ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(308)初めてのカレーライス作り

2017年12月31日 18時26分06秒 | 日記

ちいチャンは、学校の調理実習で、

「カレーライス」を習いました。

バター、小麦粉、カレー粉で、

ルーから作る「カレーライス」です。

家ではいつも、

おばあちゃんがカレーライスを作ります。

だから、

ちいチャンは、カレーライスの作り方を知りません。

班ごとに、数人ずつのグループになり、

野菜を切ります、炒めます。

出来上がりは、班によって失敗もあります。

ゆるゆるのカレーライスになってしまったり、

ご飯が、「めっこご飯」になってしまった班もあります。

ちいチャンの班は、「味がしな~い」班でした。

でも、ちいチャンは、

(おはあちゃんに、カレーライスを作ってあげよう!)

と、思いました。

数日後、

ちいチャンは、ひとりでカレーライスに挑みます。

ジャガイモと、ニンジンと、タマネギと材料を揃えます。

おばあちゃんは、なんだかソワソワしています。

野菜を切っている時は、おばあちゃんは何も言いません。

でも、

フライパンや鍋に火が入り、作り始めると、

おばあちゃんは、

ああだこうだ、ああだこうだ、とうるさいです。


Play back ちいチャン物語(307)防波堤のモーターボート

2017年12月30日 20時27分28秒 | 日記

漁師さんのモーターボートは、桟橋にくくり付けられ、

チャポン、チャポンと揺れています。

そして、防波堤の砂浜にも、

まるで波で打ち上げられたかの様に、

モーターボートが何船か、

木の丸たんぼうで、止めてあります。

夏、海水浴の時、

子ども達は、この防波堤の砂浜に止めてある船に、

バスタオルやらサンダルやら、浮き袋などを置き、

裸足で海にかけて行きます。

海は広く、

でも、遠くの海面からも、

自分が置いたバスタオルやサンダルの船が分かります。

思いっきり!元気に!泳いで!遊んで!

そして、

船からバスタオルを取り、サンダルを履き、

浮き袋を抱えて帰ります。

防波堤の砂浜のモーターボートは、

まるで、子ども達の“ロッカールーム”です。

モーターボートは、いつも同じ場所に同じ船が止めてあり、

イタズラをしたり、壊したりする子供もいないので、

笑顔で、海辺で泳ぎ遊ぶ子ども達を見つめています。

 


Play back ちいチャン物語(305)新しく来た体育の先生

2017年12月28日 19時27分48秒 | 日記

ちいチャンの町の中学校に、

新しい、体育の先生が来ました。

体育の先生は、オリンピックを目指していたと言いました。

怪我をして、オリンピックを諦めたそうです。

体育の先生は、

本当に、オリンピックの選手の様な身体をしています。

そして、

放課後になると、毎日、

オリンピックの選手が着るユニフォームの様な体操着を着て、

校庭の片隅にある鉄棒で、

大車輪の練習をしています。

ちいチャンは、

オリンピックに出られそうな体育の先生が、

どうして、この中学校に来たのかなぁ、

と、不思議で不思議です。

先生は、時々、

校庭を走ったり、砂場で走り幅跳びをします。


Play back ちいチャン物語(304)黒板消し

2017年12月27日 19時48分40秒 | 日記

中学生のちいチャンは、

今日は日直の当番さんです。

日直さんは、授業が終った後、

黒板を消して、黒板消しをキレイにするお仕事があります。

ちいチャンは、黒板消しを二つ両手に持って、

窓際に行き、外に向けて、

パンパンパンパン!と、黒板消しのチョークの粉を、

叩いて落とします。

勢いが付き過ぎて、黒板消しが一つ、

ちいチャンの手から外れて、下に落ちてしまいました。

ちいチャンは、

落ちた黒板消しは、後で拾いに行こう!と思いました。

そして、

ひとつだけ手に持っている黒板消しを、

窓の下の壁に打ち付けて、

パフパフパフと、チョークの粉を落としました。

キレイになった黒板消しを黒板に置き、

階段を下りて、外へ、落とした黒板消しを拾いに行きました。

黒板消しを拾い、ふと教室を見上げると、

教室の窓の下の壁に、

黒板消しの粉の跡が、パホパホパホと付いていました。

ちいチャンは、

(黒板消しで壁を叩いたらダメだ。)

