持続可能な国づくりを考える会

経済・福祉・環境の相互促進関係を!

質問への回答16:小澤徳太郎

2007年03月17日 | パネリスト

質問16:まったくスウェーデンはすごい!何から何まですぐにでもまねたくなりますが…。日本においてこのスウェーデンモデルを実現するのに我々はまず何をしたらいいのでしょうか。

 何はさておき、まず日本の私たちがしなければならないのは、「行政の縦割り構造」を壊すこと「環境問題に対する共通認識」を共有することだと思います。

  2002年5月26日付けの朝日新聞は、旧通産省を2000年に退官し、民主党の参議院議員に転じた松井孝治氏の言葉を次のように引用しています。

 省庁間の利害対立はあくまでも「合意」で解決しようとする。さもなくば先送り。若手の問題意識から生まれようとする政策が骨抜きにされる課程を嫌というほど見てきた。「霞ヶ関だけでも課長級の千人以上が拒否権を持っている。そうした政策運営から脱却しないと、国民の視点に立った発想は生まれない」と振り返る。

  そして、それぞれが仕切られた中で、合理性を求めた結果、全体ではマイナスに働く“合成の誤謬”に陥ったのが、この10年余りの政策の迷走ではなかったのかとコメントしています。

 次に、日本政府の「温暖化対策新大綱」を取り上げてみましょう。2004年6月1日付の朝日新聞は、「ガス削減議論足踏み」という大きな見出しを掲げて、「8審議会、調整がカギ」と報じています。8つの審議会の背景には、内閣府、国土交通省、環境省、経済産業省、農水省、総務省のそれぞれの思惑がからんでおり、「京都議定書」の否定論まで取り沙汰されているそうです。

 これらの状況は、フォアキャスト的手法の問題点が表面化したと同時に、かねてより多くの人が指摘しつづけ、私も指摘している「行政の縦割構造」の問題です。8つの審議会の調整がむずかしいのは、行政の縦割構造の問題だけでなく、8つの審議会やそれらの審議会を構成している委員の間に、温暖化問題に対する「基本的な共通認識」が不十分なために足踏み状態が続いているのだと思います。

  私ももちろんそうですが、「スウェーデンに学ぼう」と提案している論者が主張したいのは、すぐれた先見性と資質をそなえた国が具体化した「概念」「ルール」「制度」「技術」などの合理性を、さまざまな角度から徹底的かつ真剣に検証することによって、将来の日本の社会の方向性を見極めよう、ということです。そして、「合理性がある、好ましい」と判断した事例に対しては、日本の現状からその方向に向かうにはどうすればよいかを考えることです。

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