持続可能な国づくりを考える会

経済・福祉・環境の相互促進関係を!

持続可能な国づくりの会 理念とビジョン(画像をクリック)

  「理念とビジョン」全文                   ダイジェスト版                  

                    

理念について②

2010年01月30日 | 理念とビジョン
私たちの理念が掲げる「調和と協力」、「公平と自由」、「安心と安全」という3つの目標は、いうまでもなく理想的なものです。
そして「理想的」とは一般に「現実的ではない」「観念論」というニュアンスを強く含んだ言葉だと思います。

しかし私たちはこの理念をひじょうに現実的なものだと捉えています。


※ PDF102KB(画像をクリック)

目下私たちが見ている現実が中長期の可能性の中から実現してきたものであることは、誰が考えてみてもおそらく間違いのない「事実」と言っていいと思います。

そしてその可能性の理想により近いかたちでの実現をめざすことこそが政治という集団の営みの本質だとすれば、当面のもっとも究極的な目標を設定した「理念」とそこに至るための方向性を掲げた「ビジョン」を、それぞれ明確に文字化し共有することは、じつはきわめて重要なことであったはずです。

私たちもこの理念とビジョン試案を文章化するにあたり種々調べたのですが、このように政治的な理念とビジョンを、はっきりと日本語として成文化し掲げているものを発見することはできませんでした。
これはきわめて残念なことです。

(たとえば最近よく見受けられる政党・政治団体の「マニフェスト」とは、ここでいう「理念」「ビジョン」とは似て非なるものだと考えています。理由は本文を見ていただければ明白だと思います。)

この理念とビジョンの試案については、構想と文章化に深く関わってくださった環境問題スペシャリストの小澤徳太郎氏(元スウェーデン大使館環境保護オブザーバー)が、1月22日付のブログ「持続可能国づくりの会の理念とビジョン「協力社会で8つの安心!」が完成」で大きく紹介してくださっておりますので、そちらをぜひご覧いただきたいと思います。

ところで氏のブログ記事では、日本・スウェーデン両国の政治的な意思決定に関する常識そのものに、大きな落差があるというきわめて鋭い(日本人としては痛いくらいの)洞察が、体系的に一貫してなされています。
それらを読むと非常によくわかるのが、理念とビジョンを持って政治という営みをおこなうことの現実的な重要性です。
(たとえば最近の1月21日の記事「期待される 「日本の鳩山政権の21世紀ビジョン」 はどのようなものか?」参照)


同記事で指摘されているように、政治的な意思決定において日本がきわめて顕著な現状追認主義=「フォアキャスト」の国でありつづけてきたことは、これまでの歴史が証明してきたことだと思われます。

もちろん従来の経済拡大のひたすらなる追求をよしとしてきた時代には、それは一応有効に機能してきたと言えるのでしょう。
しかし現代のような全地球的な激動‐危機の時代に到って、そういうフォアキャストだけでは目先の状況対応に追われることとなってしまうのではないでしょうか。
現に日本がそれに終始してどんどん持続不可能(=破滅)な方向へと突き進む悪循環に陥っているのは明らかだと思われます。

社会にとって「現実的」という言葉が「健全かつ持続可能であること」を意味するとすれば、そういう意味で日本がとっている現在のフォアキャストな短期的状況対応、すなわちこれまでの「考えと行動」のあり方が「現実的」ではないことがどんどん明らかになってきているのが、私たちが見ている悲しむべき現状だと思われます。

それとは反対に、小澤氏が紹介されている北欧のスウェーデンが好個のモデルケースであるように、中長期的なあるべき目標を立てて、その地点から具体的に現在とるべき方向を考え行動する、という政治的「バックキャスト」こそが、これからのグローバルな危機と変化の時代にあってもっとも適応的・有効な行動原理であることは、ひじょうに明らかだと思われます。

言い換えれば、21世紀型の現実的な行動原理=バックキャストにおいて、「目標として私たちが立つ地点」とはまさに「理念」のことであり、「それが指し示す、現在において中長期的にとるべき方向性」とはすなわち「ビジョン」にほかなりません。

真に理想的であることが現実的となる――これからの時代において、政治的な所信として「理念」と「ビジョン」を抱き続けることがいかに現実的かつ重要かが、小澤氏が紹介されているスウェーデンのすがたから理解できるように思われます。

理念について①

2010年01月28日 | 理念とビジョン
先日の記事で掲載した、当会の掲げる「理念」について、縦書きペーパーにしたものを改めて掲載いたします。

ぜひご一読いただければ幸いです。

※ PDF版(106KB)

どのように感じられたでしょうか?

