俳句などかじっていると、やはり言葉に興味があって、
いいフレーズを聞くと、すぐ書き留めてしまう。
そして、その年に一番感銘をうけた言葉を
その年の指針としたりして、少なからず
我が人生に影響を与えている。
昨年は「求めていなければ授からない」で、
実践力を考えさせられ、今年は、
「その場所で咲きなさい」で、現状の
大切さを学んでいる。
その他にも「わたしに何かできることは?」
などあるが、本当にすごい言葉というのは、
簡潔で分かりやすいということだ。
例えば、超有名な漫画家赤塚不二夫さんの
「これでいいのだ」
それから書家相田みつおさんの
「人間だもの」
植木等が歌ったフレーズ
「わかっちゃいるけど」
などなど…。簡潔で深い人間の本質を
ついている言葉だ。
これらの言葉で気付いたのは、いずれも
人間の弱さを表現していることである。
今年大ブレイクした「今でしょう」
なども決断の弱さに対してうながした
言葉ではないだろうか。
最近の若者は、「ヤバイ!」
を都合よく連呼しているようだが、
感性の表現なので、それはそれで
いいかと思う。
わたしの割合好きな言葉は
「ま、いいか」
「何となく」
「テキトー」
「たかが、されど」
「ゆらぎ」
など、曖昧模糊としたものが多いような
気がする。
やっぱり、わかっちゃいるけど人間の悲しさか、
物事を決めつけることができない。
たかがと、されどの境目が曖昧でいつも
ゆらいでいるのだ。
そう…この揺らぎこそわたしが、絵に俳句に
求めてやまないものでもあるのだ。
ゆらぎは、いわば不定形のもので、
風、波、草木のそよぎ、などのたぐいである。
しかしながら、これに触れると、何だか
気持ちが安らぎ、妙に幸せ感が湧いてくるのである。
そういえば、なかなか定まらない人間の
心は、ゆらぎの極致ではないだろうか。
だから、ゆらぎに触れると同じ波動に共鳴して、
安心感を得るのかもしれない。
ああ…海が見たくなってきた。ゆらぎあふれるあの
大海原を…。