武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

118. 朝食とナス科植物 Pequeno-almoço e Solanaceae

2014-08-30 | 独言(ひとりごと)

 我が家の朝食はパン食である。

 朝はたっぷり食べることにしている。

 それがポルトガル式かというとそうでもない。我が家式である。

 基本となるパンはリオ・マヨールのどっしりパン。以前はラゴイーニャであったり、マフラであったり、モイーニョのパンであったり、いろいろ変わってきてはいるが、最近はリオ・マヨール。何故かというと、行きつけのスーパーで売られているからに他ならない。まあしいて言えばあまりこだわりはないが、保存料の使われていない炭火焼のどっしりパンには違いない。底には煤がこびり付いているし、日にちが経てば黴が生える。(最近日本の大手食品会社製のパンには黴が来ない。あれはどうみても不自然である。)

 時たまには他のスーパーでドイツ風の黒パンを買ってくることもある。それはもっと重い。スウェーデンに住んでいた頃、北欧や東欧を旅行中によく食べた懐かしさもあり時々は黒パンを食べる。日にちが経ったあの黒パンの酸味が癖になり堪らなく旨い。

 パンにはバターかチーズ。チーズはポルトガルのではなく、フランスかオランダのゴーダチーズ、ブルーチーズ、カマンベールなど3種類くらいを常時置いている。バターはマーガリンではなくバターを使う。

 それに必ずサラダを付ける。赤キャベツの刻んだものを塩コショー、りんご酢、オリーブオイルで和えたものをまとめて作っておいて毎朝食べる。新鮮なレタスも付ける。朝からサラダを食べるなどと言うとポルトガル人は驚く。日本では普通であるが。

 たまにはハムが付くこともあるし、目玉焼きが付くこともある。トマトが付くこともあるし、キュウリが付くこともある。ポテトサラダを作ることもある。我が家ではドレッシングもマヨネーズも自家製である。

 それにヨーグルト。ヨーグルトは以前には自作したり、カスピ海ヨーグルトを作ったりしていたが、今は市販のナチュラル125グラムを1個ずつ食べている。それにフルーツを混ぜる。フルーツはバナナ、りんご、オレンジそれに缶詰の黄桃をミックスしたものをあらかじめ作っておいて毎朝ヨーグルトに混ぜる。キーウィフルーツを混ぜることもある。先日は野原から採ってきたキイチゴなども混ぜた。

 飲物は以前はカフェオーレであったが、最近は穀物から出来たココア風味粉末を、沸かした牛乳に溶かして作るココア風飲物を飲んでいる。ココアは繊維が多く健康に良さそうで飲むことにしている。穀物から出来たココア風味は更に健康に良さそうに思えてこれを飲んでいるが、本物のココアより遥かに安価でもある。日本でも市販されれば良いと思うのだが日本では見たことがない。原料はイネ科穀物である。

 それと100%のトマトジュース。ミネラルウォーターも1杯。だいたいこれが我が家の朝食である。

 

 朝は7時に起床して、顔を洗い、歯を磨き、それから朝食の用意、7時45分には食べ終わっている。朝食にはコーヒーは飲まないが、ひと仕事終えた後、10時にコーヒータイムとしている。

 

 ちかごろは「ポルトガルの野の花」のブログなどを作っているせいで、やたら植物の科や属などが気になる。コーヒーはアカネ科、コーヒーノキ属というらしい。ココアはアオギリ科、キャベツはアブラナ科でレタスはキク科である。ちなみにパンは小麦から出来るのでイネ科コムギ属。リンゴはバラ科リンゴ属、バナナはバショウ科バショウ属、キーウィフルーツはマタタビ科マタタビ属。

 トマトもジャガイモもピーマンもナス科ナス属で南米原産なのでコロンブス以前のヨーロッパにはなかった食べ物なのだ。

 中世のヨーロッパ人は今とは全く違う食生活をしていたことになる。いまや地中海沿岸地方の郷土料理にトマトもパプリカ(ピーマン)も欠かすことが出来ない。もちろんジャガイモはなおさらである。ジャガイモなどポルトガル人の食べる量は桁外れだ。国道沿いでは20キロネット入りが5ユーロで、あちこちで競争して売られていて、人々はそんなのを買う。メルカドやスーパーの量り売りでは間に合わない。

