法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

試合に負けた後に相手側のルール違反を言う選手について

2006-07-29 18:47:21 | Weblog
asahi.com 「眉毛をそってるから」負け 鹿児島の中学総体

 未成年者の人権制限については,校則による髪型やバイク等に係る規制の問題があり,著名な判例として丸刈り訴訟(熊本地判S60.11.13)などがある。判例のいくつかは,校則を定める校長の裁量権を広範囲に認める。例えば,前記下級審判例は,概略,次のようにいう。

 中学校長の有する校則制定権は,教育に関連し,かつ,内容が合理的な範囲においてのみ是認されるが,具体的にいかなる程度,方法の規制を加えることが適切かは中学校長の専門的・技術的な判断に委ねられ,内容が著しく不合理でない限り,校則は違法とならない。

 記事のケースは中学校総合体育大会の競技の場で起きたもの。学校生活とスポーツ活動は別という考え方もあるが,スポーツ活動も学校生活の一部ないし延長上にあると考えると,校則とは全くの別問題とするのもおかしなことになる。
さて,ここで,下級審判例のように,大会主催者の裁量を広く考えれば,「眉を剃る → 出場禁止」という規制は,全く問題がないとは言わないが,一応許容の範囲と言えそうだ。
一方,規制の当否を目的と規制の実質的な合理的関連性の有無等で考えれば,尾木氏の指摘するように「身だしなみは試合と全く関係がな(い)」から,「眉を剃る → 出場禁止」など論外,ということになるか。

 しかし,この記事のケース,下級審判例のように考えたとしても,おやっと首を傾げたくなる点がある。
まず,試合のやり直しならともかく,勝ち負けを覆すという中体連の判断。これでは,自分達のミス(事前に告知していた注意事項に反する事実の見落とし)を棚上げして,選手の側に責任転嫁するようなもの。いくら何でも,「眉を剃る → 負け」は,行き過ぎである。
また,試合前ならともかく,負けた後に,「眉毛をそっている生徒がいる」も,選手の言う言葉だろうか。ちょっと嘆かわしい。

どうも,憲法にお出まし頂くのは申し訳ない話しのようだ。


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

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