さきの記事に書きましたとおり、この理念を冒頭に掲げた冊子を、24日の日曜日に当会より民主党国会議員諸氏に発送いたしました。
国会会期中となりましたが、あえて大部分の議員各位のおひざ元である地元事務所あてとしました。

21世紀を迎えてはや10年、国民のおそらくきわめて多数が日本の先行きの暗さと重苦しい閉塞感を感じており、その打破を求めてこそ先の総選挙による政権交代があったのだと思われますが、残念ながらそのために不可欠かつ喫緊の決断と行動を先延ばしするかたちで、そういう政治の本質とは本来まったく関係のない金にまつわる種々の疑惑に、政治の現場は揺れに揺れているのが現状のようです。

後にご紹介していくこととなる今回発送した「理念」や「ビジョン」ですが、当然ながらこういう状況下では、「現状と遠く隔たっている」、「あまりにも理想的にすぎる」、「政治の現場はそんなに甘くない」、どころか「到底無理」、「実効性のない絵に描いた餅」、「単なるきれいごと」、…というふうに受け取られがちではないかと思われます。

たしかにこの(あえて言えば汚い)目先・短期の現状が現実のすべてであるのなら、それはそのとおりでしょう。
しかしそうではないと私たちは考えています。

(続く)

理念とビジョンの冊子を送付しました。

2010年01月24日 | 理念とビジョン
本日、運営委員8名が集まり、現職の民主党 衆参両院の国会議員420名に宛て、「理念とビジョンの冊子」と「反応票」をお送りいたしました。



民主党 国会議員の皆さまから、どのようなご意見・ご感想・反応をいただけるか、運営委員一同、楽しみにしています。



理念については以下の通り、全文公開いたします。ビジョンについては、ダイジェスト版を、数日に1度ずつ掲載していきますので、ご期待ください。


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持続可能な国づくりの会・理念

私たちの目標

私たちは21世紀の日本に生きる市民として、次の目標を掲げます。
私たちの目標は、自然と調和し、人間が相互に和を保ち協力しあい、公平で自由な、持続的に安全で安心して生きることのできるほんとうの民主主義=人間尊重社会を創ることです。

調和と協力

人間はもともと自然とつながり、人とつながっており、つながることによってのみ生きられる存在です。私たちは、自然に依存しており、人間同士支えあっています。自然や他の人とのつながりと交流があってはじめて、人間として身体的にも知的にも心情的にも健康に生き、成長できるのです。また、一人一人の幸せな生活に必要なものの大部分は、自然と調和し、他の人々と協力することによってのみ、持続的に生み出すことができます。
よい社会は、自然と調和し、互いに協力しあい、心配りをしあい、尊敬しあうことから生まれるのです。そういう事実にしっかりと気づくことから、調和と協力の心が生まれます。

公平と自由

協力しあうためには、一人一人全員が、人間としての基本的な価値、尊厳、権利を公平(フェア)に分配されているという意味で平等である必要があります。対等な人間同士であってはじめて、妬みあい争いあうことなしに心から協力しあうことができるからです。
とはいっても、平等は個々人の個性や努力から生まれる違いと相反するものではありません。安心して自分らしく生きるために基本的に必要なもの(安心して生計を営める経済力、教育の機会、文化を享受する機会など)が公正に分配されている必要があるということです。
自由とは、相互に安心できる社会に誰もが参加することができ、その決定に自由意思で一票を投じることができ、社会全体と協調しながら、自分の考え方や生き方について自己決定をし、自分の将来を自分で選ぶことができることです。
それはいうまでもなく公正な手続きを経て決定された社会の共同の意思を無視したり、他者の自由を侵害してまで自分勝手な言動をすることができるという意味ではありません。
その中には、市民権などの基本的権利、すなわち誰でも投票できるという平等な権利、思想と信仰の自由、言論と結社の自由などが含まれています。
また、私たちに託された地球環境とりわけ資源・エネルギーが有限である以上、私たちの世代の自由は次の世代の自由を侵害するものであってはなりません。



