みなりんの紀行文

写真とともに綴る、旅の思い出を中心としたエッセイ。
主に日本国内を旅して、自分なりに発見したことを書いています。

天皇御即位20周年記念特別展~東御苑

2009年11月22日 14時29分44秒 | アート・文化

今上天皇が御即位になって即位礼正殿の儀Img_2674 の終了後、祝賀御列の儀が平成2年11月12

日執り行われました。

また、大嘗祭が行事として行われました。(11月22日23日)

当時の総理大臣は水玉ネクタイをトレードマークにした海部俊樹氏でした。

ある晴れた日、東御苑を散策し、拝見させていただきました。

足腰の悪い方や体調が悪い方は、これをご覧になって、よろしければ目の保養になさってく

ださい。

写真のぶれは、わたしのせいで、ごめんなさい。Img_2678

昔、パレードに、ご使用なされた馬車やお車が陳列されてい

ました。

儀装馬車の本体部分はフランス製で、そこに日本の漆を塗っ

たそうで和風になり、これ以上素晴らしいものは、もうできない

であろうと言われています。

あらゆる角度から見て、細かい装飾に感心しました。優雅です。

ニッサン・プリンス・ロイヤルや、ロールス・ロイスもあり、立派です。

どちらも菊の紋章がありました。               Img_2681_2

旧御料車のロールス・ロイスは、平成2年製。

その年、宮殿から赤坂御所まで約4.7キロの祝賀行列の儀

の際に、両陛下が使用され、平成5年には皇太子夫妻のご結

婚の際にも使用されました。

旧御料車ニッサンプリンス・ロイヤルは昭和44年製で、平成2年御即位礼及び大嘗祭後神

宮に親謁の儀の際に、宇治山田Img_2682 駅から伊勢神宮まで両陛下が使用なさったようです。

しばらく歩くと、大きな芝生の広場には旗がひらめいていまし

た。

萬歳旙(ばんざいばん)の隣には、金色の太陽と銀色の月の

旗があり、これらは宇宙を示します。

                             Img_2692

そのお隣には菊の御紋章が青、黄、赤、白、紫と並べられて

います。

Img_2691

Img_2688

旗の横には、鉾(ほこ)・鍾(しょう)・鼓(こ)が

あり、鍾では参列者の規律着席の合図として

使用され、鼓は参列者の敬礼の合図に使用さ

れたようです。

雅楽器の特別展もなされていて、東儀秀樹さんのファンとしては、興味津々です。

撮影を許していただきましたが、やはり肉眼でご覧になったほうがいいかと思います。

細かい部分が繊細に加工されていて、篳篥・笙はよくよく眺めて来ました。

お琴も素晴らしく、写真が、ぶれて残念です。

Img_2707

さて、装束類なども特別展示されていて、一部ご紹介しましょ

う。

男子供奉員の儀式用の束帯黒袍(くろほう)、女性供奉

員の正装である五衣・唐衣(からぎぬ)・裳姿。(十二単)

写真で拝見すると、優美さが増します。

国語の副教材に、よく記載されている絵の通りでした。

Img_2726 Img_2725

おめでたい話に戻ります。

古典に出てくる、五節舞姫(ご

せちのまい)Img_2715 装束をご覧いたきます。

天武天皇が琴を奏でていると、雲とともに天女が降り

てきて袖を五回翻して舞ったという由来があります。

大正の即位式に再興されました。

これは大嘗の儀に使用されたお着物です。

最後に、五葉松をご覧いただいて、宮中の雰囲気を

楽しんでいただければ良いなあと思いました。

ともあれ、何か、目出度い気分で、私は日本橋高島屋

の写真展まで拝見して帰りました。

三の丸尚蔵館には、お着物平安装束で、天皇の真っ

白の直衣や、桜色の桜模様の皇后のお召し物を拝見し、高島屋では洋式の純白のドレスを

拝見できて、Img_2737 たいへん充実した一日でした。

それにしても、美智子様はお綺麗で、才色兼備の鏡のような

方で、会場に褒める言葉が飛び交っていました。

どなたも、天皇ご一家のご健康をお祈りいたします。

雅子様もゆっくり静養なさって、皇太子殿下の嬉しい微笑みを

拝見したいものです。

美智子様、雅子様、いじめはどこに行ってもあります。負けないでください。

そして、国民のわたくしたちに、正しき道をお示しくださいますように!

