持続可能な国づくりを考える会

経済・福祉・環境の相互促進関係を!

連載:持続可能な国づくりの条件 8

2014年09月06日 | 総合

 ブータンには4つの条件が調っている

 ところが、スウェーデンは、「緑の福祉国家」というネーミングで、エコロジカルに持続可能な国づくりを計画的・意図的に実現しつつあるようです。それにならって他の三カ国も含め北欧全体がやっていると思います。 

 これは、先進国のモデルになるものとして、「北欧モデル」と呼んでもいいし、代表として「スウェーデン・モデル」といってもいいでしょう。  

 先進国に対して開発途上国でも、農林水産業がしっかり残っていて、そこに近代的な重化学機械工業をそのまま入れないで、エコロジカルに調和可能な範囲のテクノロジー、オルタナティブ・テクノロジーを入れながら一定の利便性を得ることにして、しかしお金を稼ぐためにはエネルギーや資源をいっぱい使っていっぱい廃棄物を生み出すようなものではない、知識産業で利益を生み出そうという、非常に賢い方向性をとっているのが、私の知る限りではブータン、キューバ、コスタリカなどで、かなりこの線を狙っているようです。

 もっとも意図的に、トップリーダーがリードしてやっているのがブータンなので、今日はブータンの話をしたいと思います。時間がないので、ブータンの位置や略史については、参考資料を見てください。

 

 

 

 

 日本はすでにいったん高度な産業社会、先進国型の経済システムを築いてしまっていますから、これからもう一回ブータン型をそのままのかたちでやろうと思っても、それは無理だと思います。 

 そういう議論がなされる時、すぐに「江戸時代に戻るのか」と反論がありますが、たしかに日本はそのまま江戸時代には戻れない。

 まあ、全員が戻ろうと思ったら戻れるはずですが、全員が戻ろうとは思わないでしょうから、戻れないでしょう。

 だから、日本は先進国型でやるしかないので、だとするとスウェーデン・モデルを日本的にアプリケーションすればいい。簡単に言うとそういうことなのだと思います。

  けれども、開発途上国型・ブータンのモデルも非常に参考になるところがあるなと最近思うようになりました。 

 今まで参加していただいていない方が今日はだいぶいらっしゃるのですが、会ではスウェーデン・モデルはざっと5年以上6年くらい勉強してきたので、スウェーデンのほうは復習的にこうでしたねということで簡略なお話をすることにして、今日は主にブータンについてお話しすることで、残りの時間を使っていきたいと思います。

 

 

 少し調べてみましたが、ブータンでは、持続可能な社会の実現のための四象限にわたる条件はかなり満たされていると思います。 

 どこからいってもいいのですが、重要なのは、さすがブータンというのはやはり左上・内面の象限だと思います。ブータンは国王から、その側近から、みな本気で大乗仏教を信じています。

 そして、「生きとし生けるものすべての幸福を追求する」というのが大乗と上座部共通の仏教の基本理念です。

 その「生きとし生けるもの」の中には人間だけではなくて他の生き物が全部入っているという意味で、仏教は非常にエコロジカルだと言ってもいいと思います。 

 エピソードで言うと、私は残念ながら視察に行けていないので、行った人の話を信じるとすればですが、ブータンの方たちは、例えば夏蚊に刺されても、そっと追い払うだけで叩いて殺そうとしないのだそうです。生きとし生けるものだから。ハエがたかっていても、叩いて殺さないのだそうです。嘘か真か、たぶん本当でしょう。そこがすごいですよね。 

 そういう精神的な風土の中で、しかも国王が「生きとし生けるもの全体の幸福を国として追求しましょう」と言っている。それもポーズで言っているのではなくて、どうも本気で言っているみたいです。

 

 上の画像はワンチュク現国王と奥さまです。いろいろなところでのスピーチを読むと、どうもこの人は仏教について本気だなと思います。 

 それから、前の王妃さまが書いた本が翻訳されていますが、それを読むと、いや、すごく本気なのだなとびっくりしてしまうことが書いてありますので、後で紹介します。 

 つまり、ブータンでは、まず生きとし生けるものすべての幸福を願うという仏教精神を持ったリーダーとリーダー群がいる。

 しかも、それでもやはり近代の利便性も取り入れたほうがいいとなると、ではそれをどうやってうまく統合できるかということをちゃんと考えるトップリーダーからサブリーダーから、人材がたくさんいる、という左上象限の条件が満たされています。

 これはもう本当にうらやましいですね。スウェーデンも同じですが。

 



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