マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

アセトン血性嘔吐症(自家中毒/周期性嘔吐症)

2014年08月29日 | 診療
随分昔にまとめようとして、挫折&放置だった「アセトン血性嘔吐症」。

今回こそ!


たとえば。。。

4歳男の子。
お盆の帰省でじいちゃん家へ。
テンション上がりっぱなしで、いとこたちと大はしゃぎ。
夕ごはん時にはすでに電池切れで、ごはん食べずに朝まで爆睡。

朝起きたと思ったら、顔面蒼白&ぐったりで、嘔吐しまくり。。。
→びっくりして病院へ。
→おしっこのケトン体が強陽性で、点滴だけですっかり元気に。

これが「アセトン血性嘔吐症」のわかりやすすぎる一例です。
疲労やストレス、感染などが誘因となります。

細かいことはわきに置いておくことにして、
おおまかなイメージとしては、

脳の大事なエネルギー源なのが「ブドウ糖」。
絶食期間が長くなってしまったり、風邪などで摂取量が減ってしまったりした場合、
このブドウ糖が枯渇すると大問題なので、体はなんとかしようと頑張るわけです。
ところが、その際に「ケトン体」という余計なものまで産生してしまいます。

ケトン体は溜まりすぎると、特に子どもの場合には、
「ゲロモード」のスイッチが入ってしまうんですね。
ほっておいたらいつまでも吐き続けてしまうのです。

ロタとかノロなどの胃腸炎で、本来嘔吐が止まるような時期になっても、
吐き続けるような場合も、この「ケトン体」さんが大暴れしていることが多いのです。

そして、頑張ったにも関わらず、ブドウ糖の供給ができなくなってしまう、
要するに予備燃料まで使い切ってしまうと、「低血糖」にもなってしまいます。
低血糖もあまりにひどい、もしくは何度も繰り返すと脳にダメージを与えかねませんので要注意なのです。

アセトン血性嘔吐症の治療としては単純です。
点滴でブドウ糖と水分を補充して、ケトン体をおしっこへと洗い出すイメージ。
親御さんがびっくりするくらいの勢いで元気になることも多いです。

元気になりすぎて、またはしゃぎすぎて、振出しに戻りかねないのがやんちゃな男の子だったりしますが。。。


子どもたちは大人に比べて筋肉量が圧倒的に少ないので、
要するに「蓄え(余力)」が少ないんですね。

子どもでも、年齢の小さいほど、そして細めの子であればあるほど、蓄えが少ないのは当たり前ですね。

先日、実際に例えのような典型的なお子さんが受診されたので、ひとことを。。。でした。

遊び疲れて寝るのも大いに結構なことですが、
食べてから寝てね、というお話でした。



こちらも参考までに。
糖質制限
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋? | トップ | 9月の小児科当直 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

診療」カテゴリの最新記事