Img_2713_2


フェラーリ575GTZ~世界最高のクオリティーデザイン

2009年11月20日 22時19分53秒 | アート・文化

今日は朝、テレビで昨日の国会の模様を見ながら、Imgp0641 「日本科学技術費削減」という与党の答弁を聴きながら、私は呟く。

「ええ、日本の科学技術開発が世界ナンバーワンでないと、日本の優秀な技術者は海外へ流れてしまう」というのは事実であると。

別に野党を支持しているわけではなく、どうも日本の未来は暗いと思う。

まあ、政治的なことに口を挟んでいいことはないから、庶民は黙っていよう。

国立博物館の庭園散策。

うーん、こんなところに茶室が点在・・・。

円山応挙の絵画はあるとは・・・・と唸りながら、撮影は禁止されて紹介できない。

高校生がうろうろしていたが、彼等に話しかける立場Imgp0680 にいない(教師でもない)から、黙って見守っていた。

国立科学博物館の正面玄関に車が一台。

何?と好奇心むき出して近づく。

わたしの好きな漫画に「マッハGOGO!」があった。

円高加速とアメリカ経済の停滞で、日本の自動車メーカー輸出はどうも振るわない。

男子高校生達が「すげー。これ幾らするの?」と警備員さんに質問していた。

「君たちの校庭くらい」と応答する警備員の方。

どこの高校生か知らないが、億はするということであろうが、通じただろうか。

Imgp0677

この写真の中で、カロッツェリアザガード チーフ デザイナーの原田則彦氏がおいでになっていた。

東京生まれ。

慶應義塾大学文学部哲学科美学科専攻。

後、カリフォルニア州パサディナのアートカレッジ・オブ・デザインに留学なさった。

現在の職に就いて16年目。

男子高校生たちが携帯電話カメラで撮影していた。

わたしのちゃちなデジカメのほうが写りはいいかも知れない。

わたしの感想は、フェラーリにしてはシンプルで無駄のないデザイン。

色合いも自然で、遠目には地味かも知れImgp0688 ないが、近づくとフォルムが美しい。

男に喩えれば、マッチョマンではなく、贅肉のないすらりとした美形の洒落者。

そう言えば、市川海老蔵さん、婚約するそうでおめでとうございます。

最初は筋肉をつけようとしてジムトレーニングしたらしいが、その後は歌舞伎役者に筋肉はそういらないとヨガに運動を変えたらしい。

いい男になりますように!

このフェラーリに親近感を抱く人はいないだろうが(高嶺の花過ぎて)、日本のデザインも捨てたものではないと確認。

あらゆる角度から拝見。

いらない、女性は。

これだけが恋人、という男性が乗る車と拝見した。

車の曲線が微妙で綺麗だった。                         Imgp0682_2                            Imgp0686

何か、チェロを抱いた男性を想像する。

かなりエロチックかつ気品がある。

「俺、乗りたいなあ」と言う男子高校生にエールを送ろう。

是非、乗れるほど日本経済を担ってくださいな!

