法律の周辺

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資産基準の設定による国選弁護の制限について

2006-07-28 12:54:08 | Weblog
asahi.com 国選弁護に制限,「預貯金50万円以上なら私選を」

 記事には,「資産が50万円を超えた場合は私選弁護人と契約交渉するが,それができないと,改めて国選弁護人の選任手続きに入る。」とある。
なるほど,「資産50万円超なら国選は一律不可」としたのでは,憲法第37条第3項後段との関係で問題がでてきそうである。

法務省等の,概略,基準設定が国選弁護の対象者の増減にどう影響するか分からないというコメントからは,何か見切り発車という印象を受けるのだが,どうなのだろう。実態調査をしてから設定すればよさそうなものだが・・・。あるいは,法テラスのスタート等との兼ね合いがあるのだろうか。


日本国憲法の関連条文

第三十一条  何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。

第三十二条  何人も,裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

第三十四条  何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。又,何人も,正当な理由がなければ,拘禁されず,要求があれば,その理由は,直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条  すべて刑事事件においては,被告人は,公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2  刑事被告人は,すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ,又,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3  刑事被告人は,いかなる場合にも,資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを附する。

刑事訴訟法の関連条文

第三十条  被告人又は被疑者は,何時でも弁護人を選任することができる。
2  被告人又は被疑者の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹は,独立して弁護人を選任することができる。

第三十一条  弁護人は,弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2  簡易裁判所,家庭裁判所又は地方裁判所においては,裁判所の許可を得たときは,弁護士でない者を弁護人に選任することができる。但し,地方裁判所においては,他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。

第三十二条  公訴の提起前にした弁護人の選任は,第一審においてもその効力を有する。
2  公訴の提起後における弁護人の選任は,審級ごとにこれをしなければならない。

第三十六条  被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは,裁判所は,その請求により,被告人のため弁護人を附しなければならない。但し,被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は,この限りでない。

第三十七条  左の場合に被告人に弁護人がないときは,裁判所は,職権で弁護人を附することができる。
一  被告人が未成年者であるとき。
二  被告人が年齢七十年以上の者であるとき。
三  被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。
四  被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。
五  その他必要と認めるとき。

第三十八条  この法律の規定に基いて裁判所又は裁判長が附すべき弁護人は,弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2  前項の規定により選任された弁護人は,旅費,日当,宿泊料及び報酬を請求することができる。

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