ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語236「おばあちゃんの料理は」

2020年03月31日 19時50分22秒 | 日記
ちいチャンは、
料理には名前が付いている、ということを知りません。
おばあちゃんの料理は、
焼き魚、煮魚、刺身、
煮物、
揚げ物、天ぷら、
炒め物、
おひたしです。
世間では、「肉じゃが」というものが、
料理の中で人気があるらしいのですが、
ちいチャンは、「肉じゃが」という料理を知りません。
おばあちゃんは、
野菜を煮た物は全部、「煮物」と言います。
そして、
油で揚げたものは全部、「揚げ物」と言います。
だから、
肉じゃが???
筑前煮????
豚カツ????
唐揚げ????
は、どんな不思議な食べ物なのだろうと、
頭の中には、疑問符がぐるぐる回ります。
ある時、
初めて「肉じゃが」を見た時に、
ちいチャンは、
(あれ?ただの煮もの?)
と、少しガッカリしました。

ちいチャン物語235「ある季節・その4」

2020年03月30日 19時03分37秒 | 日記
ある季節、学校の帰り道、
ふと気が付くと、山の道端に、
ネコヤナギが、芽吹いています。
ネコの毛のようなネコヤナギは、フサフサしています。
ちいチャンは、ネコヤナギの前で立ち止まり、
いい子、いい子、と撫でています。
ネコヤナギは、胸がほわっとします。

ちいチャン物語234「ある季節・その3」

2020年03月28日 19時33分16秒 | 日記
ある季節、学校の帰り道、
白い虫が、ふわふわふわと、飛んでいます。
お尻に綿をくっつけて、ふわふわふわと、飛んでいます。
そろそろ季節も寒くなったね、と知らせる雪虫です。
ちいチャンは、
「は~!」
と、息を白く吐いてみます。

ちいチャン物語232「ある季節・その1」

2020年03月27日 19時39分26秒 | 日記
ある季節、学校の帰り道、
小さい虫の集団が、空中で、うにゃうにゃうにゃと、飛んでいます。
虫の集団は、同じ所で固まって、パーティーを開いているようです。
だから、
ちいチャンが歩いて近づいても、よけてくれません。
だから、
ちいチャンは、遠巻きにして帰ります。

ちいチャン物語229「ウニ」

2020年03月23日 19時55分01秒 | 日記
夏、
近所の人が、海で取れたウニを持って来ます。
大きいボールに、こんもりと山盛りのウニです。
ウニは、ボールの中でウニウニと動いています。
おばあちゃんは、手に軍手をはめると、
ウニをさばき始めました。
殻を半分に切り、汚れを洗い落とします。
そして、
スプーンでオレンジ色のウニをすくって、
他のボールに、ぽとんぽとんと入れて行きます。
おばあちゃんは、ウニさばきが、とても上手です。
手にはめている軍手は、
みるみる紫に染まって行きます。
ちいチャンは、
ウニの、ウニウニ動く様子が面白くて、
ずうっと、おばあちゃんの側で見ています。
ウニさばきが終わった時、
おばあちゃんは、軍手をしていたのに、
軍手を外した手は、赤紫色に染まっていました。
この日の夕食は、ウニです。
食卓に、小鉢に入った大盛りのウニが出ます。
おじいちゃんは、ウニをスプーンですくってご飯に乗せ、
美味しそうに食べています。
ちいチャンは、ウニは余り好きではありません。
時々、一度に何件かの家からか、ウニをもらう時があります。
そんな時、おばあちゃんは、
ウニの塩漬けを作ったり、
アワビの殻に乗せて焼いたり、
卵焼きにしたりします。

ちいチャン物語229「カブトムシ」

2020年03月22日 19時24分03秒 | 日記
ちいチャンの家では、
夏になると、
カブトムシが、門の外灯の周りを、
ブィ~ン、ブイ~ンと、羽を羽ばたかせて飛んでいます。
元気過ぎて何かにぶつかって、
外灯の下で、ひっくり返って、
手足をモジャモジャと、動かしているカブトムシもいます。
モジャモジャしているカブトムシは、
なかなか起き上がれない、と、もがいているみたいです。
でも、チョットのきっかけで、手足が地面に触れると、
コロン、と上手く起き上がります。
ちいチャンの町は、
家々の後をぐるりと山が囲んでいます。
大自然から飛んで来るカブトムシは、元気です。
自由に飛んで、
ドジって、ぶつかって、
モジャモジャして、起き上がって、
朝には山へ帰って行きます。
だから、
街のデパートで、
四角いカゴに入れられて、
動きの鈍いカブトムシを見た時、
ちいチャンは、
カゴから出して、逃がしてあげたくなりました。

ちいチャン物語228「織姫と彦星は」

2020年03月21日 19時08分01秒 | 日記
七夕の日に、織姫と彦星が、1年に一度会える日、
という話を聞いて、
ちいチャンは、七夕には夜空で、
(織姫と彦星が会うのが見られる!)
と、思いました。
ちいチャンの頭の中では、
夜空はスクリーンになっていて、
映画の様に、織姫と彦星が一年ぶりに会うのが見られる、
という想像です。
でも、七夕の日に、じっと夜空を見つめても、
空は空、星は星で、他には何も映してはくれませんでした。
織姫と彦星は、どこで会っているのかしら、
と、不思議に思うちいチャンです。