金あり、粋あり、洒落あり、伊達な男にふさわしい。

シルバーグレイという色合いが上品さを高める。

気品あれば、年齢は関係なく長年愛されて乗り続けられる。

ブランド物とは、長いこと愛用し、手入れを怠らないでImgp0678 いるような大事なものであるはず。

産官学連携で学術費は削らないでいただきたいものだなあと政府に期待する。

優秀な日本人科学者を輩出できなくてはならないと個人的には思う。

「思い立ったら、後には引けず。・・・親父譲りの頑固者」

それくらいではなくては、匠にはなれないような気がする。

これをブログにアップする気になったのは、高校生の歓声の声に触発されたから。

わたしとしては、歌舞伎座を代表する内面も外見もよき男性に是非乗って広告してしていただきたい。

演出家になったら、颯爽と男性の菊之助さんが車に乗って、車のドアを閉めて出て来るときは、姫君(女装)で赤い絨毯をすらりと歩いて、女性がため息出るように、退場してほしい。

下手ながら一句。                                               Imgp0691

「誰知るか 利休鼠のフェラーリを 創造せしは 日本人なり」

Imgp0689

場所:国立科学博物館にて

日時:平成21年11月20日撮影

by みなりん


新宿御苑の菊と薔薇園鑑賞

2009年11月14日 10時28分58秒 | まち歩き

「新宿御苑の薔薇と再び菊の花」                                Img_2587

先日、伺ったばかりだが、新宿御苑へまた伺う。

光線の具合はだいぶ違って、また新たな感動があった。

拝見しながら歌が巡る。

「庭の千草」(里見義の自筆あり)

♪一、庭の千草も、虫の音(ね)も、

枯れて淋しく、なりにけり。

ああ、白菊、ああ、白菊。                                                             Img_2582

ひとり遅れて、咲きにけり。

♪二、露にたわむや、菊の花。

霜におごるや、菊の花。

ああ、あはれあはれ、ああ、白菊。

人の操(みさお)もかくてこそ

この曲は、もともとは、アイルランドの詩人ムーアが1813年に作詞したもので、ベートーベンの編曲(1816年)もこの歌詞によるらしい。

旋律自体は、実は別の歌詞で18世紀から歌われていたと言う。

では、原曲の歌詞(ムーアの詩)。                      Img_2642
わたしの下手な歌詞の訳をつける。

夏の名残の薔薇 (アイルランド民謡)

'Tis the last rose of Summer,
Left blooming alone;
All her lovely companions
Are faded and gone;
No flower of her kindred,
No rosebud is nigh,
To reflect back her blushes,
Or give sigh for sigh!

夏の名残の薔薇                                                                         Img_2640

孤独に咲きたり

うつくしき友輩(ともばら)

枯れて失せゆく

花も蕾も、親しめずなりぬ

麗しき薔薇色 

ため息つくのみ

I'll not leave thee, thou lone one,                                            Img_2654
To pine on the stem;
Since the lovely are sleeping,
Go sleep thou with them.
Thus kindly I scatter
Thy leaves o'er the bed
Where thy mates of the garden
Lie scentless and dead.

汝(なれ)ひとり残して

立ち去れずなりぬ

その幹を思へば

きよらな花よ                                                                               Img_2647                                                                              

汝(なれ)も行き眠らむ

寝床(ねどこ)に花弁を散り敷く

朋輩(ほうばい)は香(か)もなく

庭に枯れ失せぬ

So soon may I follow,
When friendships decay,
And from Love's shining circle
The gems drop away!
When true hearts lie withered,                                                      Img_2639
And fond ones are flown,
Oh! who would inhabit
This bleak world alone?

