みなりんの紀行文

写真とともに綴る、旅の思い出を中心としたエッセイ。
主に日本国内を旅して、自分なりに発見したことを書いています。

新宿御苑の観菊

2009年11月07日 07時37分02秒 | まち歩き

11月、菊の花を眺める季節になった。Img_2336_2

以前、中国のお話をしたけれど、起源はもっと古いかも知れない。

昔読んだ「十六菊家紋の謎」という話では、シューメール王朝最盛期の都バビロンのイシュタイル

の門には、王家の紋章として、「十六菊家紋」が描かれているらしいし、日本の皇室の紋章・

十六菊花紋の原型は菊の花弁ではなく、船乗りが使っていた羅針儀または日時計を平面に

図案化したものではないかと言う人もいるが、なるほどなあと思ってしまう。

ともかく、これはとても古い中近東やら海にも関係した紋様と言うことだろうか。

Img_2325 そういう世界的に古代の国際色Img_2264_2 深い象徴が菊の紋様であるとすれば、けしていやな感じは持

たずにすむことだろう。

素直に眺めて、花を愛でるのがいいと思う。

日本は軍国主義の時代に兵隊さんに菊の勲章をつけたことがあって、思想的に思案すると

息詰まるが、それも一時のことだから、素直に菊のいいところに目を留めたい。

可愛い歌があった。これは野菊の歌であるが、その性質をよく表している。

「野菊」(文部省唱歌)(作詞:石森延男 作曲:下総晥一)

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♪遠い山から吹いて来る Img_2283

こ寒い風にゆれながら、

けだかく、清く匂う花。

綺麗な野菊

薄紫よ

♪秋の日差しを浴びて飛ぶ

トンボをかろく休ませて、

                                                                                 静かに咲いた野辺の花。

優しい野菊、

薄紫よ

♪霜が降りても負けないで                     Img_2271_3

野原や山にむれて咲き、

♪秋のなごりを惜しむ花。

なぜ皇室の紋様が黄色いのか、それはたぶん、日の光を表しているじゃないかと勝手に想像している。

月だって、どことなく黄色く輝いて見えるし、光の色を表現していて、「光」ということではないかと思う。

よくよく眺めると、雪のように白い菊もあれば、かすかにほんのり黄色い白菊もあり、黄色と

Img_2298 いうのは、ごく自然に出る色 かも知れない。

春の花、菜の花も黄色だし、どんなにかすかな太陽の日差しの元でも咲きやすい色なのかも知れない。

新宿御苑を散策したり、明治神宮を散策すると、この時期は見事に菊の花が眺められる。

雅やかな、あるいは古風な、また素朴な日本らしいお名前の花を眺めると、ああ、風流だな

あと、おおざっぱな私でも気をつけて念入りに拝見する。

大輪の菊などや、形を整えているものは、たいへん丹誠込めて作った人の心配りと深慮が伺える。

同じ時期に揃えて咲かせることは並大抵の努力ではないらしい。

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雅やかなお名前の菊を眺めていると、なぜかほっとする。

白い菊でも、ほんのり黄色みを帯びていたり、微妙に違う。

わたしは、ぱっっと見たところ、紫の菊が微妙に色の変化が素人なのでよく区別がついて、わかりやすかった。黄色い菊は少し判別が難しいようである。

最後に、新宿御苑らしい風景と、わたしが綺麗だなと思った大輪の菊をご紹介したいと思う。

みなさんも十分、秋の花を実際ご堪能ください。

下手ながら一首

「霜月の新宿御苑民集ひ雅びの世界菊の輝き」

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葉山の海と霊峰富士

2009年11月04日 23時09分09秒 | 旅行記

とある休日、葉山の神奈川県立美術館へ向かう。 Img_2338_2

葉山ヨットハーバーがあった。

移動し、森戸神社へ参詣する。

ここは素晴らしい眺めである。

晴れ渡った日、歌が浮かんで来る。(尋常小学校歌)

♪松原遠く                       Img_2356

消ゆるところ

白帆の影は浮かぶ。

干網浜に高くして

カモメは低く

波に飛ぶ。

見よ 昼の海。

♪見よ 昼の海。

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源頼朝公が、三嶋明神を深く信仰して、源氏の再興を森戸神社に祈願したと言う。

源頼朝が衣笠城に向かう途中、ここで休憩した時、岩の上の松を見て、

「いかにも珍しき松よ」      Img_2352

とほめたところ、

出迎えた和田義盛が

「千貫の値ありとて千貫松と呼びて候(そうろう)」

と答えたと言う。

拝見して、それはそれは目出度い思いであった。

その後、神奈川県立美術館葉山のレストランから銀波を望む。

こういう綺麗な海を眺めると、日本は自然に恵まれていると思う。

海の色は緑青で、ほんとうに心奪われる。Img_2384

森戸神社にあった、碑の言葉が非常に良かった。昔は、不便なことも多かっただろうが、自然の宝庫で、今の日本人よりずっと心豊かだったかも知れない。

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ただ、今の日本は戦禍にまみれていないことがいいところだと思う。

海の波は穏やかで、のどかな一日だった。

一句下手ながら

「緑青(ろくしょう)の凪穏やかに白帆見ゆ霊峰富士は花嫁姿」

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