私は、政治や外交、経済などはよくわかっていませんが、鶴川にある武相荘を10年ぶりに伺いました。
白洲次郎さんが素敵だとか、白洲正子さんに憧れると言うより、時代をダイナミックに行動してきたお二人の芯の強さを感じて帰りました。
私も、もういい加減晩年のほうが近く、自分のできない世界があることがわかってきますが、自然を愛でて、人に自分のことを話すより、人の考え方を知ることはとても大事だということを白洲正子さんから知りました。
職人の方や、名人と言う方でも朴訥だったり、口下手だった り、ご自分では謙遜なさって語らないところを正子さんが教えてくださることもあり、本を読ませていただくことはあります。
正子さんの仏教についてのお話を理解しえていないけれど、勇気ある方だったのだなと思うし、絶対に話してはならないことは守りぬいたこと、TPOをご存じだったのかなと思うのです。
武相荘は、「武」にふさわしく、椿が咲き乱れて、非常に絵画的に美しい感じでした。
家の中は撮影ができないし、10年前の人が確かにいたのだろうと思える人の匂いはもう抜けていました。
変わった植物を撮影しました。何と言う名前でしょうか。
テレビで、「白洲次郎」のドラマを放映していたので、有名に なりすぎて、ひっそりというより、観光名所のひとつとして、ちょっと昔のイメージとは違う気がしました。
ただ、自然を拝見すると、絵葉書みたいに綺麗で、写真をメインに載せようと思いました。
私の意外な一面は、この訪問を契機に、経済に興味を持ったことです。以前より、もっと。
次郎さんは、確かにイギリスで勉強なさったし、それを日本で生かしたのではないかなと漠然と思いました。日本人で、初めてノーベル経済学賞をとる方が、将来出現したらいいなあと思います。
それには、こうでなければならないという先入観のない方のほうがいいし、そういう意味では、学閥の中で日本では難しいのだろうかと思案しました。
はらはらと白い椿の花が地面に散り、すがすがしい清楚感を添えていました。
赤い紅葉が、すっきり伸びた竹の中でまだ見ることができて、自然の造形をおもしろく感じました。
自然は、人間にとって大事な資源であるばかりではなく、想像力を膨らませてくれる美の宝庫であると思います。
白洲さんの政治的な立場は、わたくしごときはよく知りません。
ただ、こういうところで、黙々と活動なさっていて、綺麗なものを戦時中なのに感じられるところにおいでで、感性は鈍っていなかったかも知れないなあと勝手に感じました。
あまりに悲惨な光景や、あまりに無残な風景に浸かると、人間の心は荒れたり、エネルギーも消滅しそうな気がしたからです。
ただ、私には、武相荘の白い椿が邸宅と一緒に印象に残りました。