◆巡視船しきしま、の経験は応用できるか
政府は今月退役する海上自衛隊護衛艦を延命改修し、巡視船として再就役させる方向で検討しているとのこと。
護衛艦みねゆき、がその筆頭候補に挙がっているようで、この検討は海上保安庁が増大する沖縄県尖閣諸島周辺海域での中国公船への対抗手段として、物量において阻止しなければならないという太田国土交通大臣の指針の下、検討されているもので、既に1月の時点に海上保安庁は護衛艦を視察し、熟慮したうえで具体的な方法を模索しているようです。この旧式護衛艦の巡視船転用は、運用方式が違う一方で防御力が大きい護衛艦の特性を活かす任務を行う上で良い選択肢、と、かの江畑謙介先生も仰っていました。
江畑先生と言えば軍事評論の世界では神様のような存在です。ただ、当方としては、はつゆき型を江田内あたりの泊地にモスボール保管し、教育訓練に充当しつつ、有事など必要において動させるのだ、という姿勢を見せることで無言の圧力とする、予備艦方式を採った方が抑止力となるのですが、江田内では台風で走錨する危険があるとのことで、自衛隊基地にてその心配が無いのは大湊基地か余市基地に函館基地くらいでしょうか、巡視船に転用する労力よりはこちらの方がまだ防衛面での抑止力となるのでは、と思うところ。
さて、この退役護衛艦巡視船転用案は、民主党政権下の野党自民党が総選挙前に必要性を強調していたもので、海上保安庁では総トン数7000tを越える最新あきつしま型巡視船などを建造し、尖閣諸島周辺海域での警備活動へ大急ぎでの対応を進めているのですが、就役までは二年間の建造期間を要するため、それではまにあわない、として提示された、いわば暫定案というもの。
海上保安庁が導入を検討しているのは、四隻の護衛艦はつゆき型とみられ、上記の視察は海上保安庁の技術担当者により横須賀基地において行われ、操船技術の違いや乗員確保など解決しなければならない問題がありつつも、転用を検討中、としています。実現したならば、旧海軍海防艦からの巡視船転用は過去にありましたが、護衛艦から巡視船への転用としては初めてとなるでしょう。
はつゆき型護衛艦、基準排水量2950t、満載排水量4000t、全長130m、全幅13.6m、喫水4.2m、主機ガスタービン4機2軸推進、出力45000hp、速力30ノット、乗員200名、対空対潜対水上の各種誘導弾と共にヘリコプター運用能力を有する汎用護衛艦として、護衛艦隊の主力をめざし、実に12隻が建造されました。
巡視船と比較しますと、予算要求が2900t型護衛艦でしたので、一瞬5000tや7000t級の巡視船を保有する海上保安庁の警備取締船艇よりも小さく誤解するのですが、海上保安庁の巡視船は総トン数で計算されており、例えば総トン数5200tの巡視船みずほ型は全長130m、全幅15.5m、大きさだけを見ますと、海上保安庁の巡視船で大きさでは二番目みずほ型と同程度という事が分かります。
心強い元護衛艦の巡視船転用、つがる型や、みずほ型巡視船と同じく航空機搭載能力がありますし、船体も古いとはいえ頑丈、古いといっても海上保安庁巡視船の最古参よりは新しく、頼もしい、と言いたいところですが、問題点は幾つかります。その筆頭は、運用方式の根本的な違いが巡視船と護衛艦にはあるという事で、これは警備任務を想定して検挙と警戒に重点を置く巡視船に対し、護衛艦は戦闘を想定して自らが戦闘において損傷した場合にも任務を継続しつつ可能であれば自力航行し基地へ戻る、という違いに収斂されるもの。
もちろん、護衛艦から巡視船に転用される際には、76mm砲は去就に注目されるのですが、このほかの、20mmCIWS,ハープーン艦対艦ミサイル、アスロック対潜ロケット、短魚雷発射管、シースパロー対空ミサイルなどは撤去され、マストからもヘリコプターデータリンク装置や電子戦装置などが撤去されるでしょう。ただ、これら兵装を取り除いたとしても、なお、護衛艦と巡視船には大きな違いがあるわけです。
