武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

180. 運動不足 Falta de exercício

2021-01-01 | 独言(ひとりごと)

2021年、新年あけましておめでとうございます。

セトゥーバル港の初日の出(2021年1月1日7:55ベランダから撮影)

 2020年は外出禁止令、県を跨ぐ移動禁止令など様々な規制、緊急事態宣言が発令されて、なかなか外出が出来ないでいた。

 明らかに運動不足だ。運動不足解消には歩くのが1番だと思っているが、部屋の中などせっせと歩いてもたかが知れている。第一歩く気がしない。それに物が占領して歩くこともままならない。

 その点『けん玉』は場所を取らず、結構な運動になると言われている。南極越冬隊昭和基地の隊員が運動不足解消のためにけん玉をしているそうである。ブリザードなどが吹き始めると外での活動が出来ない。屋内の活動に限られ運動不足になるのだろう。

 確かに中玉100回で身体が火照ってくる。でも僕はけん玉をしてもすぐに飽きてしまってそれ以上は続かない。とめ剣100回が連続で出来る様にでもなれば面白くなって続くのだろうがまだまだだ。

 実は油彩も運動になると僕は思っている。大相撲の横綱審議委員も務められた故中川一政画伯も「絵を描くことは相撲のぶつかり稽古と同じだ」と言われた程だ。

 アトリエは北側に面しているから寒い。でも描きはじめて暫くすると身体がほっこりと温かくなる。油彩を描けば確かに運動になる。だが、今はサムホールにしか掛かっていないのですぐに終わってしまう。終わってしまうというのは出来上がってしまうという意味ではなく1日に塗ることが出来る量は少ししかないという意味だ。もっとやりたいのはやまやまだが塗り過ぎると色が混ざって濁ってしまう。ある程度は日数を掛けて乾かしながら描く必要もある。身体がほっこりと温まるまではいかない。そういう意味で冬には大作を描く方が良いのだが2020年は何故だか消極思考であった。

 2020年はCOVID-19に明け暮れ、時間の経つのが早かった年である。2020年の帰国は断念したので1年を通してポルトガルに居たことになった。しかも旅行にも行かれず、セトゥーバルの我が家にずっと居た訳である。

 旅好きの僕にとって1年間に1度も泊りがけの旅に出かけなかったのは長い人生の中で恐らく初めてのことだ。

 家に居てもいろいろとすることはある筈だがなかなか手につかない。何もやる気が起こらない。1日があっという間に過ぎ去ってしまう。1週間があっという間に、1か月があっという間に、そして1年があっという間に過ぎ去ってしまった。

 それでも『ポルトガル淡彩スケッチのブログ』だけは毎日欠かさず掲載している。2020年の1月1日(元旦)1年前の淡彩スケッチは1948番であった。そして2020年の12月31日(大晦日)の淡彩スケッチは2314番である。毎日1景、我ながら几帳面に366景をこなしたことになる。何故、1年は365日なのに365景ではないのだろう?計算が変だがまあ追求しない。

 実はこのブログ『武本比登志ポルトガル淡彩スケッチ』は2010年12月30日に始めている。だから今で丁度10年が過ぎたことになる。えっ10年。僕の中ではせいぜい4~5年だと思っていた。この10年は実に早かった。

 日本に帰国していた時期は休んでいたので、年間270日程だろうか?2020年に限っては366日であるが、それに旅に出ている間はパソコンを触らないので休んでいたが、10年間で2314景をブログに掲載したことになった。平均すると1年間に230景。そして未だ暫くは続けるつもりだ。

 2020年のコロナ禍以前は春に2~3か月程日本に帰国し、数か所で個展をし、又、ポルトガルに戻って来て年に何回かはスケッチ旅行にも行く。それが2020年は皆無であった。

 コロナ禍以前でも、たまには旅行をしても運動不足になる。旅に出れば良く歩くがそれ以外はあまり歩かない。それで毎週日曜日に何処かここかで開かれる露店市に出掛けていた。露店市に行くと2~3時間はしらずしらずに歩くことになり結構な運動になる。それでも週一では足りない。運動不足を感じて週の合間、野山に野の花観察に出掛ける。これも急な山道や茨の生い茂った藪などを何時間も歩くので結構な運動になる。それが2020年は緊急事態宣言の合間を縫って数度行ったきりで殆ど出かけていないし、露店市には残念ながら一度も行っていない。

 2020年は明らかに運動不足であった。だからと言ってそれ程太ってはいない。筋肉が無くなっている分、むしろ痩せている様にも感じる。

 家の中に居てすることは山の様にある。3度の食事、洗濯は何とかこなしている。山の様にあるのは部屋の片づけと掃除である。これもある程度は運動になるのだろう。それはやらなければならないと思いつつ、困ったことにこれがやる気が起こらない。

 部屋の片づけと掃除から逃れつつ、南のベランダに出ては季節ごとの野鳥の声を聞きながら貨物船の出入り、港や大西洋の水平線を眺めたり、北のベランダから東側を見ては日の出を、北側ではパルメラ城に掛かる雲を眺めたり、西に沈む太陽と夕焼け空を確かめたりと忙しいことこの上ない。幸か不幸か我が家からの見晴らしは良い。アトリエからはパルメラの城、ベランダからはサン・フィリッペ城と二つの城が見える。そして見飽きることはない。

 読書三昧、パソコン三昧、これは身体が固まってしまい、運動にはならない。夜はテレビの映画三昧。俳優がジョギングしている姿、思いっきり走っている姿、追手から逃げている姿、敵と殴り合っている姿を観ても決して自分自身の運動にはならない。尚更身体が固まってしまう。サッカーの無観客試合テレビ中継を見てはゴールキーパーに文句を言ってみたり。と、これも運動にはならない。

 例年のことであるが、新年花火は我が家の台所窓から真正面に豪華に上がり特等席でシャンペンを飲みながらの鑑賞となるのだが、今年はそれも中止であった。

 週一回程度のスーパーでの買い物。せめて一番遠いところにクルマを駐車して少しでも歩けば良いものを、人間の性で一番近いところに停めて「いいところが空いてたな~ラッキー」などと喜んでいる。入店制限があり2メートルの間隔を空けて行列に並ぶ。並びながらせめて屈伸運動やら足踏みでもすればよいものを只突っ立っているだけでは運動にはならない。

 そしてイギリスと南アフリカで従来のコロナより70%感染力が強い変異種が見つかりヨーロッパ各地へ広がりつつあるというニュース。12月28日現在既に日本にも飛び火し24の国地域でも確認されている。発生当初思っていた通りの難敵である。

 12月31日現在の世界での感染者は8282万0052人、死亡は180万7331人、ポルトガルの死亡は6906人、日本での死亡は3243人。昨年末12月27日からポルトガルでもファイザーワクチンの接種が始まっているが、病院関係者からで、一般国民にまで行き渡るのはなかなかの様である。終息は未だ先の話なのかもしれない。

 そして当分帰国は出来そうにない。

 

 2021年が皆様にとって、そして私たちにとっても良い年になりますように。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。武本比登志

 

 

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