法律の周辺

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金融機関に対する評価制度について

2006-11-18 19:58:51 | Weblog
asahi.com 法令順守「不十分」6割 金融機関、顧客保護も不備

 記事には,「この評価制度は,消費者保護の強化を求める金融庁が試行的に始めた。」とある。来年6月までに本格実施とのことだが,評価の公開をお願いしたいもの。

 顧客保護に関して言えば,ご存じのとおり,本年4月,某メガバンクが優越的な地位の濫用で金融庁より行政処分を受けている
処分の理由には,優越的地位の濫用事案(独占禁止法第19条),金融商品の説明義務と抵触する事案(金販法第3条)等に触れた後,次のようなくだりがある。

 その原因として,法令等遵守(コンプライアンス)より収益獲得優先が常態化しており,経営管理(ガバナンス)態勢,内部管理態勢,及び法令等遵守(コンプライアンス)態勢などにつき,取引等の適切性の確保の観点から,以下をはじめとする基本的かつ重大な問題が認められること。更に,抜本的な改善には,制度,態勢の改革のみならず役職員の根本的な意識改革が必要であり,そのためには相応の時間がかかるものと認められること。

 この処分の後公表された公正取引委員会の「金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告書」で金融機関の優越的地位の濫用の実態等が浮かび上がり,金融庁の「取引等の適切性確保への取組みの再徹底について」の発出に至っている。
なお,金販法は証券取引法の改正に係る整備法で改正されている。

金融庁 平成18年1月5日 取引等の適切性確保への取組みについて


「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の関連条文

第十九条  事業者は,不公正な取引方法を用いてはならない。

第二十条  前条の規定に違反する行為があるときは,公正取引委員会は,第八章第二節に規定する手続に従い,当該行為の差止め,契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。
2  第七条第二項の規定は,前条の規定に違反する行為に準用する。

「金融商品の販売等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際し顧客に対して説明すべき事項及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったことにより当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めることにより,顧客の保護を図り,もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

(金融商品販売業者等の説明義務)
第三条  金融商品販売業者等は,金融商品の販売等を業として行おうとするときは,当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に,顧客に対し,次に掲げる事項(以下「重要事項」という。)について説明をしなければならない。
一  当該金融商品の販売について金利,通貨の価格,有価証券市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,その旨及び当該指標
二  当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,その旨及び当該者
三  前二号に掲げるもののほか,当該金融商品の販売について顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,その旨及び当該事由
四  当該金融商品の販売の対象である権利を行使することができる期間の制限又は当該金融商品の販売に係る契約の解除をすることができる期間の制限があるときは,その旨
2  前項第一号から第三号までの「元本欠損が生ずるおそれ」とは,当該金融商品の販売が行われることにより顧客の支払うこととなる金銭の合計額(当該金融商品の販売が行われることにより当該顧客の譲渡することとなる金銭以外の物又は権利であって政令で定めるもの(以下この項及び第五条第二項において「金銭相当物」という。)がある場合にあっては,当該合計額に当該金銭相当物の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)が,当該金融商品の販売により当該顧客(当該金融商品の販売により当該顧客の定めるところにより金銭又は金銭以外の物若しくは権利を取得することとなる者がある場合にあっては,当該者を含む。以下この項において「顧客等」という。)の取得することとなる金銭の合計額(当該金融商品の販売により当該顧客等の取得することとなる金銭以外の物又は権利がある場合にあっては,当該合計額に当該金銭以外の物又は権利の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)を上回ることとなるおそれがあることをいう。
3  一の金融商品の販売について二以上の金融商品販売業者等が第一項の規定により顧客に対し重要事項について説明をしなければならない場合において,いずれか一の金融商品販売業者等が当該重要事項について説明をしたときは,他の金融商品販売業者等は,同項の規定にかかわらず,当該重要事項について説明をすることを要しない。ただし,当該他の金融商品販売業者等が政令で定める者である場合は,この限りでない。
4  第一項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。
一  顧客が,金融商品の販売等に関する専門的知識及び経験を有する者として政令で定める者(第八条第一項において「特定顧客」という。)である場合
二  重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思の表明があった場合

(金融商品販売業者等の損害賠償責任)
第四条  金融商品販売業者等は,顧客に対し前条の規定により重要事項について説明をしなければならない場合において,当該重要事項について説明をしなかったときは,これによって生じた当該顧客の損害を賠償する責めに任ずる。

(損害の額の推定)
第五条  顧客が前条の規定により損害の賠償を請求する場合には,元本欠損額は,金融商品販売業者等が重要事項について説明をしなかったことによって当該顧客に生じた損害の額と推定する。
2  前項の「元本欠損額」とは,当該金融商品の販売が行われたことにより顧客の支払った金銭及び支払うべき金銭の合計額(当該金融商品の販売が行われたことにより当該顧客の譲渡した金銭相当物又は譲渡すべき金銭相当物がある場合にあっては,当該合計額にこれらの金銭相当物の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)から,当該金融商品の販売により当該顧客(当該金融商品の販売により当該顧客の定めるところにより金銭又は金銭以外の物若しくは権利を取得することとなった者がある場合にあっては,当該者を含む。以下この項において「顧客等」という。)の取得した金銭及び取得すべき金銭の合計額(当該金融商品の販売により当該顧客等の取得した金銭以外の物若しくは権利又は取得すべき金銭以外の物若しくは権利がある場合にあっては,当該合計額にこれらの金銭以外の物又は権利の市場価額(市場価額がないときは,処分推定価額)の合計額を加えた額)と当該金融商品の販売により当該顧客等の取得した金銭以外の物又は権利であって当該顧客等が売却その他の処分をしたものの処分価額の合計額とを合算した額を控除した金額をいう。

(民法 の適用)
第六条  重要事項について説明をしなかったことによる金融商品販売業者等の損害賠償の責任については,この法律の規定によるほか,民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。

(勧誘の適正の確保)
第七条  金融商品販売業者等は,業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をするに際し,その適正の確保に努めなければならない。

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