持続可能な国づくりを考える会

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警告はすでに1972年に

2019年10月22日 | 環境

 運営委員長岡野です。

 

 台風・豪雨はそれだけで起こっている問題ではなく、地球環境問題の一環です。

 そして、地球環境問題に関する警告はすでに1972年に国連人間環境会議「人間環境宣言」でも、次のようになされていました(改行岡野)。

 

 「(6)我々は歴史の転回点に到達した。いまや我々は世界中で、環境への影響に一層の思慮深い注意を払いながら、行動をしなければならない。

 無知、無関心であるならば、我々は、我々の生命と福祉が依存する地球上の環境に対し、重大かつ取り返しのつかない害を与えることになる。

 逆に十分な知識と賢明な行動をもってするならば、我々は、我々自身と子孫のため、人類の必要と希望にそった環境で、より良い生活を達成することができる。

 環境の質の向上と良い生活の創造のための展望は広く開けている。

 いま必要なものは、熱烈ではあるが冷静な精神と、強烈ではあるが秩序だった作業である。

 自然の世界で自由を確保するためには、自然と協調して、より良い環境を作るため知識を活用しなければならない。

 現在及び将来の世代のために人間環境を擁護し向上させることは、人類にとって至上の目標、すなわち平和と、世界的な経済社会発展の基本的かつ確立した目標と相並び、かつ調和を保って追求されるべき目標となった。」

 

 半世紀近く経って、とても残念なことに事態は改善されていないどころか、悪化の一途をたどっているように見えます。

 それは、宣言の言葉を借りて言えば、「十分な知識」を学び、「懸命な行動」をするため基礎・動機となる「熱烈ではあるが冷静な精神」が足りなかったためなのではないでしょうか。

 誰に? 広く言えば人類総体ですが、より狭く正確に言えば、誰よりも多くの国の、特に政財界のリーダーたちに、ということだと思われます。

 いろいろ調べてみると、知る気・精神さえあれば、さまざまな研究機関が公表している情報・知識は十分すぎるくらいあるようです。

 そして、知れば、なぜ、どんな、どのくらい深刻な問題が起こっているのかは、すぐにわかると思われます。

 問題は、十分に知ろうとする気がないところだ、と筆者には見えます。

 では、どうすればいいのか? そこを、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

 そこを考えるという点が、環境関係の政府組織や研究機関や民間団体は無数にあるにもかかわらず、もう一つ別に私たちのグループが存在する意味だと考えています。 


台風に思うこと:あえて言えば想定内だった

2019年10月19日 | 環境

 運営委員長の岡野です。

 いろいろな事情で長らく休止していたブログ更新を、少しずつ再開することにしました。

 大きなきっかけは、9月9日関東地方に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風第15号、追いかけるように10月12日伊豆半島に上陸し、関東地方、福島県等を縦断し、広範囲で甚大は被害をもたらした(まだその影響が続いている)台風第19号のニュースです。

 亡くなられた方のご冥福をお祈りし、遺族のみなさん、被災者のみなさんに、心からお見舞い申し上げ、一日も早い、復旧ー復興をお祈りしています。

 しかし、こんな時に言うのが適切かどうかわかりませんし、えらそうに聞こえるかもしれないのですが、あえて言うと、私たちにとって、こうした台風や雨の強大化は「こんなことになるとは思ってもみなかった」「想定外」のことではありません。

 IPCC他の専門機関・専門家の警告に耳を傾ければ、それはいやでも(確かにいやなのですが)「想定せざるをえない」ことだと思ってきました。

 そして、非常に心配し、なんとかできないのかと考え、2006年に会の活動を開始する時点で、会のメンバーは、

 「多くの警告や専門機関、専門家、民間活動家も含めた多くの人々の努力にもかかわらず、この数十年、世界全体としての環境は悪化の一途をたどっています。

  例えば、地球温暖化―異常気象、オゾン層の破壊、森林の減少、耕地・土壌の減少、海洋資源の限界―減少、生物種の激減、生態系の崩壊、化学物質による大気・耕地・海洋の汚染、核廃棄物や産業廃棄物から生活ゴミまでの際限のない増加などなど、どれをとっても根本的に改善されているものはないのではないでしょうか。」(シンポジウム『日本も〈緑の福祉国家〉にしたい!―スウェーデンに学びつつ』趣意書より

という認識を共有していました。

 そして、根本的な解決への第一歩として、

 「私たち日本人が今スウェーデンから学ぶべきものは、なによりも国を挙げて「緑の福祉国家」を目指しうる国民の資質とその代表・指導者たちの英知と倫理性だと思います。


  きわめて残念ながら当面日本には、「緑の福祉国家」政策を強力に推進できるような国民の合意も政治勢力も見当たりませんし、すぐに形成することも難しいでしょうが、環境の危機の切迫性からすると早急に必要であることは確かだと思われます。


  本シンポジウムは、そうした状況の中でまずともかく、方向性に賛同していただける方、あるいは少なくとも肯定的な関心を持っていただける方にお集まりいただき、近未来の日本の方向指示のできる、ゆるやかではあるが確実な方向性を共有するオピニオン・グループを創出したい、という願いをもって開催致します。 」(同上)

という趣旨で、シンポジウムを開催し、以後、活動を続けました。

 けれども、きわめて残念なことに、これまで大きなオピニオン・グループの創出にはまったく到っていません。

 そういう意味で、活動の効果はなかったと言わざるをえません。

 そうした状況の中、メンバーたちもそれぞれの事情で積極的な活動をすることが難しくなってきたため、活動は無期限休止状態になっていました。

 しかし、今回の二度の台風の激甚災害のニュースを見ながら、もう一度、「効果のあるなしにかかわらず、言うことは言ってみよう。やれることはやってみよう」という気持ちになりました。

 そして、19号の関東直撃の後、まず自分のブログに以下のような記事を書きました。ここにも掲載させていただきます。   

            * 

 またしても記録的な台風でした。

 型どおりの言葉になってしまいますが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 今のところ、親族、友人、知人には被災した人はいないようで、たくさんの「無事でした」という知らせをいただいています。

 その一つに次のような返事をしました。

 「こんばんは。 

 無事でよかったですね。

 それにしても、あまりにも広域の激甚災害で心が痛みます。復興に時間がかかりそうです。

 そして、こういう被害が今後ますます増えるかと思うと、非常に心配です。 

 地球全体が後戻りできないところまで行く前に、意識と行動と社会システムの根本的変容が起こることを祈らずにはいられません。 

 特に日本人にとって、この二連続の大型台風が心に響く警告になれば、まだ亡くなった方も報われるのではないでしょうか。」

 地球環境はこの十年が正念場だと科学者は言っています

 耳を傾け、危機感をもって理解し、そして適切な行動をしたいものです。

            *

 今後、旧メンバーと相談しながら、まずは学習会から活動を再開したいと思っています。

 具体的になったら、お知らせしますので、危機認識と危機感を共有できる方はぜひご参加ください。