法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

家族への介護記録の提供について

2006-07-27 11:52:17 | Weblog
グループホームの介護記録,ネットで閲覧・10月から実証実験 NIKKEI NET

 介護記録は個人情報(個人情報保護法第2条第1号)のひとつ。
家族といえども「第三者」であることに変わりはないから,家族への介護記録の提供には本人の同意を得なければならないのが原則である(同第23条第1項)。
もっとも,このあたり,医療・介護関係事業者ガイドラインでは,利用者への介護サービスの提供のために必要な利用目的については,あらかじめ特定・公表し,かつ,利用者から明示的に留保の意思表示がなければ,利用者の黙示の同意があったものと考えられている。

いずれにしても,入所者本人が,明示的に,a 提供を望まない場合,b 提供を特定の家族に限定したい場合,c 当初の提供範囲を変更したい場合等は,その意思にしたがう必要がある。

トラブルが生じないよう,サービス開始時には,本人や家族にきちんとした説明が必要になろう。家族の1人から「他の家族への提供を止めて欲しい」といった依頼もあり得る。

厚労省HP 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(局長通達)


個人情報の保護に関する法律の関連条文

(定義)
第二条  この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
2  この法律において「個人情報データベース等」とは,個人情報を含む情報の集合物であって,次に掲げるものをいう。
一  特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
二  前号に掲げるもののほか,特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
3  この法律において「個人情報取扱事業者」とは,個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。
一  国の機関
二  地方公共団体
三  独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十九号)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
四  地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
五  その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
4  この法律において「個人データ」とは,個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
5  この法律において「保有個人データ」とは,個人情報取扱事業者が,開示,内容の訂正,追加又は削除,利用の停止,消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって,その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
6  この法律において個人情報について「本人」とは,個人情報によって識別される特定の個人をいう。

(第三者提供の制限)
第二十三条  個人情報取扱事業者は,次に掲げる場合を除くほか,あらかじめ本人の同意を得ないで,個人データを第三者に提供してはならない。
一  法令に基づく場合
二  人の生命,身体又は財産の保護のために必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき。
三  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき。
四  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって,本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
2  個人情報取扱事業者は,第三者に提供される個人データについて,本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって,次に掲げる事項について,あらかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは,前項の規定にかかわらず,当該個人データを第三者に提供することができる。
一  第三者への提供を利用目的とすること。
二  第三者に提供される個人データの項目
三  第三者への提供の手段又は方法
四  本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
3  個人情報取扱事業者は,前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更する場合は,変更する内容について,あらかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。
4  次に掲げる場合において,当該個人データの提供を受ける者は,前三項の規定の適用については,第三者に該当しないものとする。
一  個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
二  合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
三  個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって,その旨並びに共同して利用される個人データの項目,共同して利用する者の範囲,利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について,あらかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
5  個人情報取扱事業者は,前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は,変更する内容について,あらかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地方債の起債について | トップ | 取締役会の開催に関する記憶... »