか?、昨年那覇基地を撮影中にオランダ人マニア集団との雑談でこうした話題が飛び出し、ISISかISILか一瞬考えたのですが、丁度その瞬間に中国機の接近に伴う対領空侵犯措置緊急発進へ向かうF-15が離陸した直後でしたので面食らったことがありました。
海上自衛隊はジブチへソマリア沖海賊対処任務としてP-3C哨戒機を派遣し、ジブチ航空拠点を建設、基地業務の一部を担うことで恒久的に海賊哨戒情報を海賊対処多国間有志連合へ提供しています、P-3Cで海賊情報を供しているのですが、位置情報を共有すれば我が国P-3Cに捕捉された海賊船の行く末は明らかで、海賊対処にP-3Cを派遣するならばISIS対策にF-2を派遣出来ないか、ということです。
Self-defence in international lawとRight of collective self-defenseの問題を含めているお話しで、我が国では集団的自衛権の論争が盛んですが、軍事における情報の重要性を踏まえれば海外からの視点としては、事実上行使されているものを後付で国内法の実態に合わせようとしているように見えるのでしょうか。
日本に生まれ、日本国憲法がある種共有知として国際政治や安全保障を思考する際の大前提となっているところではありますが、流石は欧州から日本へ足を運ぶ筋金入りマニア、Article 9 of the Japanese Constitutionなど、一種の教養として知っているようで、当方は学部生時代へ遡れば比較憲法学の講義でドイツやフランスは知識としてあるもののオランダ憲法は専門外、勉強不足を痛感した次第で、当面の可能性は低い旨伝えまして、仮に国連決議などを経て有志連合が組まれるならば、logistics supportとしてcombat service supportに直結しない分野ならば有り得るかも、と後方支援を示した次第なのですが。
その後考えてみますと、そもそもF-2は支援戦闘機ながら主任務は対艦攻撃が大きく、三個飛行隊のみのF-2はF-2としてそれこそ沖縄近海を中心に大きな任務があり、対地攻撃任務で派遣できるのはF-4くらいかな、と思っていたのですが、トルコ空軍がF-4をISIS攻撃へ派遣、F-4でも2014年時点で実戦に耐えるのかと驚きつつ、可能性は考える必要はあるのか、と。
日本が既に海賊対処任務にてP-3C哨戒機を派遣しています、P-3C哨戒機は海上自衛隊が100機を導入したため軽く見られがちですが、4000t級の護衛艦はつゆき型が建造費150億円の時代に100億円を投じ導入された航空機、電子機器の塊という高性能機で、潜水艦索敵と洋上監視能力が非常に高く、なるほど海外の視点からはP-3Cを派遣出来て何故F-2を派遣できないのか、という視点もあり得るのだ、と考えさせられました。これを考えますと、空輸支援や空中給油支援等を、P-3Cを既に派遣している日本へ戦闘機支援任務を各国が強く要請する可能性はあり得る、のかもしれません。
流石に戦闘機を派遣、ということは考えにくいところです。欧州各国が攻撃機を主体としたのに対し航空自衛隊は戦闘機を主体、冷戦時代に数万のソ連軍戦車部隊を正面に見据え航空阻止と近接航空支援を主眼とした多目的戦闘機の重要性が認識され攻撃機は専用の可変翼機から練習機転用まで用意され、戦闘機脅威は可能な限り戦闘機に期待すると共に攻撃機で敵飛行場を破壊すればそちらの方が確実、とおもわれていた欧州に対し、日本は脅威対象との間に海があり、航空優勢確保が大前提であると共に専守防衛を国是としていたため大陸の基地攻撃を考えていなかった関係もありますが、対地攻撃を行うことが可能な機体が少ない。
将来的に海賊対処任務が継続されたならば、P-3C哨戒機に代えてP-1哨戒機が派遣されることも出てくるでしょう、軍事における情報の優位は軍事への知識が大きければ大きいほど意味が分かるのですが、海外からの視点ではP-3Cが派遣できるのならば戦闘機を派遣してほしい、との声は高まる可能性は否定できません。この場合、派遣の可否を国内で論じる事は重要ですし、国際社会の自衛隊に対する期待の大きさも理解する必要はあるのですが、同時に仮に派遣できないとの立場を示すならば、何故P-3Cを派遣し情報収集と情報共有が可能であり、反面戦闘機から対地攻撃を行うことが日本の国内法上難しいのか、この視点を説明できる体制を構築する必要があると考えます。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)