ただちにわれも追う

友情、廃れり

愛の光の輪よ

宝玉零(こぼ)れぬ

誠の心が枯れ果て                                                           Img_2661

慈しき汝(なれ)失へば

このすさびたる世に

♪誰(たれ)ひとりをれず

日本人の唱歌のほうは、その旋律の美しさを愛で、どんなに寒い厳しい時でも頑張って生きていこうと言う気概が詩に表現されている。

そういう意味では、昔の明治の人は、明るく未来を切り開こうとした精神を重んじたのではなかろうか。

最後に、菊の花の写真と、薔薇でも明るい歌をひとつ。

♪薔薇が咲いた                                                                Img_2645

 薔薇が咲いた

 真っ赤な薔薇が

 淋しかった

 僕の庭に薔薇が咲いた

 ・・・(略)・・・

 薔薇よ 薔薇よ 小さな薔薇

 この僕のもと、ずっと咲いてておくれImg_2650

 薔薇が咲いた                                                                            

 薔薇が咲いた 

 真っ赤薔薇が

 淋しかった僕の庭に 薔薇が咲いた♪

もともとは、花は、人の心を和ませる力があるので、あまり悲しいことは思い出さず、良く物事を考えて、来年も咲くように育てるように努力しましょう。

それにしても、こんな綺麗な花をいつも手入れしてくださっている公園の関係者の方に感謝致します。

オバマ大統領が、昨日来日しました。                                         Img_2603                         
今は菊と薔薇が両方観賞できる日です。

わたしの詩です。捧げます。

「菊と薔薇の咲く霜月の日本」

菊の大輪が太陽のように輝く
小菊は可憐にひっそりと咲き
あなたのように慎ましい
日が昇るとき
あなたを友として信頼し
その慈愛に満ちた言葉を待っている

霜が降りても友情は褪せず
サンフランシスコの想い出は
朝の夜は冷たいけれど
わたしは平気
あなたが帰る時にはまた来てねと
薔薇が芳醇に咲き誇り
あなたのほんとうは威厳に満ちた姿を思う
菊の花は楚々と咲き、あなたはけして驕らない                          Img_2626

あなたが帰る時は
きっと太陽は金色に輝いてくれるだろう
日の本の日本だから
あなたを温かく冬でも迎えて見送る
そんな日本を忘れないで・・・・
手渡したい花々を!
心の花はけして枯れない
明日あなたが帰る時、太陽は輝く
菊の花がほころぶように!

下手ながら一首

「秋深く菊の花を愛でつつ薔薇も楽しむ新宿御苑」

最後、新宿御苑らしい現代の風景と、一番美しいピンク色の薔薇で幸福をみなさまに!

Img_2610 Img_2635_2


神代植物公園の薔薇

2009年11月12日 07時28分54秒 | まち歩き

  Img_2142 とある先日(だいぶ以前)、神代植物公園へ行きました。

非常に美しい公園で、薔薇が素晴らしく咲いていたが、菊花壇もあった。

新宿西口で薔薇フェスティバルを開催していたが、見事です。

菊はここではにぎにぎしくなく、肩の荷を降ろして拝見できます。                                                                   

Img_2148

花火のような花弁。そして、自由に作られた造形。

          Img_2152

可愛らしい盆栽。可憐です。

着物地にあしらってみたくなります。小菊。

さて、お目当てのバラ園へ向かいました。

中央には大きな噴水があって、薔薇が一面咲き乱れていました。

カトリックでは聖母を象徴し、中世ヨーロッパ以降、愛でられているようですから、数人のシスターたちが、お静かにバラ園を歩まれていました。

Img_2159_2Img_2155_2 かった色らしいです。

これは、ムーンライトです。

ブルームーン始め、青紫の薔薇は最近多いのですが、今度サントリーから青い薔薇を発売するようですね。

名前は「アプローズ」(夢を叶える)。誰が誰からいただくのでしょう。羨ましいです。

Img_2188 色は薔薇の種類によっていImg_2198 ろいろで、思わず見とれました。

育てるのは、手間暇かかってたいへんだと思いますが、写真は手折るわけでもなく、人や花に迷惑でなければ、いい想い出になりますので、ありがたいです。

紅い薔薇が情熱的なら、ピンクの薔薇は幸福を表すと聴いたことがあります。

薔薇は棘がありますが、日本の桜も実はバラ科なのです。

友人にそのことを述べると意外な顔をしていました。

Img_2158 九州では、キリスト教弾圧時代に教会で薔薇を飾れず、椿を薔薇に見立てた模様があImg_2173 りました。

薔薇の歴史は古代よりあり、調べたらきりがないし、また楽しいことでしょう。

しかし、ここでは、単純にその美しさを褒め、私も誰かにそっと手渡してみたくなりました。

わたしは、「赤い河の谷間」という時間を知らせる曲がバラ園に流れると、なんとも言えない気分になり、自分の昔の恋を思い出しました。

日本語の歌詞は、下手ながら歌いやすいように、わたしの訳です。(失礼しました)

♪From this valley they say you are going   Img_2160
We will miss your bright eyes and sweet smile
For they say you are taking the sunshine
That has brightened our path for a while.