安全と安心

私たちが目標とする安全・安心には8つの面があります。①安全に安心して産み・生まれることができること、②教育の機会を失うことはないこと、③職業・生活費を失うことはないこと、④病気になっても十分な治療を受けられること、⑤老いても安心して生活できること、⑥望まない社会的な孤立・孤独に陥ることはないこと、⑦不本意な死に方をすることはないこと、⑧いのちの基盤である豊かな自然と平和が永続するということ、です。こうした8つの安全・安心が持続的に得られる国こそ、ほんとうの福祉国家だと考えます。
こうした安全・安心は、個々人の努力だけで得られるものではなく、社会のメンバー全員が協力することによってのみ得られるものです。私たちの社会を安全・安心な社会にするには、なによりも協力社会にすることが必要なのです。

『持続可能な国づくりの会―理念とビジョン―』発刊について

2010年01月12日 | 理念とビジョン
遅くなりましたが新年おめでとうございます。
久しぶりの更新となり失礼いたします。

この間、当会の活動は順調・確実に前進してきていたのですが、事務局手薄のうえ各自多忙によりなかなかご報告がままならなくなっていたものです。

…という言い訳はそれとして、このたびは当会が新しく提示する日本の明日のための理念とビジョンを、冊子のかたちで会員およびご希望の皆様に頒布する運びとなりましたのでお知らせします。

 冊子 『持続可能な国づくりの会―理念とビジョン』
(A5判40頁、2010年1月9日発行、頒価500円)





****以下、冊子「はじめに」より一部抜粋****************

●私たちの目標を短くモットーとして表現すると、

「協力社会で八つの安心!」

「ウェルフェア国家からワークフェア国家へ!」

ということです。






誕生から死まで、人生のすべての時期を安心・安全に過ごすことができ、人間生活の基礎である自然環境がしっかりと維持され、国民全員がずっと続けて幸せに生きることができるような国をつくること――「そんな夢のようなことができるのか?」と疑問をもたれる方も多いかもしれません。

そんな方はぜひ以下の本文をお読み下さい。かつての私たちと同じように「そうか、こういう社会のシステムにすれば、できるんだ!」と驚きとともに納得していただけるだろう、と確信しています。ぜひ、私たちと、夢――理念とビジョン――を共有しましょう。

※ワークフェア国家=高度な産業を生み出すような福祉国家

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政権交代成ったにもかかわらず依然として重苦しい不安と閉塞感に満ちた私たちの国・日本にとって、現在最も妥当だと思われるオルタナティブ、すなわち現実的な新しい目標と方向を示したものがこの冊子です。

この理念・ビジョンは単なる画餅・絵空事ではないつもりです。
発刊に至るまで、2006年の当会結成以来3回にわたるシンポジウム・多数にわたる学習会を通じた積み重ねと、文章化にあたり結成された当会特別委員会における率直で徹底した議論による最終的な合意を経たものであり、ここには理論と何より実例にもとづく確固とした裏付けがあるものと自負しております。

上に引用した冊子の「はじめに」のとおり、「夢」というと何を甘ったるい、と思われるかもしれませんが、変革とは「実現可能性のある夢」すなわち「理念」「ビジョン」を多くの人が共有して力を合わせることで実現するものであることは、これまでの歴史が証明してきたことだと思われます。

具体的には本書に譲りますが、ぜひご一読いただき、建設的なご意見、ご批判、ご感想をお寄せいただければ幸いです。

すでに一部の方にはお届けしていますが、会員の皆様へは1月下旬にはお届けする予定ですので、いましばらくお待ちください。
なお今後は各方面多数の方に頒布を図っていく予定ですので、会員の皆様にはぜひご協力のほどお願い申し上げます。

また、非会員でご希望の方には随時お送りしておりますので、事務局あてメール(アドレス:jimukyoku@jizokukanou.jp)にてご連絡ください。

今後は本ブログにて、この理念・ビジョンの内容をダイジェストとしてご紹介できればと考えております。