武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

188. 高温多湿 Alta temperatura e umidade

2021-09-01 | 独言(ひとりごと)

 9月1日の今日も霧だ。お城もトロイアもサド湾の水面も見えない程の濃霧。下界は濃霧なのに上空は晴れ。陽射しが強い。そして部屋の中は蒸し暑い。降水確率26%の予報。たぶん降らないのだろう。

 8月28日に雨が降った。ほんの少し、傘が要らない程の霧雨。

 その前は7月26日と25日。その時も傘が要らない程の霧雨がほんの少し。

 そして更にその前は6月21日に一時雨。20日に雨のち快晴。19日に曇り時々晴れ一時雨。

 夏に入ってからは1か月に1度、こんな感じで殆ど降ってはいない。霧の日も何度かはあった。

 でも例年なら夏には全く降らない。雲一つない快晴、降水確率0%の日が数か月も続く。空気はカラカラに乾燥し、溜池の底が現れ、赤土にひび割れが生じ、牧場の羊や牛が途方に暮れる。

 イベリア半島のポルトガル、アレンテージョで毎夏心配される渇水のニュース。それがこの夏はあまりなかった様に思う。イベリア半島に潤沢に水があることは良いことだ。

 地球上で一番砂漠化がすすんでいるのがイベリア半島だそうだ。

乾燥したポルトガル風景

 毎年起こる山火事はそれを加速している。でも今年2021年に限っては少ない。そういえばセトゥーバルでも40℃に達する日が1度あっただけで、それ程の猛暑はなかった。

 夏に霧雨とは言え雨が降ったのも異常気象なのかもしれない。

 大阪に住む友人から8月21日にメールが届いた『この頃、梅雨の様に雨が続きます。先日は布団を干していて濡らしてしまいました。』大阪は台風の影響もあるのだろう。雨ばかりであるらしい。

 イベリア半島には殆ど降らないがイタリアでもドイツでもベルギーでも降り過ぎての洪水に見舞われ被害が出た。ハイチでは地震の後、追い打ちをかける様にハリケーンによる洪水。アメリカのカリフォルニアでは今年も大規模火災で過去最悪だそうだ。一方、フロリダでは洪水被害。

 グリーンランドでも雨が降ったそうである。グリーンランドの雨は史上初めてだとか。空から落ちてくるのは今までは雪でしかなかったそうだ。過去最悪とか初めての観測などの言葉も最近は頻繁に耳にする。

 地球の温暖化は想像以上に進んでいる。温暖化により異常気象が起こり、どか雨が降り、被害が出る。

 僕はどちらかと言うと雨は嫌いだ。特に日本の梅雨の様な高温多湿には耐えられない。高温多湿アレルギーなのだ。そんなアレルギーがあるのかどうかは知らないが、子供の頃にはそんな時期に蕁麻疹が体中に出て、顔は腫れあがり、喘息になった。

 それがヨーロッパに来て身体の調子はすこぶる良い。気候風土が身体に合っているのかもしれない。

 南米の旅行中はずっと調子が悪かった。リオから南下しアルゼンチンの最南端まで行き、チリから北上、赤道直下のエクアドールではかなり辛かった記憶がある。コロンビアまで来た頃にはいよいよ体調が悪化、顔にも蕁麻疹が出ていた。ボゴタのツーリスモで医院を紹介してもらって診てもらったことがある。インドネシアでもあまり良くはなかった。

 ヨーロッパに高温多湿と言う時期はない。夏は乾燥し、雨季は冬だ。寒いのも苦手だが寒い時期の多湿はそれ程苦にはならない。かつて4年余りをストックホルムに暮らした。その時も体調は良かった。

 高温多湿の極であるサウナなどは苦手かというとそうでもない。サウナは好きだ。サウナに入って蕁麻疹が出たことはない。

 ポルトガルの雨季と言っても日本程は降らない。クルマのワイパーも殆ど使ったことがない。雨の日は出掛けないことにしているからだが。

 晴耕雨読と言うけれど、雨の日の読書は暗いので眼を悪くしてしまう。読書も晴れた日の方が好きだ。雨の日はキャンバス張りに充てている。湿度が高いと張り易いからだ。

 自然は巧く出来ている。自然と巧く付き合えたら良いのにと思うが、要らないところに降り過ぎて、必要なところには一滴も降らない。地球規模では整合性が取れていない。

 昼間は晴れて、寝ている夜に少しずつ降ってくれれば、と自分の都合の良いことを考える。以前、中国で人工的に雨を降らせる実験が行われたと思うが、立ち消えになったのだろうか?

 現代は僕たちが子供の頃には考えられないような進んだSFの世界になっている。あと、ほんの少しで必要な時、必要な場所に、必要なだけの雨を降らせることが出来る世の中が来ることだろうと思う。

 でもそんな人工的な雨よりも、美しい海に潤沢に珊瑚が育ち、保水力のある豊かな森の緑深い地球になれば、きっと必要なだけの雨降りになるのではないのだろうか。VIT

 

『端布キャンバス』 エッセイもくじ へ

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 187. 灯台守 Faroleiro | トップ | 189. 左手で絵を描く Pintu... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

独言(ひとりごと)」カテゴリの最新記事