「7月としては最大級の台風」。近年よく「過去最高」「超大型」といった形容詞をよく耳にします。過去最高というと「たまたま」というイメージで流しがちですが、連続して聞くということは右肩上がりということ。平年並みの季節を望む事務局(仮)斉藤です。
日本で障害福祉サービスを受けるにあたっての大きな山場の二つ目の続きです。
福祉事務所へ行き、自分の必要なニーズのもとサービスの支給決定を受けたら、今度は自分で具体的なサービスを提供してくれる事業所を探さねばなりません。ここでのポイントは「自分で」というところです。
現在の日本の仕組みでは、自分でサービスの提供者を捜さねばなりません。私は、これをとても意外なことと受け止めました。もっと日本は制度・システムがよく出来ている国と思っていたのですが、結局のところ「自分のことは自分で」と言う考えがあるようです。先進国GDPが世界第2位の国だったらもっと何かあったときは、公的な何かが積極的に助けてくれるような気がしていたのですが、そんなことはないようです。
それで、自分で事業所探しが始まるわけです。一応福祉事務所で事業所のリストといくつかお勧めの事業所を紹介してくれるようですが、基本的には自分でということのようです。ここからが大変です。結論から言うと人によっては事業所がなかなか決まらないのです。
なかなか決まらない理由はいくつかあります。一つは、供給量が足りていないこと、実際のサービスを行うヘルパーさんが足りない点です。
私の業界は、障害福祉でいわゆる同じ福祉でも老人介護とは異なるジャンルです。障害者の方は、老人と比べて比較的若い方が多いです。なので、男性には男性のヘルパーが、女性には女性のヘルパーが介助に当たる「同性介助」を望む方が多いです。若い男性が、女性の方に下の世話をされるのには相当抵抗があるようです。なので、現在老人介護系の主力と言える、既婚女性のヘルパーさん(業界では通称「おばちゃんヘルパー」と愛を込めて皆呼んでいます)では、ニーズが満たせないことが多いのです。
男性ヘルパーが少ない理由はなんといっても「食えない」からです。つまり、その他の業種と比べて賃金・労働条件が低いです(ちなみに、ヘルパーさんの時給の相場は900円~千2,300円でしょうか。パートの時給としてはいいかも知れませんが、家計を支える程ではないです。)
ちなみに、私の事業所では男性確保の為、学生(一般の大学生など)を起用しています。資格が必要なので、それを取得するところから面倒を見るので大変なのですが、そうしないと中々男性は確保できません。最近は、定年定職後の男性ヘルパーさんもいます。団塊世代の大量退後は、こちらも戦力になりそうです。しかしながら、働き盛りの男性が集まる仕事でないのが現状です。少々話がそれました。戻しましょう。
そんな理由から、自分のニーズを満たしてくれる事業所が人によっては少ないのが第一の現状です。しかしそれを知るのは、自分で色々なところへ電話かけた後だったりするわけです。何度も、自分の現状を話し結局のところ「うちでは、お受けできそうにありませんね」となるわけです。
そんな、第一の現状をクリヤしたとしても、人によっては、またまた事業所が受けてくれないケースもあります。ここからがお題の「市場原理」が働くところです。
福祉サービスにはそれぞれサービス内容によって報酬単価が設定されています。よりハードなものは高く(例えば、入浴や、排泄介助のような身体的な接触のあるもの)、ライトなものは安く設定されています(例えば、掃除・洗濯・調理などの家事で身体的な接触のないもの)。
なので、金額が違えば当然事業者から見て「稼げる仕事」と「稼げない仕事」が出てくるわけです。同じ時間に同じヘルパーを派遣しても、片や4000円、もう一方は1500円だったりするのです。なので、当然事業者としてはより高い仕事を優先的に受けたくなるわけです。
一応障害福祉サービスの事業者には「応諾義務」というものがありまして「正当な理由無くしては、サービスの提供を拒否することが出来ない」ということなのですが、解釈すれば「正当な理由」があれば断れると言うことでもあります。当然断る理由は「優先度の高い重度の方で人手がいっぱいなのでお受けできません」となります。しかしながら、私が翻訳すると「単価の高い方をお受けしたいので、単価の安い仕事だけではお受けできません」となります。
一見、金に汚いように思えますが、ある程度仕事を選ばないと「食って」いけません。利益を出す云々の前に従業者の労働条件を含めた生活を保障するのも大変なのが現場です。
また、利益を求める事業者も、単純に非難することは出来ないでしょう。事業者は制度に則ってサービスを提供しているわけですし、日本の法律・制度が福祉サービスに株式会社の参入を認めている以上=市場原理を導入しているわけで、どんな大義名分を掲げたところで事業者が仕事を選んでしまうのは当然のことだと思います。
しかし、福祉サービスが「必要としている人に、必要なものを提供する」ということならば日本の今のシステムは見直す余地はだいぶあると思います。
今日はここまでにして、次回は、市場原理と福祉についてもう少し考察してみたいと思います。
------------------------------------------------------
現在、持続可能な国づくりの会は会員の募集を行っております。
また、8月26日に会結成の設立総会を予定しております。ご興味ある方、この話題は自分の話題であると言う方、ご連絡お待ちしております。入会のご案内をさせていただきます。(左のメニュー下の方「事務局へのMAIL」からどうぞ!)
↓ぜひとも応援を!二つともクリックをお願いいたします。
人気blogランキングへ
初めての方はこちらへどうぞ!
シンポジウムの趣意書はこちらです!ここからすべてが始まっております。