巡視船は、ブリッジから操船を行い、通信を行い、命令を発します。しかし、護衛艦はそうではありません、何故ならば艦橋は肉眼での状況把握には適した位置にあるのですが、もっともレーダーに反射する部分であるので、対艦ミサイルが命中しやすい場所です。したがって、艦橋は機関管制室を通じて速度の増減を行い、通信室は艦橋構造物でも下に、艦橋が破壊されたとしても戦闘を継続できるよう戦闘指揮所は離れて配置します。また、機関部も離して配置され、一発のミサイルや爆弾で機関部が全滅しないよう配慮もされています。
ダメージコントロールといいまして、これはつまり、護衛艦は一か所に機能を集中するのではなく、分散することで損害に備えている、という事。そして通常の船舶では航海長が船長に次ぐ立場になりますが、護衛艦では砲雷長や飛行長など、任務において必要な要員が副長を務めます。このあたりについても、自分よりも重武装の相手への背曲的な戦闘を配慮せず、航行することが任務の大きな部分を占める巡視船、損害を受けることを想定しない巡視船と水上戦闘艦である護衛艦とのちがいといえるかもしれません。
海上自衛隊の護衛艦が毎週一般公開されているのと同じように、海上保安庁の巡視船も寄港地で一般公開される機会はかなりありまして、実際に巡視船を見学してみますと、もちろんそうした仕様だからなのですが、通路などは水上戦闘艦という印象はなく、階段などの周辺は何度か利用したフェリーを思い出させる雰囲気があります。そして、指揮所、護衛艦でいう戦闘指揮所に当たる部屋はブリッジの後ろ半分にあり、時として撮影はさせてくれないのですが、一般公開であれば経路によっては自由に行き来させてくれるものもあります。
対して、護衛艦では戦闘指揮所などは、一般公開ではまず入れず、通路は魚雷攻撃などの浸水に備え各所に防水扉が、階段は急なラッタルで防水ハッチが完備されています。また、巡視船は母港に戻りますと、ほぼ全員が上陸し、無人に近くなりますが、護衛艦は例え造船所のドックに入渠中であっても当直が配置され、夏場などは大変とのことですが、常時緊急時に備えている、このあたりも巡視船と護衛艦の大きな違い。
以上の通り、海上保安庁の要員がそのまま、巡視船から元護衛艦の巡視船へ配置転換となっても、通常の引き継ぎのように運用することはできません。特に通信設備と操舵装置に機関管制の方式が通常の巡視船と全く異なりますので、相当な熟練が必要かもしれません。皆さんも、運転する自動車が突然フロントガラスに覆いをされ、助手席の車長がサンルーフから身を乗り出してハンドル操作を行うようになれば運転しにくいでしょう、ギアとアクセルにブレーキは後部座席から操作し、カーナビも後部座席に、そんな感じ。
ただ、海上保安庁にとって護衛艦は全く未知の艦か、と言われますと実は何とも言えないものがあります、それは巡視船しきしま型の存在です。しきしま、は1992年に日本の発電用再処理済みプルトニウム輸送船護衛用に建造された総トン数7175tの世界最大の巡視船で、テロリストの攻撃に備える対空レーダーは、はつゆき型護衛艦と同型のOPS-16,船内はテロ対策の観点から未だ関係者以外一切の未公開で、報道公開されたロシア空母やアメリカの戦略ミサイル原潜よりも報道陣に対して閉ざされています。
しきしま、は、テロリストや特殊部隊の攻撃を想定し、ダメージコントロール概念を設計の際に配慮していまして、しきしま、の運用はある程度護衛艦との共通性がある可能性があります。もちろん、これは実際に見たわけでもありませんから何とも言えないのですが、しきしま、が従来の巡視船とは違う艦内構造、とはよく言われるところ。既に就役し20年以上を経まして、海上保安官にも同船の経験者が多数いますから、特設巡視船はつゆき型対応特別チームを編制すれば、動かすことは可能なのかもしれません。