 トマトもジャガイモもピーマンもナスも美味しい野菜だ。美味しいものには毒がある。ではないが、マクロビオティックでは禁野菜なのだ。

 僕はニューヨークに居た時、マクロビオティックレストランでコックをしていた。それ以前は全くマクロビのマの字も知らなかったのだが、友人の紹介でそのレストランで働くことになった訳であるが、教えられるままに1年間はマクロビオティックにどっぷりと浸かっていた。

 そのマクロビオティックではトマトもジャガイモも使わない。ピーマンはどうであったかは忘れたが、使った記憶はない。

 玄米を中心とした食事で豆類と海草は欠かさない。乾燥のあずき、白いんげん、うずら豆、黒豆など数種類を日替わりで煮ていた。

 天然醸造のたまり醤油と味噌を使う。甘味は野菜からとアップルサイダーなどから摂る。ニンジン、カボチャ、サツマイモなどはよく使ったがトマトとジャガイモは確かに禁野菜で使わなかった。

 たまたまかも知れないが両方ともナス科ナス属である。もちろんナスも禁野菜であった。「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざがあるが、ナス科の野菜は身体を冷やす。大量摂取は確かに良くはない。タバコもナス科だ。

 ナス科タバコ属のタバコも身体を冷やす。本当かどうかは知らないが、タバコを吸うと1時的に血管を収縮させて血の巡りを遅くさせる効果があるとか。それでタバコを吸うと落ち着いた気持ちになれるというのだとか。

 大切な決断を迫られている時に「ちょっと一服」といってタバコを吹かせ、先ずは気持ちを落ち着かせる。理にかなっている訳である。

 画家や小説家ともタバコは切り離せない。考える時間が必要なのだ。僕はタバコは吸わないが、僕の画家仲間にはタバコを吸っている友人が多い。が、確かに健康には良くない。又、コーヒーを飲みながらの一服は格別旨いものらしい。コーヒーはアフリカ原産であるが、タバコは南米原産でコロンブス以前にはヨーロッパにはなかったことになる。ココアも南米原産だが、ココアを飲みながらタバコを吹かしている芸術家では様にならない。なんでや。

 意外なことにマクロビオティックではタバコは禁止ではなかった。創始者の桜沢如一氏も後継者の久司道夫氏もタバコを吸っていたらしい。僕が働いていたレストランのオーナーのタキさんもタバコを吸っていた。曰くニコチンが悪いのではなく、紙巻タバコの紙の黴防止保存料が悪いのだ。と言って細巻き葉巻を吸っていたのを覚えている。

 でもニコチンは確かに良くないのだと思う。血液の流れを押さえ、血管をぼろぼろにしてしまう。

 僕はニューヨークで1年間マクロビオティックのお世話になった恩はあるけれど、それほどマクロビオティックを心酔している訳でもない。人間は適当に毒?とも付き合い、食べ慣らしておいたほうが良い様にも思う。

 綺麗な花には棘がある。巧い話には裏がある。旨いものには毒がある。毒と薬は紙一重。旨みと毒は紙一重。

 最近、キノコ業界では、今までは旨いキノコだとされていたキノコに新たな毒が発見され、毒キノコとして登録され直されているとか。キノコの毒には即イチコロの毒もあれば、先ずは内臓を侵し、じわじわと脳も破壊し、狂い死なせる恐ろしい毒もある。

 過剰な保存料を施した食べ物はじわじわと身体の隅まで侵食し、やがて原因不明の病を引き起こす、確かに良くはないけれど、ナスやトマト、ジャガイモなどは程ほどに食べるほうがよいのではないのかな、などと思ったりもする。と言いつつ先日からトマトジュースを止めてオレンジジュース(ミカン科ミカン属)に切り替えている。

 マクロビオティックでは肉、砂糖(サトウキビはイネ科)、タマゴ、牛乳なども禁食物である。が、ほどほどなら毒も薬。良い様な気もする。肉も牛乳も全くなし、では栄養失調になり抵抗力低下にもなりかねない。

 でも最近の世界的人類の太りすぎはどうみても異常現象だ。

 朝からマック、昼はステーキランチ、おやつには保存料たっぷりのスナック菓子、夜は焼肉、それもタバコを吹かしながら、では病気になるのは必至だ。

 上記の文章には一切の責任は持ちません。食品健康管理は自己責任で。VIT

 

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