と、思います。


Play back ちいチャン物語(303)ちいチャンのアルバイト

2017年12月26日 19時15分55秒 | 日記

ちいチャンは、

焼きそば屋さんでアルバイトをし、

デパートでアルバイトをし、

今度は、

印刷やさんでのアルバイトです。

アルバイトは、

学校の夏休みや冬休み、春休みの時期をねらって、

各企業から、アルバイトの募集がかかります。

アルバイトの募集は、学校の廊下に貼りだされ、

生徒は、やりたい職種を選ぶ事が出来ます。

だから、毎回同じアルバイトがあるとは限りません。

今回は、印刷屋さんからの募集でした。

アルバイトの当日、印刷屋さんに行くと、

同じ学校の生徒が数名集まっていました。

印刷屋さんの人に案内されて行った場所は、

印刷が済んだ、大量の広告がある場所でした。

ちいチャン達は、

それぞれに、ものさしを配られました。

印刷屋さんでものさし?なんだろう?

と、みんな不思議に思いました。

が、印刷屋さんの説明では、

広告は、新聞にはさむ広告なので、

それ用に、たたまなければいけないのだと言いました。

そこで、このものさしを使い、

広告に折り目を付けるという訳です。

手で折り目を付けていては、

手をすりむいたり、怪我をするかもしれないし、

広告が、平にキチンと折れない様でした。

そして、効率よく折りたたむには、

1枚づつではなく、何枚かをまとめて折り、

ものさしで、シュパッ!と折り目を付けます。

ちいチャンは、この、ものさしでシュパッ!が面白くて、

印刷屋さんのアルバイトは、面白いなと思いました。

 


Play back ちいチャン物語(302)ちいチャンの欲しいもの

2017年12月24日 18時54分00秒 | 日記

ちいチャンは、欲しいものがありました。

それは、テープレコーダーです。

でも、テープレコーダーは、とても高くて、

学生のちいチャンには、買う事が出来ません。

ふと見かけた「質屋」さんに、

ちいチャンは、恐る恐る入ってみました。

テレビや小説で見る質屋さんは、

お金に困った人が、品物を持って来て、

代わりにお金を借り、期日までに返さないと、

品物は「質流れ」になってしまう所らしいでした。

ちいチャンは、

もしかしたら、質流れになったテープレコーダーがあるのではないかと、

初めて質屋さんに入ってみました。

質屋さんには、時計やカメラやステレオや、

沢山の種類の品物が置かれていました。

テープレコーダーの値段は、

ちいチャンにも手が届きそうな値段が付いていました。

ちいチャンは、このテープレコーダーが、

とてもとても欲しくなりました。

そこで、ちいチャンは、

アルバイトをして、お金を貯める事にしました。

 