他方、動かすには海上自衛隊からの支援が必要なのですが、海上自衛隊にその余裕があるかと言いますと、こちらの方が難しく、それならば予備護衛艦として延命させる道を探した方がいいやもしれません。そういうのも海上自衛官は充足率が充分ではなく、除籍された護衛艦の乗員は既に別の艦へと移ることが決定しています。問題の一つは、海上自衛隊から海上保安庁へ、バトンタッチするだけの要員の余裕が無い、ということでしょうか。もともと充足率の低さは毎年毎年財務省へ是正の予算を要求しているのですが、これがなかなか通らず、今に至る、ということ。
鵜来型海防艦、今回の難題を越えることが出来るか、という一助といいますか雑学知識にこの名前を頭の片隅に入れても損はないでしょう。鵜来型海防艦は第二次大戦中の護衛任務用に建造され、船団護衛任務において接近する潜水艦や航空機を撃退する、一種の護衛艦です。米海軍と熾烈な戦いを切り広げた帝国海軍の海防艦ですが、12cm45口径連装高角砲に25mm三連装機銃、爆雷120発等を搭載し基準排水量940t、最高速力は19ノットで、航続距離は16ノットで5000浬を発揮していました。
この中で大戦を生き延びた四隻は戦後海上保安庁に編入、映像としては東宝の映画ゴジラ、に最後オキシジェンデストロイヤーを投入する母船として映画に出ていますし、海防艦志賀は、巡視船こじま、として1964年まで運用、除籍後は千葉市海洋公民館となり、1998年まで保存されていました。過去に軍艦から巡視船へ転用された事例はある、という事は、目の前の問題解決には精神的以外の助けとなりませんが、それでも前例がある、ということもできるやもしれません。
ただ、即座の警備力強化には、例えば交通船、一部交通船は海上自衛隊の19号型哨戒艇の設計を取り入れているものがありますので、これを、大きくはないのですが転用してはどうか、というもの。もしくは、まだまだ新しいので気は引けるのですが、多用途支援艦などは操艦方法がある程度一般の船舶とも近いとのことですから、巡視船に転用してはどうか、と思います。いろいろと困難はあるのですが、しきしま、の要員の経験、鵜来型の前例を元に、頑張ってほしいところです。
政府は今月退役する海上自衛隊護衛艦を延命改修し、巡視船として再就役させる方向で検討しているとのこと。
護衛艦みねゆき、がその筆頭候補に挙がっているようで、この検討は海上保安庁が増大する沖縄県尖閣諸島周辺海域での中国公船への対抗手段として、物量において阻止しなければならないという太田国土交通大臣の指針の下、検討されているもので、既に1月の時点に海上保安庁は護衛艦を視察し、熟慮したうえで具体的な方法を模索しているようです。この旧式護衛艦の巡視船転用は、運用方式が違う一方で防御力が大きい護衛艦の特性を活かす任務を行う上で良い選択肢、と、かの江畑謙介先生も仰っていました。
江畑先生と言えば軍事評論の世界では神様のような存在です。ただ、当方としては、はつゆき型を江田内あたりの泊地にモスボール保管し、教育訓練に充当しつつ、有事など必要において動させるのだ、という姿勢を見せることで無言の圧力とする、予備艦方式を採った方が抑止力となるのですが、江田内では台風で走錨する危険があるとのことで、自衛隊基地にてその心配が無いのは大湊基地か余市基地に函館基地くらいでしょうか、巡視船に転用する労力よりはこちらの方がまだ防衛面での抑止力となるのでは、と思うところ。
さて、この退役護衛艦巡視船転用案は、民主党政権下の野党自民党が総選挙前に必要性を強調していたもので、海上保安庁では総トン数7000tを越える最新あきつしま型巡視船などを建造し、尖閣諸島周辺海域での警備活動へ大急ぎでの対応を進めているのですが、就役までは二年間の建造期間を要するため、それではまにあわない、として提示された、いわば暫定案というもの。
海上保安庁が導入を検討しているのは、四隻の護衛艦はつゆき型とみられ、上記の視察は海上保安庁の技術担当者により横須賀基地において行われ、操船技術の違いや乗員確保など解決しなければならない問題がありつつも、転用を検討中、としています。実現したならば、旧海軍海防艦からの巡視船転用は過去にありましたが、護衛艦から巡視船への転用としては初めてとなるでしょう。
