武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

168. クリスマスツリー  Arvore de Natal

2019-12-01 | 独言(ひとりごと)

ルイサ・トディ大通り公園の蚤の市とクリスマスツリー

 夕食を済ませた後、少しばかりのニュース情報番組を観、その後は就寝まで入浴を挟んでテレビの映画鑑賞となる。ほぼ毎夜2本。ハリウッド映画が8割を占めるのだろうか?その中には観なくても良かったと思う映画が半数、それも繰り返しやる。観なくても良かったと思った映画でもそれしかなかったら再度それを観る。仕方なく観ていても、細かい小道具、背景や俳優の演技、俳優が徐々に年老いてゆくメイクの技、BGMなど、今までは見過ごされていた物が観えてくることもある。

 この時期になるといわゆるクリスマス映画をよくやる。雪景色の町角のドアにはクリスマスリースが吊るされ、建物はイルミネーションで縁取られ、暖炉の燃えさかる天井の高い、螺旋階段のある居間にはクリスマスツリーが飾られていたりする。ハリウッド映画を観ながらアメリカとポルトガルでは随分と違うなと感じる。

 セトゥーバルでも11月も中旬になると、我が家の台所の窓から見えるルイサ・トディ大通り公園に巨大なクリスマスツリーが姿を現す。セトゥーバル市が設置するものなのだろうが、長いルイサ・トディ大通り公園の2箇所にある。一か所は市の中心ボカージュ広場に近いところ。もう一箇所はアヌンシアーダ郵便局とメルカドの中間、ジャカランダ並木のあたりだろうか?

 どちらも近頃は簡単にできる鉄骨を組み建てて、それにLEDの電飾ランプを巻き付けるだけのもので昼間に見るとまるで趣がない。それどころか歩くのに邪魔になってしようがない。ボカージュ広場に近いクリスマスツリーなどは巨大すぎて、基礎部分など大通公園の石畳部分の幅を一杯に使っているので、通行する歩道が人一人しか通れなくなる。それにまるで工事現場の足場の横を通る様な気分だ。夜になれば電飾が光るのでクリスマスツリーなのは判る。

 家庭用のクリスマスツリーは大型スーパーの特設売り場やインテリア雑貨店、中華雑貨店などでプラスティック製の物が売られ、そんなのが主流になっている。

 以前にはクリスマス前になるとメルカドの前に松の木を山積みした2トントラックがやってきて人々が買い求めていた。クリスマスツリーは樅ノ木ではなく松の木でも良いのだ。と思いながら人々が選んでいるのを見ていた。

 我が家の下の水道タンクの周りの空き地には松の木が実生する。何処からか鋸を片手に小母さんがやって来て、手ごろな大きさになった松の木を切り取ってゆく。それも例の9.11以来空き地にフェンスが巡らされ入られなくなったのと、定期的に作業員がやって来て綺麗に草刈りをしてしまう。松の木は全て刈り取られてしまった。

 フェンスが張り巡らされたお陰で犬の散歩にも入られなくなったので、フェンスの外周りが散歩コースになってしまった。草刈り作業員以外は犬も誰も入られないので、今や猫のオアシスとなっている。松の木は全て切り取られたが、トウゴマだけは刈り取っても、刈り取っても生えて草刈り作業員の手にも負えないのか放置され、枝を張り大木化しつつある。そのトウゴマの下が猫の住み家となり、子育てをしている様子で、そのトウゴマの枝が、子猫たちの遊び場所となっている。

 猫が寝静まった夜に、もう少し上に目を転じると、各家々の窓がLED電飾で飾られているのが見える。見様によっては日本のネオンサインやパチンコ屋の電飾を懐かしく思い起こす。

 ハリウッド映画などを観ていると、大規模なクリスマスツリー専門業者が市を建てる。人々は自分の気に入った物を買い求め、クルマの屋根に括り付けて持ち帰り、部屋や前庭に設置し、飾り付けを施す。

 クリスマス後に使い終わったクリスマスツリーが通りに山積みされている映像などもある。自治体は処分に頭を悩ますそうだが、ポルトガルではそんなことはないが、例年ゴミ箱はクリスマスプレゼントの箱や包装紙で溢れ返る。

 映画と言えば11月28日にパリに住む映画メイクアーティストの薮内綾さんからフェイスブックのお知らせが届いた。薮内綾さんはパリで生まれ育ち今もパリにお住いだが、ハリウッド映画などのメイクの仕事で世界的に活躍されている方だ。フェイスブックでは日本人のエキストラを募集とのことで、何でもパリでクリスマス飾りのあるうちに撮り終えたいそうだが、来年のクリスマス封切りの映画だろうか?

 パリもシャンゼリゼ大通りなど街路樹にイルミネーションが施され毎年の如く映像になる。そしてエッフェル塔もイルミネーションされ世界最大のクリスマスツリーとなる。

 クリスマスツリーの起源はキリストとは関係なく、17世紀頃に北欧ドイツあたりで始まり世界に広まったと言われているが、ゲルマン民族には古く、以前からからその様な風習があったらしい。

 リスボンのコメルシオ広場のクリスマスツリーもルイサ・トディ大通り公園の物と同じ様式だが規模は格段に大きい。高さ30メートルで何でも2ミリオン個のLEDが使われているとか。

 そして我が家のクリスマスツリーもLED電飾で様々な光り方を見せる。ドアにはクリスマスリースを吊り下げるし、毎年、ポルトガルのクリスマスケーキの『ボーロ・レイ』は買い求め、たっぷりのアグアデンテ(葡萄の絞り粕から採れる焼酎)を振り掛けて頂く。赤と緑が鮮やかなポインセチアを飾り、赤いキャンドルなども毎年用意するが、今年は金色にした。

 でもこのところクリスマス当日にはアルブフェイラのホテルで過ごすことが多い。ホテルの前庭の椰子の木々には螺旋状に電飾モールが上り。趣向を凝らしたプレセピオと数箇所に設置されたクリスマスツリーが楽しませてくれる。VIT

 

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