みなりんの紀行文

写真とともに綴る、旅の思い出を中心としたエッセイ。
主に日本国内を旅して、自分なりに発見したことを書いています。

2002年出雲と松江旅行記パート1

2008年10月26日 21時46分20秒 | 旅行記

 わたしは、伊勢神宮へ行った後、子どもの頃に鑑賞した映画「大国主命」の因幡の白兎の話を思い出したので、出雲大社に行ってみようと思いました。
 近年、茶器にも関心を持ち、茶道ってどうだろうと思いつつ、松江藩主松平不昧公にも興味を持ちました。
 まだ今と違って、岩見銀山が世界遺産に登録されていなくて、淋しい感じの旅でした。

東京からたいへん遠くへ行くというイメージでしたが、航空機で富士山の上空を通過したとき、ああ、日本はなんて綺麗なんだろう、日本の古代史のことは『古事記』『日本書紀』に書かれたことを思案することで謎解きできるような気がして来ました。

  小泉八雲の『日本の面影』を読んでいったのですが、もう記憶にそうありません。
ただ、見て廻る場所はある程度目星をつけました。
 鎌倉の円覚寺だったでしょうか、松平不昧公の「独慎」という豪快な書を拝見したことがあり、人柄が偲ばれます。

 米子空港は小さな空港でした。降りて、バスで「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木ロードを通りました。

そして、松江への途中、寄ったのは、八重垣神社でした。スサオノミコトがイナダヒメを娶るため、日本最古の和歌と言われる「八雲立つ出雲八重垣妻込めに、八重垣造る、その八重垣を」という歌を、夫婦になったお喜びで歌った、縁結びの神社として有名です。

ヤマタノオロチをスサオノミコトが退治したお話はあまりに有名ですね。     Izumo_02     

 イナダヒメが鏡が池にお姿を映したと言われ、恋占いで今は賑わっています。鏡が池の側には古い和歌で「糟糠の妻を捨てるなかれ」と書いてあった歌があったようです。なんだか心に沁みました。

実際は「糟糠の妻に悔いなき初鏡」という和歌でした。

 夫婦杉も深い森を象徴しているようですが、小泉八雲は人力車でここまで勇んで来たそうで、その頃は鬱蒼とした森だったようです。今はだいぶ開けています。

 わたしが感動して拝見したのは、連理玉椿です。イナダヒメが二本の椿の枝を植えられて、それが芽を出し、木が枯れても境内には二股の椿が発生すると伝えられ、境内には三本の夫婦椿があります。

 年によっては二葉の葉があらわれることがあるそうで、バスの時間を気にしながら、日本最古の神様を描いたという女性のお姿の絵を拝見しました。髪型はおすべらかしで、着物姿は十二単風でした。だいぶ遜色していましたが、見事な感じでした。そして、実際に二葉の椿の葉を間近に拝見しました。凄いなあと思いました。

Izumo_01

 夫婦椿の碑を拝見したり、実際に棲息している椿の木を拝見すると、古代からのロマンスが煙のように立ち上って来ます。

 東京資生堂の花椿会はこの玉椿を神聖視してデザインし、初代社長が寄附を随分なさったそうです。現在はどうかはよくわかりませんが、一時はクリスチャンの方が社長になられて事情が変わった時代もあったようですが、現在はどうかは知りません。ただ、なかなか奥ゆかしい感じがしました。

 駐車場へ急ぐ途中、必死で撮影した玉椿の写真があります。看板の説明書きを見て、遠くから撮りました。見事な枝振りです。

赤い椿は、松江に行きますと、場内にもたくさん拝見できますが、椿はいろいろな効能があり、観賞にも堪え、染色に使用したり、高級な灰になったり、さらに困った時は椿油から様々なものに加工されます。整髪料、そして戦争時には鉄砲のための油になったりしたらしいのです。

Izumo_10 「出雲八重垣、祈願を込めて、末は連理の玉椿」

実に大きく、艶やかに咲き、わたしは思わず、松江で八雲塗りの椿の絵の入った工芸品を購入しました。

 また、慌てて拝見した、壁画は(訂正)巨勢金岡の筆と言われて、重要文化財であり、白色塗料は中国から胡粉が伝わらない時代に、白土(火山灰のケイソードから出たもの)を用いて塗り、その白土に描かれたもので約1100年前のものです。

 スサノオノミコト、イナダヒメ、アマテラスオオミカミほか、六神像が描かれて、ほかに類例がありません。観光客の方はご覧になったでしょうか。時間がなくてゆっくり出来なかったのが残念でした。

 わたしは、夫婦とはこのように一心同体であることが望ましいが、もし身体が不自由でも精神的な結びつきは忘れたくないなあと思いました。性だけがすべてではないからです。ただ、夫婦和合というのは普通の願いですね。いろいろな夫婦の形をお話で知ってしまった年増なわたしは複雑な気持ちでしたが、素直に二葉の椿の葉には感動しました。

ほんとうに、こういう美しい夫婦は多く存在するのが普通なのでしょう。日本の、植物始め、自然現象・伝承はなかなか素敵なものでした。

続く