はつゆき型護衛艦、基準排水量2950t、満載排水量4000t、全長130m、全幅13.6m、喫水4.2m、主機ガスタービン4機2軸推進、出力45000hp、速力30ノット、乗員200名、対空対潜対水上の各種誘導弾と共にヘリコプター運用能力を有する汎用護衛艦として、護衛艦隊の主力をめざし、実に12隻が建造されました。
巡視船と比較しますと、予算要求が2900t型護衛艦でしたので、一瞬5000tや7000t級の巡視船を保有する海上保安庁の警備取締船艇よりも小さく誤解するのですが、海上保安庁の巡視船は総トン数で計算されており、例えば総トン数5200tの巡視船みずほ型は全長130m、全幅15.5m、大きさだけを見ますと、海上保安庁の巡視船で大きさでは二番目みずほ型と同程度という事が分かります。
心強い元護衛艦の巡視船転用、つがる型や、みずほ型巡視船と同じく航空機搭載能力がありますし、船体も古いとはいえ頑丈、古いといっても海上保安庁巡視船の最古参よりは新しく、頼もしい、と言いたいところですが、問題点は幾つかります。その筆頭は、運用方式の根本的な違いが巡視船と護衛艦にはあるという事で、これは警備任務を想定して検挙と警戒に重点を置く巡視船に対し、護衛艦は戦闘を想定して自らが戦闘において損傷した場合にも任務を継続しつつ可能であれば自力航行し基地へ戻る、という違いに収斂されるもの。
もちろん、護衛艦から巡視船に転用される際には、76mm砲は去就に注目されるのですが、このほかの、20mmCIWS,ハープーン艦対艦ミサイル、アスロック対潜ロケット、短魚雷発射管、シースパロー対空ミサイルなどは撤去され、マストからもヘリコプターデータリンク装置や電子戦装置などが撤去されるでしょう。ただ、これら兵装を取り除いたとしても、なお、護衛艦と巡視船には大きな違いがあるわけです。
巡視船は、ブリッジから操船を行い、通信を行い、命令を発します。しかし、護衛艦はそうではありません、何故ならば艦橋は肉眼での状況把握には適した位置にあるのですが、もっともレーダーに反射する部分であるので、対艦ミサイルが命中しやすい場所です。したがって、艦橋は機関管制室を通じて速度の増減を行い、通信室は艦橋構造物でも下に、艦橋が破壊されたとしても戦闘を継続できるよう戦闘指揮所は離れて配置します。また、機関部も離して配置され、一発のミサイルや爆弾で機関部が全滅しないよう配慮もされています。
ダメージコントロールといいまして、これはつまり、護衛艦は一か所に機能を集中するのではなく、分散することで損害に備えている、という事。そして通常の船舶では航海長が船長に次ぐ立場になりますが、護衛艦では砲雷長や飛行長など、任務において必要な要員が副長を務めます。このあたりについても、自分よりも重武装の相手への背曲的な戦闘を配慮せず、航行することが任務の大きな部分を占める巡視船、損害を受けることを想定しない巡視船と水上戦闘艦である護衛艦とのちがいといえるかもしれません。
海上自衛隊の護衛艦が毎週一般公開されているのと同じように、海上保安庁の巡視船も寄港地で一般公開される機会はかなりありまして、実際に巡視船を見学してみますと、もちろんそうした仕様だからなのですが、通路などは水上戦闘艦という印象はなく、階段などの周辺は何度か利用したフェリーを思い出させる雰囲気があります。そして、指揮所、護衛艦でいう戦闘指揮所に当たる部屋はブリッジの後ろ半分にあり、時として撮影はさせてくれないのですが、一般公開であれば経路によっては自由に行き来させてくれるものもあります。
対して、護衛艦では戦闘指揮所などは、一般公開ではまず入れず、通路は魚雷攻撃などの浸水に備え各所に防水扉が、階段は急なラッタルで防水ハッチが完備されています。また、巡視船は母港に戻りますと、ほぼ全員が上陸し、無人に近くなりますが、護衛艦は例え造船所のドックに入渠中であっても当直が配置され、夏場などは大変とのことですが、常時緊急時に備えている、このあたりも巡視船と護衛艦の大きな違い。