この谷間を去りゆく
君の瞳と微笑
日の光は消えゆく
恋の輝く小径

Come and sit by my side if you love me
Do not hasten to bid me adieu
But remember the Red River Valley
And the girl who loved you so true.

愛するなら離れず                          Img_2168
しばし別れ惜しむ
この谷間を忘るな
慕うわれの愛も

Won't you think of the valley you're leaving
Oh how lonely, how sad it will be?
Oh think of the fond heart you're breaking
And the grief you are causing to me.

君、谷間を越えゆく
ひとりの淋しき暮らし
いかにせしか孤独を
悲しき恋路の果てよ

As you go to your home by the ocean         Img_2177
May you never forget those sweet hours
That we spent in the Red River Valley
And the love we exchanged mid the flowers.

故郷(ふるさと)の空の下(もと)
交わしし花の誓ひ
我が名、君な忘れそ
赤い河の谷間♪

わたしは、そそっかしいので、この歌をこう覚えていました。
「♪わたしの名を忘るな 赤い薔薇の花よ♪」

遠くから、数人のシスターが静かに歩まれて花を愛でておいででした。
どこか神聖な感じがして、急に心が洗われました。
そうして、バラ園を去って行きました。                       

下手ながら、一句

「薔薇の花誰(た)が袖にかかりし棘か花のにほひはただきよらなり」

Img_2194

Img_2174_3


霜月初めの高尾山から見た富士山

2009年11月09日 05時28分07秒 | まち歩き

世の中が殺伐としていると、なぜか美しい自然に憧れる。388

東京に住んでいる人には行きやすい高尾山へ行く。

その日は晴れていて、リフトに乗ると遙か遠くまでよく眺められる。

樹木の緑が美しく、都会化した風景がミニチュアの模型のように見える。

東京は、第二次世界大戦で焼け野原になったけれど、今はもうこんなに街が栄えている。

母が言うのには、戦争中のことを思えば、まだ今は豊かな時代だと言う。

そういうことが、わたしを初め、もうわからない世代が多くなった。

平凡で、職場にいや奴がいても、仕事を失って食べていけないよりまし、と昔は自分に言い聞かせていたことがあったなあと思う。

暗くなりがちな気持ちも自然と和んで行く。

途中、外国人女性とすれ違う。         481

彼女は私に微笑んで通り過ぎ、美しい自然を訪ねる、同じ仲間と言う気持ちなのかも知れない。

山登りはいいものだなと思う。

すれ違いざま、「こんにちは」と声をかけてくれる方もいたし、私もそういう風に心がけた。

ある若い集団の方々に、道を教えてあげている男性がいて、「この道を行けばいいんですよ。では、人生を楽しく味わってくださいね」と微笑んでいた。

ふと、ある教会の神父さまが自由講座で、そうおっしゃっていたことを回想し、温かい気分になる。                        395

人生を味わうような、ゆとりのなかった私の心に、染み渡った言葉だった。

それ以来、悲しくなるような時、必ず「人生をゆっくり味わう」ということを思い出すようにしている。

山登りは、しばらくすると嫌気がさすが、見晴らし台に佇んだ時、ああ、良かった、こういう風景を眺められて、と思う。

高齢者の方も高尾山には大勢いらっしゃっていた。

