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どうしようもなく、家族は家族--疎ましいけれど憎めない、古ぼけてる
から懐かしい。
変わらないようで変わりゆく、谷島酒店一家六人のアルバム。
直木賞受賞後初の長篇。
~Amazonより~
谷島酒店4姉妹の末っ子・里々子の視点で描かれたお話し。。。
長女・有子はすでに嫁いでいたが、実家にはちょくちょく顔を出す。
周囲の人を苛立たせてしまうところがある無口な次女・寿子(ことこ)は
大学を卒業して、アルバイト生活。
合コンに明け暮れる三女・素子は物干し台をルーフバルコニーと呼ぶ。
どこにでもありそうで、なさそうな、谷島一家。
ときは、1999年。
“恐怖の大魔王が世界を破滅させずにあいかわらずの 毎日が続いていた
秋から冬にかけて”事件は起こる。
次女・寿子が(ほぼノン・フィクション?な)家族の話し(エッセイ?小説?)
を書き(それは、作中“のっぺりした永遠”とも言われていたけど)、なんと
新人賞を受賞する。
―それから、この家族に訪れる転機。。。
わいわい暮らしていて、毎日がなんとなく流れていたのが、この本の受賞が
きっかけなのか、家族がばらばらになりかける。
長女の離婚、次女の一人暮らし、三女は大学を中退し実家を手伝っている。
さらには、里々子自身も恋をして、今まで知らなかった自分に気づき、変わっ
ていく。
ここには、家族ってこういう~~~どんなに喧嘩しても、離れて暮らして
いても戻れる場所、でも、ちょっとサザエさん一家みたいなところもある。
“だれも年齢を重ねていかないアニメ番組だ。チャンネルを合わせれば
いつもそこで滑稽な事件が起こり、時間内にそれは解決し、来週もまた
おなじことが起きる、~中略~
はじまりも終わりもない永遠のくりかえし。”本文より抜粋
でもそれが、中間みたいな場所へと変わっていく。
気に入ったのが“中間みたいな場所”のくだり。
“私にもそういう場所があればいいと思う。そこにいくとさ、喧嘩別れした
ボーイフレンドとか、幼稚園のとき仲良かった モモちゃんとか、前うちに
いたナナとか、そいういの、全部ちゃんといるの。
それでわいわい話ししてさ、飽きたらこっちに帰ってくる。”
“嫌いなやつらも全部いる。~中略~そんなのも全部いて、だからそこに
ずっといると、いやになって、でもこっちに戻ってくるとなつかしくなって、
そんなふうに行き来できる場所”
:::感想:::
いつでも恋しい我が家だけれど、いつでも一番帰りたい場所だけれど・・・
帯にあるように、時にはちょっぴり疎ましいと思うこともあった若かりし日。
でも、疎ましいと思うその何十倍も何万倍も恋しい家族だし、家族がいてくれて
感じた幸せは、本当に本当で・・・なにものにもかえがたい。
だけど、私が中学の頃に、たて続けに祖父母が亡くなって、、、いつか妹や弟も
結婚してこの家を出て行くかもしれない。
そう、そのかたちは、永久不変ではないのだ。
それでも、やっぱり私たちは家族で、心の鎧をまとわなくていいのは、
どうしたって、やっぱりここしかないんだなぁ~と、しみじみ思った。
(私、結婚できないなぁとも思ったりして・・・
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