以上の通り、海上保安庁の要員がそのまま、巡視船から元護衛艦の巡視船へ配置転換となっても、通常の引き継ぎのように運用することはできません。特に通信設備と操舵装置に機関管制の方式が通常の巡視船と全く異なりますので、相当な熟練が必要かもしれません。皆さんも、運転する自動車が突然フロントガラスに覆いをされ、助手席の車長がサンルーフから身を乗り出してハンドル操作を行うようになれば運転しにくいでしょう、ギアとアクセルにブレーキは後部座席から操作し、カーナビも後部座席に、そんな感じ。
ただ、海上保安庁にとって護衛艦は全く未知の艦か、と言われますと実は何とも言えないものがあります、それは巡視船しきしま型の存在です。しきしま、は1992年に日本の発電用再処理済みプルトニウム輸送船護衛用に建造された総トン数7175tの世界最大の巡視船で、テロリストの攻撃に備える対空レーダーは、はつゆき型護衛艦と同型のOPS-16,船内はテロ対策の観点から未だ関係者以外一切の未公開で、報道公開されたロシア空母やアメリカの戦略ミサイル原潜よりも報道陣に対して閉ざされています。
しきしま、は、テロリストや特殊部隊の攻撃を想定し、ダメージコントロール概念を設計の際に配慮していまして、しきしま、の運用はある程度護衛艦との共通性がある可能性があります。もちろん、これは実際に見たわけでもありませんから何とも言えないのですが、しきしま、が従来の巡視船とは違う艦内構造、とはよく言われるところ。既に就役し20年以上を経まして、海上保安官にも同船の経験者が多数いますから、特設巡視船はつゆき型対応特別チームを編制すれば、動かすことは可能なのかもしれません。
他方、動かすには海上自衛隊からの支援が必要なのですが、海上自衛隊にその余裕があるかと言いますと、こちらの方が難しく、それならば予備護衛艦として延命させる道を探した方がいいやもしれません。そういうのも海上自衛官は充足率が充分ではなく、除籍された護衛艦の乗員は既に別の艦へと移ることが決定しています。問題の一つは、海上自衛隊から海上保安庁へ、バトンタッチするだけの要員の余裕が無い、ということでしょうか。もともと充足率の低さは毎年毎年財務省へ是正の予算を要求しているのですが、これがなかなか通らず、今に至る、ということ。
鵜来型海防艦、今回の難題を越えることが出来るか、という一助といいますか雑学知識にこの名前を頭の片隅に入れても損はないでしょう。鵜来型海防艦は第二次大戦中の護衛任務用に建造され、船団護衛任務において接近する潜水艦や航空機を撃退する、一種の護衛艦です。米海軍と熾烈な戦いを切り広げた帝国海軍の海防艦ですが、12cm45口径連装高角砲に25mm三連装機銃、爆雷120発等を搭載し基準排水量940t、最高速力は19ノットで、航続距離は16ノットで5000浬を発揮していました。
この中で大戦を生き延びた四隻は戦後海上保安庁に編入、映像としては東宝の映画ゴジラ、に最後オキシジェンデストロイヤーを投入する母船として映画に出ていますし、海防艦志賀は、巡視船こじま、として1964年まで運用、除籍後は千葉市海洋公民館となり、1998年まで保存されていました。過去に軍艦から巡視船へ転用された事例はある、という事は、目の前の問題解決には精神的以外の助けとなりませんが、それでも前例がある、ということもできるやもしれません。
ただ、即座の警備力強化には、例えば交通船、一部交通船は海上自衛隊の19号型哨戒艇の設計を取り入れているものがありますので、これを、大きくはないのですが転用してはどうか、というもの。もしくは、まだまだ新しいので気は引けるのですが、多用途支援艦などは操艦方法がある程度一般の船舶とも近いとのことですから、巡視船に転用してはどうか、と思います。いろいろと困難はあるのですが、しきしま、の要員の経験、鵜来型の前例を元に、頑張ってほしいところです。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)