Play back ちいチャン物語(301)デパートでアルバイト・その2

2017年12月23日 18時21分26秒 | 日記

ちいチャンは、学生の時にアルバイトをしました。

この日の場所は、デパートです。

そして、

ちいチャンが配属された場所は、

「子供の下着売り場」でした。

ある日の事でした。

ちいチャンのおばあちゃんと同じくらいの年のおばあさんが、

売り場にやって来ました。

そして、

前日に買った下着が小さかったので、

取り換えて欲しいと言います。

おばあさんは、男の子のお孫さんの為に、

白いブリーフを買った様でした。

ちいチャンは、取り換えられるかどうか分からなかったので、

係のお姉さんを呼んで来て、事情を話しました。

おばあさんは、一生懸命にお姉さんに、説明をしています。

お姉さんは、優しい態度で接して、交換を了承しました。

おばあさんは、おじきを何度もしながら帰って行きました。

ちいチャンは、

返品になった白いブリーフを、元の場所に戻す様にと、

お姉さんから言われました。

だから、ちいチャンは、

白いブリーフをたたもうと、いったん広げました。

すると、

白いブリーフに、チョットだけシミが付いていて、

そして、

ちぢれた黒い毛が、一本付いていました。

お姉さんとちいチャンは、

(おばあさんは、年頃の男のお孫さん用に、小さい子のブリーフを買い、

直接履かせてみたのかしら?)

と、目と目を見合わせて、思いました。


Play back ちいチャン物語(300)デパートでアルバイト・その1

2017年12月22日 19時10分36秒 | 日記

ちいチャンは、学生の時にアルバイトをしました。

この日の場所は、デパートです。

ちいチャンが配属された売り場は、

「子供用の下着売り場」でした。

デパートの売り場のお姉さん達は、

キレイにお化粧をしていて、とてもキレイです。

そして、

デパート用語の様なのですが、

トイレに行く為に売り場を離れる時は、

「遠方に行って来ます。」

と言う様です。

お客様相手の売り場で、

「トイレ」という言葉は、言ってはいけない様でした。

キレイなお姉さんは、ちいチャンに、

「トイレに行く時は、“遠方に行って来ます。”と言って、行くようにね。」

と言いました。


Play back ちいチャン物語(299)焼きそば屋さんのまかない

2017年12月21日 19時46分15秒 | 日記

ちいチャンは、学生の時アルバイトをしました。

選んだのは、「焼きそば屋さん」です。

まかないの、ご飯も出るという事で、

ちいチャンは、焼きそばのまかないを楽しみにしていました。

朝一番に任された仕事は、ネギを切る事でした。

でも、まな板がありません。

不思議に思っていると、店の人が切り方を教えてくれました。

それは、

ネギを手に持ち、

包丁でシュパッ!シュパッ!と切る切り方でした。

まな板が無くても、まな板の上で切った様に、

細かく早く切らなければいけません。

手が何本もあるかのような、早技で切らなければいけません。

もたもたしていると、お店を開ける時間になってしまいます。

ちいチャンは、頑張って、頑張りました。

お店が開いたら、

お客様の注文を聞き、出来た焼きそばを運びます。

「目玉焼きが乗った焼きそば」

「焼いた肉が乗った焼きそば」

「ご飯と焼きそばとお漬物」

ちいチャンは、注文の焼きそばを運びながら、

休憩の時間を楽しみにしていました。

休憩時間になって、調理場に入り、

「お腹すいたでしょう、沢山食べなさい。」

と、出されたのは、

「どんぶりに山盛りのたくあん」と「大盛りの白いご飯」でした。

でも、

お店の人も同じものを食べているので、

ちいチャンだけに、「たくあん」と「ご飯」ではない様でした。

焼きそばが出ると思っていたちいチャンは、

とてもガッカリしたけれど、

お腹いっぱいになるほど、ご飯を食べました。


Play back ちいチャン物語(298)初めてのコーラ

2017年12月20日 19時43分44秒 | 日記

ある夏の日、

ちいチャンは、おばあちゃんに連れられて、

親戚の家に行きました。

夏だったので、

親戚の家に着いた時、

おばあちゃんもちいチャンも、喉が渇いていました。

おばあちゃんは、おばちゃんに麦茶を入れてもらっていました。

おばちゃんは、ちいチャンにも麦茶を入れてくれましたが、

ちいチャンは、アイスが食べたいなぁ、と思いました。

すると、

おばちゃんの家のお姉さんが、

「ちいチャン!コーラ飲む?」

と、ちいチャンに聞きました。

ちいチャンは、コーラという飲み物を知りません。

でも、

お姉さんが、嬉しそうに聞いたので、

美味しい飲み物かもしれない、と思い、

「うん!飲む!」

と、ちいチャンは答えました。

お姉さんは、冷蔵庫から、

瓶に入った茶色い飲み物を持って来ました。

そして、

栓抜きで、シュポン!とフタを取りました。

ジュワジュワジュワワと、泡が出て、

お姉さんが、

「ちいチャン!早く!飲んで!」

と、急がせます。

ちいチャンは、慌てて、急いで、瓶に口を付けました。

ごっくん!と、急いで飲んだちいチャン。

コーラは、なんだか、喉がヒリッとして、

苦いお薬の様でした。

 


Play back ちいチャン物語(297)電車のドア前のキレイなお姉さん

2017年12月19日 18時44分48秒 | 日記

ちいチャンは、

お仕事に行く時は、電車とバスを使います。

ある日、帰りが少し遅くなり、

夜の電車に乗りました。

夜なので、座席は座る余裕がありました。

ちいチャンは、ぱふんと座席に座りました。

ふと目を上げると、

ドアの入り口の前に、外を見つめる様に、

長い髪の、キレイなお姉さんが立っていました。

お姉さんは、

空いている座席には座らないで、

ドアに寄りかかる様に立っていました。

ちいチャンは、

ドアのガラスに映るお姉さんが、キレイだったので、

ジッと見ていました。

すると、どこからか、

大きな蛾が飛んで来て、

お姉さんの肩に止まりました。

お姉さんは、白いブラウスを着ています。

ちいチャンは、

お姉さんのブラウスに、蛾の粉が付かないかと、

ハラハラドキドキです。

でも、

お姉さんがキレイなので、

ちいチャンは、お姉さんに声をかける事が出来ません。

周りにいる乗客の人も、

お姉さんの肩の蛾に、釘づけの様でした。

が、やっぱり、

お姉さんに、声をかける人はいませんでした。

ビックリしたお姉さんが、手で蛾を払うと、

ブラウスが汚れてしまう、そんな配慮もあったかもしれません。

いくつめかの駅に着き、ドアが開き、

お姉さんは、蛾を肩に付けたまま、ドアから外に出て行きました。

すると、蛾は、

お姉さんの肩を離れ、

お姉さんの後を通って、

ひらひらと飛んで行きました。

ドアが閉まって、電車が走り出した時、

ちいチャンは、ホッ!と胸をなでおろしました。

乗り合わせた他の人達も、同じ気持ちの様でした。


Play back ちいチャン物語(296)突然の雨

2017年12月18日 18時34分50秒 | 日記

ちいチャンが、

教室の窓から外を見ていると、

突然雨が降り出しました。

ちょうど、お帰りの時間だったのですが、

ちいチャンは、カサを持っていませんでした。

ちいチャンと同じ様に、カサを持っていない子は、

昇降口で立ち止まり、雨を見つめています。

すると、

雨のカーテンを押し分けて、

誰かのお母さんが、カサを持ってお迎えに来ました。

そしてそれは次々と続き、

ひとり、ふたりと、昇降口から子ども達がいなくなって行きました。

お迎えに来たお母さん達は、

学校に近い、隣町に住んでいる子ども達のお母さんでした。

ちいチャンは、

薄暗い昇降口で、雨がやむのを待っています。

ちいチャンは、雨がやまなかったら、

雨の中を、走るしかない!と、覚悟を決めていました。

ため息ひとつついた時、

雨の中から、おばあちゃんの姿が現れました。

おばあちゃんは、ちいチャンのカサと長靴を、持って、

お迎えに来てくれました。

おばあちゃんは、おばあちゃんだから、

山をひとつ越えて、お迎えに来るのには、

少し時間がかかった様でした。

「ほら!長靴履いて!」

元気に、おばあちゃんが言いました。

ちいチャンの、心細さを吹き飛ばす様な、

元気な、おばあちゃんの声でした。