北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

テニアン自衛隊基地案 島嶼部防衛力強化へ自衛隊マリアナ諸島に駐留拠点構築を計画

2012-04-18 23:37:46 | 防衛・安全保障
◆マリアナ諸島へ太平洋戦争以来の拠点
 日経新聞によれば、政府は島嶼部防衛に関する訓練環境強化へ、米自治領マリアナ諸島テニアンへ自衛隊の駐留施設構築を検討しているとのこと。
Img_2653 マリアナ諸島は現在では自衛隊が訓練に展開する場所ですが、第一次世界大戦により日本がドイツから委任統治領として委任され、第二次世界大戦において米軍との激戦の末に占領され、日本本土戦略爆撃の最大の拠点として機能、本土空襲のほか原爆投下の拠点ともなり戦後はアメリカ自治領へ転換し、今に至ります。
Img_1430 今日では特にグアム島は太平洋地域における戦略航空拠点として機能しており、日本有事において沖縄の基地機能がミサイル攻撃などにより維持不能となった場合には後方から支える日本の生命線としての位置づけにもあります。加えて環太平洋合同演習では陸上訓練なども実施されているところ。
Img_7080 防衛省では、特に沖縄県島嶼部に対する軍事的圧力へ対応する必要性を痛感しつつ、しかし離島防衛に不可欠な上陸や橋頭堡確保といった両用作戦訓練、航空阻止や近接航空支援の実爆訓練を行う十分な演習地を確保できない実情が指摘され続けてきました。
Img_2713 マリアナ諸島における日米訓練の強化はかなり前から日米で検討事項となっており、テニアン島への自衛隊施設は、同島におかれている米軍施設を拠点として、主として訓練部隊をローテーションにより駐留させ、特にこの訓練部隊は陸海空の統合部隊を編成させ訓練に当たるとのこと。
Img_6275 可能であれば、沖縄県の米軍北部訓練場などを日米共同運用とすることが望ましいのですが、演習場としての需要は大きく、他方で航空部隊の実爆訓練などは沖縄県では実施が難しく、結果テニアンへの訓練部隊駐留という方策が具体化したのでしょう。
Img_8316 今回の拠点構築は、自衛隊の能力強化へ寄与することや日米安保体制の強化が進展するという一方で、マリアナ諸島へ恒常的に自衛隊の訓練部隊がローテーション展開することとなり、結果的に自衛隊の輸送能力も強化する必要が出てくることが考えられます。
Img_7517 特に米軍再編に際して、沖縄よりグアムへ移転する米軍部隊の沖縄との移動に関して高速輸送船を日本側が用意する合意が為されており、カーフェリーなどを長期チャーターすることが考えられています。これに合わせて自衛隊のマリアナ諸島への定期的な移動が行われるようなれば、戦略機動能力の強化へ繋がるやもしれません。
Img_7_7_5_1 テニアン島は広島長崎へ核攻撃を行った爆撃機B-29の発進基地となった島ではあるのですが、この島へ自衛隊が駐留するということは日米関係の新しい一歩、もしくは再び旭日旗がテニアンに、という受け取り方も出来るのでしょうか。ともあれ、日米関係に新しい歩み、自衛隊にも新しい一歩となることは間違いないでしょう。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする