以前、中国のお話をしたけれど、起源はもっと古いかも知れない。
昔読んだ「十六菊家紋の謎」という話では、シューメール王朝最盛期の都バビロンのイシュタイル
の門には、王家の紋章として、「十六菊家紋」が描かれているらしいし、日本の皇室の紋章・十六菊花紋の原型は菊の花弁ではなく、船乗りが使っていた羅針儀または日時計を平面に
図案化したものではないかと言う人もいるが、なるほどなあと思ってしまう。
ともかく、これはとても古い中近東やら海にも関係した紋様と言うことだろうか。
そういう世界的に古代の国際色 深い象徴が菊の紋様であるとすれば、けしていやな感じは持
たずにすむことだろう。
素直に眺めて、花を愛でるのがいいと思う。
日本は軍国主義の時代に兵隊さんに菊の勲章をつけたことがあって、思想的に思案すると
息詰まるが、それも一時のことだから、素直に菊のいいところに目を留めたい。
可愛い歌があった。これは野菊の歌であるが、その性質をよく表している。
「野菊」(文部省唱歌)(作詞:石森延男 作曲:下総晥一)
こ寒い風にゆれながら、
けだかく、清く匂う花。
綺麗な野菊
薄紫よ
♪秋の日差しを浴びて飛ぶ
トンボをかろく休ませて、
静かに咲いた野辺の花。
優しい野菊、
薄紫よ
野原や山にむれて咲き、
♪秋のなごりを惜しむ花。
なぜ皇室の紋様が黄色いのか、それはたぶん、日の光を表しているじゃないかと勝手に想像している。
月だって、どことなく黄色く輝いて見えるし、光の色を表現していて、「光」ということではないかと思う。
よくよく眺めると、雪のように白い菊もあれば、かすかにほんのり黄色い白菊もあり、黄色と
春の花、菜の花も黄色だし、どんなにかすかな太陽の日差しの元でも咲きやすい色なのかも知れない。
新宿御苑を散策したり、明治神宮を散策すると、この時期は見事に菊の花が眺められる。
雅やかな、あるいは古風な、また素朴な日本らしいお名前の花を眺めると、ああ、風流だな
あと、おおざっぱな私でも気をつけて念入りに拝見する。
大輪の菊などや、形を整えているものは、たいへん丹誠込めて作った人の心配りと深慮が伺える。
同じ時期に揃えて咲かせることは並大抵の努力ではないらしい。
雅やかなお名前の菊を眺めていると、なぜかほっとする。
白い菊でも、ほんのり黄色みを帯びていたり、微妙に違う。
わたしは、ぱっっと見たところ、紫の菊が微妙に色の変化が素人なのでよく区別がついて、わかりやすかった。黄色い菊は少し判別が難しいようである。
最後に、新宿御苑らしい風景と、わたしが綺麗だなと思った大輪の菊をご紹介したいと思う。
みなさんも十分、秋の花を実際ご堪能ください。
下手ながら一首
「霜月の新宿御苑民集ひ雅びの世界菊の輝き」