みなさん、杖をついても元気に歩いておいでだった。

ただし、わたしはふと、あまり簡単に山を登れる403 ようになると、本来の山登りの醍醐味が薄れたような気がしないでもない。

リフトやケーブルカーより、ご自分の足で山を上がり下りしている人は、たまたまかどうかわからなないが、礼儀正しい気がした。

互いにつらくても頑張ろうという気持ちを、すれ違う相手に伝えようとするコミュニケーションがある。

そうは言っても、健康のすぐれない方でも綺麗な自然に触れられるのは、いいことかも知れないから、便利になったことは悪いことはない。良いことでもある。

そう言う意味では、高尾山はみんなが楽しめるの405_2 で、みんながお互いを思いやっていれば、ほんとうに素晴らしい場所である。

高尾の見晴台から、奥高尾、更に、一丁平まで行く。

富士山はどんどん綺麗に見晴らせるようになってゆく。

だいたいの方は奥高尾まで行くと、結構山を歩いた気分になる。

しかし、今は綺麗に整備されて、まるでどこかの公園のようである。

更に結構歩くが、一丁平へ行くと、180度のパノラ416 マが展開し、非常に気持ちがよい。

わたしは、この映像を通して、ご覧になった方に元気になっていただきたい。

美しい山はたくさんある。富士山だけがいいわけではないけれども、関東ではこの山はもっとも目立つ。

贔屓目に見なくても、遠目に美しい。心が洗われるようである。

まだ、紅葉には早かったけれども、色づき初めていた。

天然の芸術品がある。

紅い蔦、楓、などなど・・・。

自然と造形されたものを発見するのは楽しかった。438

483 あざみの花を見つける。

歌を想起した。

♪山には山の愁いあり

海には海の悲しみや

まして心の花園に

♪咲きし あざみの花ならば

芹洋子さんが歌っていた曲を思い出したのである。

何かに書いてあったが、「自分の悲しみで一杯になった時は他人を思いやれないので、気をつけましょう」と言う言葉を思い出す。

皇后陛下のおっしゃっていた「でんでん虫の悲しみ」431 と同じであると戒める。

だから、自分が書けるときは、人が楽しく明るくなるように心がけたい。

これから冬に向かう。

つい、寒さを感じてしまうが、大事なのは「心の希望の光」を失わないことだと思う。

わたしは絶望した時期があった。でも、今はもう、だいぶ明るくなれる。

今、辛くてしょうがない人も、人生に挫折や失敗や無念な時はあるが、乗り越えるには、やはり物事を良く思考しないと改善していけないことを自分448 の体験から思う。

人生毎日、不安と挌闘し、でも大丈夫、もうちょっと進んで行こうと思うしかない。

「昨日はなんとか頑張った。今日もそうできる。明日のことは明日煩えばいいから、明日のことは考えない」、まるで聖書の言葉のようであるが、これが人生を乗り切る心がけだと、何かの本にも書いてあった。

一番自分も含めて思うのは、他人と自分を比較しない、他人を羨ましがらないことだと思う。

わたしだって悩みがある。羨ましい相手にも人には言えない悩みはある。

自分の殻に籠もらないため、自然の中を歩く。449

どーんと山の如く、生きられればいいけれども、と眺めていた。

また、歌を思い出す。

「夢をあきらめないで」(岡村孝子)

♪あなたの夢を あきらめないで

熱く生きる瞳が好きだわ

負けないように

悔やまぬように

♪あなたらしく 輝いてね

464

「笑顔にはかなわない」(岡村孝子)

凍える街に 吐息が白く溶けて

もう少しだけ空を 見上げていようね

あきらめかけた 小さな夢のかけら

今二人でかなえられる 信じる力で

どんなに悲しい気配が 明日を閉ざしても

♪静かに微笑む あなたの笑顔にはかなわない

下手ながら一句。

「海見をり波は尊し繰り返す努力をやめず波は486 満ち引く」

「山見をり高嶺の富士に導かる辛かろうとも先は開くと」

463