寺田屋の門の奥には、第一回寺田屋事件で、公武合体派の島津久光による革新的尊王攘夷派の薩摩藩士鎮圧の時の殉死の方々の慰霊碑があるそうであるが、閉まっていた。有栖川宮の筆による。殺されかけて生き延びた薩摩藩士は、明治になって要職についている。
寺田屋事件は二度あり、さらに伏見奉行による坂本龍馬襲撃事件がある。
現在の寺田屋は、再建であり、実物は鳥羽伏見の戦いで焼失した。
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薩長をむすびつけた坂本龍馬は偉かったというのを否定する気はないが、会津藩と縁があるのかと叩かれ続けた人としては熱狂的にも受け入れていないまま、淡々とした目を持っている自分がいた。
しかし、NHKの「龍馬伝」は見て、福山雅治の演技も良くて、描き方に好感が持てた。
個人的に、あれこれ雑音を気にしなければ、「同じ日本人だから今更何も言わない」というのが自分の信念である。
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伏見は、月桂冠の大倉記念館で生水をいただくと、ほんとうにやわらかくて水がおいしかった。灘の男酒、伏見の女酒と言われる。
月桂冠の方は親切で、入場料を払うとお土産にお酒をくださった。 利き酒も無料で、吟醸酒はおいしい。記念館は見応えがあって、上品な酒蔵であった。
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昭和天皇の何かのお祝いにお酒を奉納したと言う立派な写真があった。
しかし、月桂冠の方は腰が低く、丁寧で品があったので、感心した。
この時、ここに来て良かったと思えた。
十石舟に乗ったために、閉館間際に伺い、ゆっくりと見学できなかったのは惜しまれる。
酒屋の杉玉は、奈良の大神神社からいただくのだと、何かの本で読んだ。
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街をぶらぶらと歩いて、黄桜の蔵元へ。しかし、蔵の見学はできずに、閉館されていた。
河童の夫婦の漫画で有名になり、資料館で絵を楽しむ。
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街を歩くと、会津の駐屯所跡、土佐藩邸の跡、いろいろと説明の看板があった。
歴史は皮肉である。
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こうして、曾孫の私がこの町を平和になって歩いている姿を、曾祖父は想像できただろうか。けして、幕府がたいへんな悪と言うわけではなかったけれど、時代は大きく私の小さな頭に入れないほどの思惑や深慮が働き、動いていく。
あるいは、宿命というものもあるのだろうか・・・。
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それから、薩摩の大砲があったと言う御香宮神社へ向かう。
伏見桃山時代の絢爛豪華な装飾的な色合いが美しい。
ここに、薩摩藩が陣を取ったと思うと、理由もなく、この場所に茫然と佇み、寂寥感に襲われた。
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鳥羽伏見の戦いで、伏見も戦場になり、幕府滅亡の決定的なものになる。
私は以前なら、解説したかも知れないが、今はできない。
私は無知でこの時代には疎く、私以外の方でご存知の方は多いと思うものの、関連本を少し読んだ。
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もう日本人同士殺し合ったり、傷つけあったりするのはやめよう。
いつかこの言葉が世界平和にも通じる言葉、同じ人間同士傷つけあうのはやめようと言いたい。 戦闘よりも話し合いを進め、外交で国同士つながりたい。
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今は静かでお酒のおいしい穏やかな土地が、戦場でまみれた過去を忘れまい。
もう二度と日本人同士、闘わないようにと。
世界でも同じだ。戦争で敗戦した国は惨めだ。憎しみの連鎖はなくしたい。
心の中で呟いて、暮れた御香宮神社を後にした。
後香宮神社の安土桃山文化の装飾の色合いが見事であったのを心にとめた。
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