法律の周辺

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取締役会の開催に関する記憶について

2006-07-27 13:38:33 | Weblog
パロマ取締役会,元役員「開催された記憶ない」 YOMIURI ONLINE

 取締役会は,代表取締役等の業務執行につき,監督権限を有する(会社法第362条第2項第2号)。構成員である取締役は,業務執行の全般につき,監視・監督義務を負う。取締役会の上程事項に限定されるわけではない(最判S48.5.22)。
平取締役が不正・不都合を発見した場合は,自ら取締役会を招集することが可能であり(会社法第366条第2項),また,そうすることにより,取締役会の機能が十全かつ機動的に発揮されることになる。このあたりは,会社法施行前も同様だったといってよい(旧商法第259条第1項但書・2項,同第260条第1項)。

記事には,「元役員らも「取締役会が規定通りに開かれていれば,適切な事故防止策を話し合うことができたかも知れない」と話している。」とあるが,まるで第三者のようなコメント。
この方々,代表取締役らの専横を漫然見逃していたことにより,ご自身が責任を負う場合もあり得ることに気付いていない(整備法第78条,旧商法第266条ノ3等参照)。

日本の企業の多くは同族企業。従業員出身の多くの平取締役は,代取を頂点とするピラミッド構造に組み込まれているといわれる。パロマもそのひとつだったということか・・・。


会社法の関連条文

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は,すべての取締役で組織する。
2 取締役会は,次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は,取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は,次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置,変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては,取締役会は,前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
(取締役会設置会社の取締役の権限)
第三百六十三条 次に掲げる取締役は,取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって,取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は,三箇月に一回以上,自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

(招集権者)
第三百六十六条 取締役会は,各取締役が招集する。ただし,取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは,その取締役が招集する。
2 前項ただし書に規定する場合には,同項ただし書の規定により定められた取締役(以下この章において「招集権者」という。)以外の取締役は,招集権者に対し,取締役会の目的である事項を示して,取締役会の招集を請求することができる。
3 前項の規定による請求があった日から五日以内に,その請求があった日から二週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には,その請求をした取締役は,取締役会を招集することができる。
(株主による招集の請求)
第三百六十七条 取締役会設置会社(監査役設置会社及び委員会設置会社を除く。)の株主は,取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし,又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは,取締役会の招集を請求することができる。
2 前項の規定による請求は,取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては,招集権者)に対し,取締役会の目的である事項を示して行わなければならない。
3 前条第三項の規定は,第一項の規定による請求があった場合について準用する。
4 第一項の規定による請求を行った株主は,当該請求に基づき招集され,又は前項において準用する前条第三項の規定により招集した取締役会に出席し,意見を述べることができる。
(招集手続)
第三百六十八条 取締役会を招集する者は,取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各取締役(監査役設置会社にあっては,各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,取締役会は,取締役(監査役設置会社にあっては,取締役及び監査役)の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる。
(取締役会の決議)
第三百六十九条 取締役会の決議は,議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は,議決に加わることができない。
3 取締役会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成し,議事録が書面をもって作成されているときは,出席した取締役及び監査役は,これに署名し,又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については,法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは,その決議に賛成したものと推定する。
(取締役会の決議の省略)
第三百七十条 取締役会設置会社は,取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては,監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は,当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

(取締役会への報告の省略)
第三百七十二条 取締役,会計参与,監査役又は会計監査人が取締役(監査役設置会社にあっては,取締役及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは,当該事項を取締役会へ報告することを要しない。
2 前項の規定は,第三百六十三条第二項の規定による報告については,適用しない。
3 委員会設置会社についての前二項の規定の適用については,第一項中「監査役又は会計監査人」とあるのは「会計監査人又は執行役」と,「取締役(監査役設置会社にあっては,取締役及び監査役)」とあるのは「取締役」と,前項中「第三百六十三条第二項」とあるのは「第四百十七条第四項」とする。

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