法律の周辺

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国の訴訟費用の負担について

2006-09-18 23:59:00 | Weblog
台湾ハンセン病訴訟:費用は国負担 東京地裁が異例の決定 MSN毎日インタラクティブ

 記事には,「杉原則彦裁判長は決定理由で「入所者は法改正で補償金支給決定を受け,実質的には全部勝訴した。(実質敗訴した)国の費用負担が相当」と述べた。」とある。
記事のタイトルには「異例の決定」とあるが,むしろ,原則(民訴法第61条)通りの決定,と言った方が良さそうだ(なお,民訴法第73条第2項,同第62条参照)。

 訴訟費用は200万円弱ということだが,具体的な額は,本決定が執行力を生じた後,書記官が定める(民訴法第73条第1項参照)。


民事訴訟法の関連条文

(訴訟費用の負担の原則)
第六十一条  訴訟費用は,敗訴の当事者の負担とする。

(不必要な行為があった場合等の負担)
第六十二条  裁判所は,事情により,勝訴の当事者に,その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。

(訴訟を遅滞させた場合の負担)
第六十三条  当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより,又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは,裁判所は,その当事者に,その勝訴の場合においても,遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。

(一部敗訴の場合の負担)
第六十四条  一部敗訴の場合における各当事者の訴訟費用の負担は,裁判所が,その裁量で定める。ただし,事情により,当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる。

(共同訴訟の場合の負担)
第六十五条  共同訴訟人は,等しい割合で訴訟費用を負担する。ただし,裁判所は,事情により,共同訴訟人に連帯して訴訟費用を負担させ,又は他の方法により負担させることができる。
2  裁判所は,前項の規定にかかわらず,権利の伸張又は防御に必要でない行為をした当事者に,その行為によって生じた訴訟費用を負担させることができる。

(補助参加の場合の負担)
第六十六条  第六十一条から前条までの規定は,補助参加についての異議によって生じた訴訟費用の補助参加人とその異議を述べた当事者との間における負担の関係及び補助参加によって生じた訴訟費用の補助参加人と相手方との間における負担の関係について準用する。

(訴訟費用額の確定手続)
第七十一条  訴訟費用の負担の額は,その負担の裁判が執行力を生じた後に,申立てにより,第一審裁判所の裁判所書記官が定める。
2  前項の場合において,当事者双方が訴訟費用を負担するときは,最高裁判所規則で定める場合を除き,各当事者の負担すべき費用は,その対当額について相殺があったものとみなす。
3  第一項の申立てに関する処分は,相当と認める方法で告知することによって,その効力を生ずる。
4  前項の処分に対する異議の申立ては,その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
5  前項の異議の申立ては,執行停止の効力を有する。
6  裁判所は,第一項の規定による額を定める処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において,訴訟費用の負担の額を定めるべきときは,自らその額を定めなければならない。
7  第四項の異議の申立てについての決定に対しては,即時抗告をすることができる。

(訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱い)
第七十三条  訴訟が裁判及び和解によらないで完結したときは,申立てにより,第一審裁判所は決定で訴訟費用の負担を命じ,その裁判所の裁判所書記官はその決定が執行力を生じた後にその負担の額を定めなければならない。補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げがあった場合も,同様とする。
2  第六十一条から第六十六条まで及び第七十一条第七項の規定は前項の申立てについての決定について,同条第二項及び第三項の規定は前項の申立てに関する裁判所書記官の処分について,同条第四項から第七項までの規定はその処分に対する異議の申立てについて準用する。

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