法律の周辺

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駐車違反取締りにおける郵便小包の特権的扱いについて

2006-07-13 17:48:19 | Weblog
asahi.com 郵便小包,「特権」駐車見直し 「不公平」批判相次ぎ

 例えば,秋田県道路交通法施行細則第5条の2は,「道路標識等による通行禁止,駐車禁止,駐停車禁止,駐停車禁止路側帯及び時間制限駐車区間の交通規制の対象から除外する車両」として,「カ 郵便物の集配又は電報の配達のため使用中の車両」を規定している。
道路交通法や本細則に「郵便物」の定義規定はない。とすれば,その意味するところは,郵便物に係る一般法である郵便法の定義に拠ると考えるのが,まぁ,無理のないところ。
そこで,郵便法第16条を見る。そこには,「郵便物は,通常郵便物及び小包郵便物とし,通常郵便物は,第一種郵便物,第二種郵便物,第三種郵便物及び第四種郵便物とする。」とある。
「ゆうパック」は「一般小包郵便物」。とすれば,法令の解釈としては,「ゆうパック」の配達中に放置駐車しても,交通規制除外車両である以上,違反にはならないということになる。
しかし,条文の解釈から出てくる内容とその妥当性とは一応別の問題。「ゆうパック」が民間の宅配便とサービス内容において変わるところがないとすれば,駐車違反の取締りで別異に扱うのは公平性に欠ける。

記事には,「来年初めにも全国の警察本部に通達するという。」とあるが,問題性を認めながら,「来年初めにも・・・」は理解に苦しむ。業界団体からの批判,収まるだろうか。


秋田県道路交通法施行細則の関連条文

(交通規制の対象から除外する車両)
第5条の2 法第4条第2項の規定により,交通規制の対象から除外する車両は,次の各号に掲げるものとする。
(1) 道路標識等による交通規制の対象から除外する車両
ア 緊急自動車,警衛列自動車,警護列自動車及び消防用車両
イ 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づく応急対策のため使用中の車両
(2) 道路標識等による通行禁止,駐車禁止,駐停車禁止,駐停車禁止路側帯及び時間制限駐車区間の交通規制の対象から除外する車両
ア 急病人の搬送,治療等の救急用務その他人命救助のため使用中の車両
イ 公職選挙法(昭和25年法律第100号)に基づく選挙運動又は政治活動のため使用中の車両
ウ 道路維持作業用自動車
エ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づく廃棄物の収集のため使用中の車両
オ 犯罪の捜査,交通の取締りその他警察活動のため使用中の車両
カ 郵便物の集配又は電報の配達のため使用中の車両
キ 次の車両で様式第1号(1)の通行・駐車禁止(時間制限駐車区間)除外指定車標章を提出しているもの
(ア) 電気,ガス,水道,通信等の緊急修復工事に使用中の車両
(イ) 医師等の往診のため使用中の車両
(ウ) 報道機関が緊急取材のため使用中の車両
(エ) 道路,信号機及び道路標識等の維持管理のため使用中の車両
(オ) 獣医師が家畜伝染病の発生時に緊急往診のため使用中の車両
(カ) (ア)から(オ)までに掲げるもののほか,公益上必要があつて当該目的に使用中の車両
(3) 道路標識等による駐車禁止及び時間制限駐車区間の交通規制の対象から除外する車両
ア 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)に基づく身体障害者手帳の交付を受けている歩行困難な者又は療育手帳の交付を受けている重度以上の知的障害者が現に使用中の車両(以下「身体障害者等使用車」という。)で,様式第1号(2)の駐車禁止(時間制限駐車区間)除外指定車標章(他の都道府県公安委員会の交付に係るものを含む。)を提出しているもの
イ 色素性乾皮症患者が,現に使用中の車両(以下「紫外線要保護者使用車」という。)で様式第1号(3)の駐車禁止(時間制限駐車区間)除外指定車標章(他の都道府県公安委員会の交付に係るものを含む。)を提出しているもの

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1 コメント

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Unknown (hanbo)
2006-07-23 09:44:32
 公安委員会は,法律により,自動車の運転免許,風俗営業・銃砲刀剣類等の許可や取り消し,交通規制等の事務を行う。

秋田県道路交通法施行細則は,秋田県公安委員会が,道路交通法第4条第2項に基づき定めた規則である。



朝日の下記関連記事の第3パラグラフに,「「ゆうパック」も郵便物としてみなされ云々」という記述がある。

しかし,本文に記載したとおり,「ゆうパック⊂郵便物」は条文の解釈として自然に出てくる。



asahi.com 郵便小包,「特権」駐車見直し 「不公平」批判相次ぎ

http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200607130152.html
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