ちいチャン物語226「アイスボンボン水風船」

2020年03月20日 18時09分09秒 | 日記
ちいチャンは、アイスボンボンを、
すこ~しづつ絞り出しながら、食べます。
手に持って食べていると、すこしづつ溶けて来て、
ふにゃふにゃになって来ます。
ちびっ、ちびっ、と食べていると、
ちびっ、ちびっ、とアイスボンボンは小さくなります。
そして最後には、
指先ぐらいの大きさの、しぼんだ風船になります。
ちいチャンは、これを、
水道の蛇口にくっ付けて、水を入れ、
ぷう~と、膨らませます。
食べる前の、アイスボンボンの大きさまで水が入ったら、
水道から取り外して、水がこぼれない様に、キュッ!と縛ります。
水の入った風船みたいです。
ぽ~ん、と空に向けて放り投げ、
そして、キャッチ!
水の入ったアイスボンボンは、びよよよよよ~ん、
と、手の中で揺れ動きます。
ぷるんぷるんで、気持ちがいいです。
でも、時々、受け止められずに落としてしまう事があります。
地面に落ちたアイスボンボンは、
ビシャ!と、壊れて水がはじけ飛びます。
跳ね返る水も、冷たくて気持ちがいいです。
男の子たちは、水が飛ぶのが面白くて、
わざと、地面に落として遊びます。

ちいチャン物語225「夏のアイス」

2020年03月19日 19時19分14秒 | 日記
夏、
アイス売りのオバチャンが、
自転車に乗って、アイスを売りに来ます。
オバチャンは、道路脇に自転車を止め、
カランカランカラン!
と、鐘を鳴らします。
子供たちは、5円や10円を手に持って、
アイスを買いに集まります。
アイスは、棒についているシャリシャリのアイスキャンディ、
風船を、中途半端に膨らませたようなアイスボンボン、
お団子のように、ぽこんぽこんと連なっているアイスボンボン、
そして、カップに入ったアイスが、あります。
おばあちゃんは、
棒に付いてるアイスや、アイスボンボンを、
「アイスキャンデー」
と言います。
そして、カップに入っているアイスを、
「アイスクリーム」
と言います。
カップに入っているアイスクリームは少し高いです。
でも、おじいちゃんは、
カップに入っているアイスクリームが好きです。
だから、おばあちゃんは、おじいちゃん用には、
カップのアイスクリームを買います。

ちいチャン物語224「祭りの日に見かけた兵隊さん」

2020年03月18日 19時26分30秒 | 日記
ずうーと、ずうーと前の、ある年の夏の日、
ちいチャンは、おばあちゃんに連れられて、
街のお祭りを見に行きました。
街は、祭りの飾りで飾られて、賑やかです。
ちいチャンは、
繁華街に向かうアーケードの両脇に、
見慣れない人たちを見ました。
その人たちは、軍服を着て帽子を被っています。
松葉づえを脇に置き、片足の無い兵隊さん、
片腕の無い兵隊さん、
目に眼帯をして、白い布で腕を吊っている兵隊さん、
頭と腕に、包帯を巻いている兵隊さん、
足元には、缶詰の空き缶のような物を置いています。
立っている人は、アコーディオンを弾いています。
街行く人たちは、余り気にも留めずに通り過ぎて行きます。
時々、誰かが空き缶に、お金を投げ入れています。
ちいチャンは、初めて見る光景に、思わず足が止まります。
すると、おばあちゃんが、ちいチャンに、
10円玉を握らせてくれました。
ちいチャンがおばあちゃんを見上げると、
ちおばあちゃんは、コクンとうなずきました。
それで、ちいチャンは、
足の無い兵隊さんの側に行き、置いてある缶の中へ、
10円玉を入れました。
缶の中には、余りお金は入っていませんでした。
楽しいはずの祭りの日、賑やかな街や商店街の中、
腕や足の無い兵隊さんの姿は、
ちいチヤンの中に、
いつまでもいつまでも残っています。

ちいチャン物語222「お茶を飲みに行こう!・その2」

2020年03月16日 19時31分21秒 | 日記
ちいチヤンは、思います。
男の人の言う、
「お茶を飲みに行こう!」
は、もしかしたら、「お茶」ではないのかしら?と。
なぜなら、
喫茶店で、お茶を飲んでいる人を見た事が無いのです。
それと、
「お茶を飲みに行こう!」
と、誘いながら、注文をして頼むのは、
時には、コーヒー、
時には、パフェ、
時には、ジュース、
時には、ホットケーキ、
そして、
時には、食事だったり。
そして、
喫茶店のメニューには、「お茶」がありません。
街は、不思議だなぁ、と思います。

ちいチャン物語221「お茶を飲みに行こう!」

2020年03月15日 20時25分36秒 | 日記
ちいチヤンが、大きくなって、街でお仕事を始めた頃、
男の人に、
「お茶を飲みに行こう!」
と、誘われました。
そして、喫茶店に行きました。
だけど、ちいチャンは、
お金を払ってお茶を飲むのは、もったいないなと思います。
なぜなら、
ちいチャンは、家ではいつも、
急須でお茶を入れて飲んでいたからです。
だから、湯飲み茶わん一杯のお茶に、
何百円も払うのは嫌だなぁ、と思いました。
でも、
お茶を飲みに行こう、と、誘った男の人は、
コーヒーを頼んで飲んでいます。
「お茶を飲みに行こう!」
と、言ったのに、
(どうして、お茶ではなくて、コーヒーを頼むんだろう。)
と、ちいチャンは不思議に思います。

ちいチャン物語220「漁師のオジサン」

2020年03月14日 20時05分04秒 | 日記
ちいチャンは桟橋で、
座って網をいじっている漁師のオジサンを見ました。
オジサンは、破れた網を直しているようでした。
網と同じ紐で、網目を通したりくぐらせたりしています。
ちいチャンは、
(なんだか、お裁縫みたい。)
と、思います。
オジサンは男なのに、
網のお裁縫が、とても上手でした。